赤ちゃん向け

『おやこでぎゅっ!』

作/まつばら いわき
定価/935円(税込)
対象/0歳から
ひかりのくに
2014年11月発行

 


「まま、”ぎゅっ!”よんで」

我が家では寝る前に絵本を読む。中でもこの絵本は2歳の長女のお気に入りだ。

この絵本には、いろんな動物の親子が抱きしめ合っている様子が出てくる。動物によってそれぞれ違った抱きしめ方をしているのだが、その挿絵がリアルに描かれていてとてもかわいい。

赤ちゃん向けのふれあい絵本。いきいきとした本物のような動物たちをしっかりと見ることができます。「ぎゅっ」と抱きしめる、愛情あふれるしぐさや表情に、読んでいて思わず笑みがこぼれます。

「はーい、おいで。ぎゅー!」

挿絵の動物たちをマネして、私たちもぎゅっと抱き合う。頬と頬をくっつけ合うと、長女はいつも楽しそうに笑う。

今年の夏に次女が生まれ、早くもお姉さんになった長女。次女にママを取られたように感じていたのだろうか。今まで以上にこの絵本を読んでくれとせがむようになった。

眠りについた長女を見ながら、思う。大きくなったようでも、まだまだ2歳。赤ちゃんと子どもを行ったり来たり。きっとこの絵本は、まだ言葉のつたない長女にとって、「さみしい」を伝えられる唯一のツールなのだ。

「おかあさん、おかあさん。ねえ、ぎゅってして」

絵本に出てくるこのセリフは、長女の複雑な気持ちを代弁してくれるのだろう。この絵本は、そんな長女と私に、何物にもかえがたい親子の時間を作ってくれる。

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『くだもの』

文・絵/平山 和子
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
1981年10月20日発行

 


僕が赤ちゃん絵本のお手本としている1冊が『くだもの』です。
行き詰まった時、ぱらぱらと開くと創作の原点に立ち返ることができる。
絵本を通じて「どんなシーンを実現したいんだっけ」の答えがここに描かれています。

みどり色の大きな「すいか」が、どっしりと置かれている。ページをめくると、「さあ どうぞ」の言葉とともに、みかづき型に切り分けられた、真っ赤なすいかがひと切れ。フォークもちゃんと、添えられている。くりは、イガから出して、皮をむいて。ぶどうはきれいに洗われ、水滴が光っている。りんご、なし、もも、いちご…まず丸ごとの果物を見せ、次にすぐ食べられる状態にしたものを紹介していく。

平山さんの描く写実的なくだものは「本物」です。子どもが見るからこそ一切手を抜かないで描く姿勢が好き。
結果、子どもは「美味しそう」と、くだものに手を伸ばします。

なんといってもこの絵本の一番の工夫は、切ったくだものに手が添えられて描かれていることでしょう。
大人が子どもに読んであげることが前提になっているので、「さあ どうぞ」の声がけは、親の声にのって赤ちゃんの耳に入ります。だから、赤ちゃんから見たその手は、優しい親の手です。

この絵本がどんなふうに読まれるのか、そこまで計算されている。
絵本と向き合いながら、まるで親子で会話(言葉を話せない赤ちゃんは反応するという意味で)をするように展開します。
優れた親子のコミュニケーション・ツールとして大傑作。「さあ どうぞ」。

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『わんわん わんわん』

文・絵/高畠 純
定価/1100円(税込)
対象/赤ちゃんから
理論社
1993年1月発行

 


大変光栄なことに先日、高畠純さんとお会いする機会がありました。

『だれのじてんしゃ』(フレーベル館)は、見開きにヘンな形をした自転車が描かれていて、「だれの じてんしゃ?」と主人公が問いかけます。めくると、なるほどぴったりの「だれ」が明らかになる展開。

この作品は1983年に「ボローニャ国際児童図書展 グラフィック賞」を受賞していますが、初期の頃から子どもの気持ちをガッチリつかんできた素晴らしい絵本作家です。

中でも『わんわん わんわん』は最高。いぬ、ねこ、ぶたと動物の鳴き声だけで展開する絵本です。出版社の紹介では幼児向けとありますが、今の時代なら赤ちゃん絵本としてオススメしたい。

イヌが1匹「わんわん わんわん」。そこへネコがやってきて「ニャーゴ ニャーゴ」。ブタさんもやってきて「ぶひっ ぶひっ」。さらには、ウシさん「ンモー ンモー」、ニワトリさんも「クワッ クワッ クワッ」、ヤギさん登場「めへー めへー」。みんなで一緒にあそんでいると、そこへ「プォーン」と大きな泣き声。ゾウがゴリラを引きつれて通りすぎた。神妙な面持ちで口を閉ざし、ゾウとゴリラを見届けたなら、あとはもうみんなで大騒ぎ。

音読すれば子どもが夢中になって楽しんでいる様子が目に浮かびます。

高畠さんは、最初に文の配置やサイズを決めて創作するそうですが、だからこそ動物の絵と鳴き声が一見バラバラのようでいて、見事にリンクしています。ゆるい絵もシンプルな配色もものすごく計算されている。それをさりげなくやるところがすごい。子どもがそういうところを見逃さない目を持っていることを知っているのだと思います。

装丁には「くすくすえほん」とありますが、間違いなく「げらげらえほん」。

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『たいこ』

文・絵/樋勝 朋巳
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
2019年10月5日発行

 


10月に発売されたばかりの新刊幼児絵本です。2歳から対象なので赤ちゃん絵本になるのかな。

いさぎよいタイトルと、表紙に描かれたなんともチカラの抜けたゆるいキャラクターに惹かれて思わず手にとりました。“思わず手にとらせる”というのはすごいことですよ。

トントントトトン トントントトトン、誰かがたいこをたたいています。「なかまにいれて」 仲間がひとり増えました。トントンポコポコ トントンポコポコ、ふたりでたいこをたたいていると、「なかまにいれて」 またひとりやってきました。

ページをめくるごとにだんだん仲間が増えて、なぜだかみんな揃ってたいこをたたく。増えてはたたく繰り返しの展開。好き。

いかにも楽しそうな様子の絵からは、にぎやかなたいこの音と笑い声までも聞こえてくるようです。それにあわせて「トントン ポコポコ ペタペタ ボーン」と文字も踊るようにデザインされているから、音読すると自然に大きな声が出て盛り上がることが容易に想像できます。これは赤ちゃんにウケるだろうなあ。

突然ワニが登場する「転」も味わい深い。僕の最近一番のヒット作です。
1.2.1.2のリズムで展開する絵本はこれまで作ってきた経験がありますが、1.2.3.4とどんどん盛り上がる展開の絵本も作ってみたいなあ!

作家の樋勝朋巳さんは「ボローニャ国際絵本原画展」の入選作家だそう。このゆるいキャラクターは「クネクネさん」といって、実はシリーズ化されていました。他も読んでみたい。

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小さな子どもとのおでかけには、いろいろと心配がつきものです。せめて荷物をすっきりさせられたら、いくらか気分が楽になるというもの。
特に赤ちゃん絵本のジャンルでは最近よく見かけるようになってきた厚紙絵本(ボードブック)ですが、実は人気絵本の中にもTPOに応じて使い分けができるように、「おでかけ版」として持ち歩きやすいミニサイズにしたり、頑丈な厚紙絵本にしたりと横展開している作品があります。

かばんにすっぽり入る「小さめサイズの厚紙絵本」が手元にあると、安心して親子でおでかけを楽しめそうです。

 


おでかけ版『いないいないばああそび』

文・絵/きむら ゆういち
サイズ/幅17 x 高15 cm
定価/858円(税込)
対象/0歳から
偕成社
2003年10月発行

おかあさんと子どもの間でくり返されてきた“いないいないばあ”を、ゆかいな遊びの絵本に。かわいいキャラクターがいっぱい!

 


『しましまぐるぐる』

絵/柏原 晃夫
サイズ/幅17.4 x 高17.4 cm
定価/968円(税込)
対象/0歳から
学研プラス
2009年4月9日発行

あかちゃんが注目する黒を中心に、2ヶ月児でも見やすいコントラストの強い配色にデザインしたベイビーブック。あかちゃんが生まれながらに反応する『顔』や、反応のいいとされる『しましま』と『ぐるぐる』がいっぱいのかわいくてきれいな絵本。

 


『かお かお どんなかお』ミニ版

作/柳原 良平
サイズ/幅13 x 高14.2 cm
定価/770円(税込)
対象/0歳から
こぐま社
2015年発行

楽しい顔、悲しい顔、笑った顔、泣いた顔、いたずらな顔……。さまざまな顔の表情を大胆にデフォルメして切り絵で表現した“表情の絵本”。赤ちゃんはもちろん、幼児も絵本を見ながら百面相をして楽しんでいます。

 


『ぎゅっ』ミニ版

作・絵/ジェズ・オールバラ
サイズ/幅15 x 高13 cm
定価/946円(税込)
対象/0歳から
徳間書店
2011年10月26日発行

森の中をさんぽしていたさるのジョジョくん、友だちの動物がみんな「ぎゅっ」としているのを見ているうちに、すっかりママが恋しくなってしまいます。「ママー!」……読んでる大人も子どもも、心のなかがほっこりしてきて思わず「ぎゅっ」としたくなる絵本。

 


『どうぶついろいろかくれんぼ』

作/いしかわ こうじ
サイズ/幅16 x 高16 cm
定価/968円(税込)
対象/0歳から
ポプラ社
2006年5月発行

なにがかくれているのかな? いろんな形のかたぬきページをめくると、かくれていたどうぶつが次々とあらわれる楽しいしかけ絵本。

 


ボードブック版『もいもい』

作/市原 淳
監修/開 一夫
サイズ/幅12 x 高12 cm
定価/1320円(税込)
対象/赤ちゃんから
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2018年11月15日発行

東京大学あかちゃんラボ発。あかちゃんといっしょに作ったあかちゃんのための絵本です。

 


『じゃあじゃあびりびり』

作・絵/まつい のりこ
サイズ/幅14 x 高14 cm
定価/660円(税込)
対象/1歳から
偕成社
1983年7月発行

「じどうしゃ ぶーぶーぶーぶー」「みず じゃあじゃあじゃあ」、楽しく明解な絵とリズミカルなことば。音から物を認識する絵本です。

 


ボードブック版『はらぺこあおむし』

作/エリック・カール
訳/もり ひさし
サイズ/幅18 x 高13 cm
定価/990円(税込)
対象/2歳から
偕成社
1997年10月発行

小さなあおむしは、もりもりと食べつづけて美しい蝶になった。数や曜日の認識をおりこみ、穴あきのしかけをこらした斬新な絵本。

 


ボードブック版『パパ、お月さまとって!』

作/エリック・カール
訳/もり ひさし
サイズ/幅13 x 高18 cm
定価/990円(税込)
対象/3歳から
偕成社
1997年10月発行

娘に月をせがまれて、パパは本当に月を連れてきた! 画面が左右上下に広がるしかけで、空の高さや月の満ち欠けを表現した絵本。

 


『100かいだてのいえ』ミニ版

作/いわいとしお
サイズ/幅13 x 高18 cm
定価/990円(税込)
対象/3歳から
偕成社
2015年7月発行

空まで届くふしぎな家を、のぼって探検しよう! 縦にながい画面が大迫力、いろいろな生きものに会いながら頂上をめざします。

 


『どこミニ どうぶつ どこ?』

作/山形 明美
絵/大畑 俊男
サイズ/幅15.5 x 高15.5 cm
定価/715円(税込)
対象/幼児から
講談社
2007年11月6日発行

かわいい写真絵本「どこ?」シリーズから再編集された手のひらサイズ絵本です。

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しりとり遊びは良いことだらけ

 

小学生の姪っ子は、今でも退屈になると「しりとり」遊びをしようと誘ってきます。
普段は遠距離なので、「LINE」でしりとりすることもあるくらい好きな遊びのひとつです。使える言葉が増えてくると、楽しいですよね。

よくよく考えてみると、しりとりは日本語に適したゲームです。「りんご→ゴリラ→ラッパ」と、言葉と声に出した音が一致するからこそ、「ご、ご、ごからはじまる言葉ってなんだっけ……」と考えることができます。

英語の場合だと、「apple」の語尾の発音は「る」なのに、「E」ではじまる言葉を探さなければいけません。これだと難しくてゲームになりません。

大人が子どもに読んであげることが大前提の絵本と同じで、しりとりも必ず2人以上必要、ひとりじゃできない遊びというのも良いなと思います。遊びであって、コミュニケーションでもある。子どもは言葉の幅を広げるアタマの体操になるし、親にとっては道具がいらないというのもありがたいところです。

とはいえ、だんだん慣れてくるとエンドレスになりがちなので、そんなときは絵本を参考に「終わりかた」を知っておくと役に立つかもしれません。

 


『どうぶつしりとりえほん』

作/薮内 正幸
定価/880円(税込)
対象/赤ちゃんから
岩崎書店
2010年10月5日発行

らっこ→こあら→らくだ……と、美しい絵とともにしりとりをします。赤ちゃんからの読み聞かせに最適です。最後はびっくりの動物が?

 


『おしり しりしり』

作/長野 ヒデ子
絵/長谷川 義史
定価/1430円(税込)
対象/2歳から
佼成出版社
2007年8月1日発行

「おしり しりしり しりとりすきで おしり しりしり しりとりあそび♪」。「おしり」で始まったしりとりは、どこへ行き着くのでしょう……? 親子で踊り出しちゃうほど、楽しい絵本です。

 


『ままです すきです すてきです』

文/谷川 俊太郎
絵/タイガー立石
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
1992年2月15日発行

不思議で奇妙なしりとり遊びの絵本。「たぬききつねねこ……」に始まって、ページを繰るごとに思いがけない展開で言葉と言葉が結びつき、とてもおかしな空想の世界へ読者を誘います。

 


『ぶたたぬききつねねこ』

作/馬場 のぼる
定価/1100円(税込)
対象/3歳から
こぐま社
1978年発行

子どもの大好きなしりとり遊びの絵本。朝「おひさま」が「まど」と「どあ」を照らすと、家の中から「あほうどり」が出てきて……。しりとりのことばだけなのに、絵を追ってゆくと愉快なお話が見えてきます。

 


『うんこしりとり』

作・絵/tupera tupera
定価/968円(税込)
対象/3歳から
白泉社
2013年10月発行

こいきな「うんこ」と「しりとり」が奇跡の出会い。こきみよいしりとりで、ことばもどんどん覚える! こどもにはこそばゆいうんこ問題も、ここちよくてこころはずむ「うんこタイム」に変身?!

 


『ぐりとぐらのしりとりうた』

作/なかがわ りえこ
絵/やまわき ゆりこ
定価/660円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2009年9月10日発行

「一月はおしょうがつつるとかめめでたいいずみのみずをのむ……」「十二月はしわすすみずみのすすすすはらい……」。軽快なリズムにのって、一月から十二月までの季節感たっぷりに、しりとりが次々に登場します。個性的で愛らしい動物たちに、子どもたちに大人気のぐりとぐらが加わって、楽しさ満点。絵と言葉のみごとなハーモニーをお楽しみください。

 


『しりとりのだいすきなおうさま』

作/中村 翔子
絵/はた こうしろう
定価/1430円(税込)
対象/3歳から
すずき出版
2001年6月発行

なんでもしりとりの順に並んでいないと気がすまない王様、料理の順番も、もちろんしりとり。そして最後は好物プリンと決まっています。間違ってラーメンなんかで食事が終わろうものなら、王様はかんかんです。悪戦苦闘する家来たちは、そんな王様をこらしめてやろうと、ある作戦を考えました。

 


『しりとりあそびえほん』

文/石津 ちひろ
絵/荒井 良二
定価/1100円(税込)
対象/3歳から
のら書店
2002年発行

おおきくなるしりとり、ちいさくなるしりとり、色のしりとりなどの、楽しいしりとりがいっぱい! 鮮やかな色彩の絵も魅力的な絵本です。

 


『しりとり』

作・絵/安野 光雅
定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
2021年2月5日発行

あさひ、ひしもち、ちからこぶ……ページをめくって絵をたどり、しりとりで遊びましょう。おしりが「ん」になったらおしまいです。あれ、最後のページまで読んでも「ん」にならない? そんなひとは、最初のページに戻ると続きが始まりますよ。何度もくりかえし遊べて、美しい絵が目にも楽しい、安野光雅流のしりとり絵本です。

 


『しりとりしましょ! たべものあいうえお』

作/さいとう しのぶ
定価/1980円(税込)
対象/幼児から
リーブル
2005年11月発行

しりとりしましょ! はじめは「あ」ではじまる楽しい「たべものしりとりあいうえお」。「あ」から「ぽ」まで67音ではじめられます。「ん」がつくたべものを出したら「しりとり番犬」がきます。

 


『てっちゃんの しりとりライオン』

作/もとした いづみ
絵/日隈 みさき
定価/1430円(税込)
対象/幼児から
PHP研究所
2007年8月1日発行

てっちゃんは、お母さんに玄関の前の掃除をたのまれました。玄関の前から、門の前、門の外へと落ち葉掃きをしていると……小さなかわいいライオンに出会いました。ライオンが、てっちゃんの持っている物をみて、「それなあに?」と聞くので、「ちりとりと ほうき」と教えてあげました。すると、「ちりとり」を「しりとり」と聞き間違えたライオンは、そのまましりとりを始めてしまったのです。

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どうして春が来るとうれしいの?

 

春を描いた絵本で、僕がまっさきに思い浮かんだのが『はなをくんくん』です。
冬のモノクロームな世界から駆け出した動物たちが、真っ白な雪のなかに、鮮やかな黄色い花を見つける場面は、まさに春の訪れのよろこびを一緒に体感できるすばらしい絵本です。

どうして春が来るとうれしい気持ちになるのか、その答えは絵本の中にいろいろ描かれています。
花が咲いていつもの景色が美しく変わるから。あたたかくなって外に出かけたくなるから。虫たちや動物たちも外に出てきて、世界がにぎやかになるから……。
春をテーマに描いた絵本は、外の気温と同じように心があたたかくなるものばかり。子どもたちの視線の先には、絵本にも描かれていないまた別の春のよろこびがあるかもしれません。

 


『いちご』

作/平山 和子
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
1989年4月15日発行

畑で雪の下にうずもれながら寒い冬をこす、いちご。春あたたかくなると、つぼみをつけて小さな白い花をさかせました。花のあとには、青い小さな実がなりました。でも、この実はまだすっぱい。ほらほら、いちごの実が少しずつ赤くなってきましたよ。そして真っ赤に色づいたいちごは甘くてとってもおいしそう。いちごが成長し甘くなるまでの待ち遠しい気持ちがいちごの絵から伝わってくるようです。甘くなったいちごは、大事においしく「いただきます」。

 


『はなをくんくん』

文/ルース・クラウス
絵/マーク・シーモント
訳/きじま はじめ
定価/1210円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1967年3月20日発行

冬の森の中、雪の下で動物たちは冬眠をしています。野ねずみも、くまも、小さなかたつむりも……。でも、とつぜんみんなは目をさましました。はなをくんくんさせています。みんなはなをくんくんさせながら、雪の中をかけていきます。みんなとまって、笑って、踊りだしました。「ゆきのなかにおはながひとつさいてるぞ!」。やわらかいタッチの美しい絵と、詩のような文で、自然の摂理と喜びをやさしく子どもに語りかけます。

 


『はるにあえたよ』

作/原 京子
絵/はた こうしろう
定価/1430円(税込)
対象/3歳から
ポプラ社
2007年3月発行

マークとマータはふたごのこぐま。まだ外にでたことがありません。はじめての春にワクワク。春をさがしに外へとびだしますが……。

 


『ちょうちょ』

文/江國 香織
絵/松田 奈那子
定価/1540円(税込)
対象/3歳から
白泉社
2013年9月発行

ずば抜けた色彩センスが満場一致で評価された「第1回MOE絵本グランプリ」受賞作品です。

 


『ぐりとぐらのおおそうじ』

作/なかがわ りえこ
絵/やまわき ゆりこ
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2002年2月1日発行

雪に閉ざされた長い冬が終わった春の朝、ぐりとぐらが、窓を大きく開けて朝ごはんを食べていると、なんと家中ほこりだらけ! 「今日の仕事は、大掃除」と2ひきは張り切りますが、ほうきもはたきも雑巾も、すり切れて使いものになりません。そこで、ぐりとぐらは、ぼろ布を体中に巻きつけて、自分たちがほうきや雑巾になることにします。大掃除もぐりとぐらにかかると、こんなにダイナミックに楽しくなります!

 


『わたしとあそんで』

文・絵/マリー・ホール・エッツ
訳/よだ じゅんいち
定価/1210円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1968年8月1日発行

原っぱにやってきた女の子が、ばったや、かえるや、うさぎやしかと遊ぼうと、みんなをつかまえようとします。でも、つかまえようとするとみんな逃げていってしまいます。誰も遊んでくれないので、女の子はしかたなく池のそばにこしかけて、水すましを眺めてじっとしていました。すると、逃げていったみんなが女の子のそばにもどってきてくれました。しかは女の子を頬をぺろりとなめてくれました。女の子はとってもうれしそう、みんなもとっても楽しそう。

 


『14ひきのぴくにっく』

作/いわむら かずお
定価/1320円(税込)
対象/3歳から
童心社
1986年11月15日発行

「きょうは なんて いい てんき。みんなで、はるの のはらへ でかけよう」。お弁当と水筒をもって出発です。森にはあちこちに新しい春の命が。ゼンマイが芽を出し、目を覚ましたアマガエルたちの鳴く声がきこえてきます。すみれ、やまぶき、ちごゆり、ふでりんどう……花々が咲き、春の訪れを告げています。14ひきたちは森をぬけ、つくしの道をあるいて小川をわたり、たんぽぽ野原へ……。

 


『サラダとまほうのおみせ』

作/カズコ・G・ストーン
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1997年8月15日発行

大きなヤナギの木の下にある“やなぎむら”には、バッタとカタツムリとクモ、それにアリの家族が住んでいました。ある日この村にイモムシのモナックさんが引っ越してきて、サラダのお店を開きました。おいしくて、村のみんなに大評判です。ところがある朝からそのお店は「お休み」になってしまいました……。

 


『たんぽぽ』

文・絵/平山 和子
監修/北村 四郎
定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1976年4月1日発行

身近な植物、タンポポの生態のふしぎさ、そのたくましさなどを、長年にわたる観察と写生をもとに見事に描きます。実物大に描かれた80センチをこえるタンポポの根は圧巻!

 


『つくし』

作/甲斐 信枝
定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1997年2月15日発行

春の野原に、いっせいに頭をだすつくし。その1年間のくらしをみずみずしく描きました。植物の不思議な世界にご招待します。「つくしだれのこ、すぎなのこ」ってほんとうかな?

 


『たんぽぽ』

文・絵/甲斐 信枝
定価/1320円(税込)
対象/幼児から
金の星社
1984年2月発行

道ばたの花・たんぽぽは、つぼみから花ひらいたあと、綿毛となって空へ舞いあがり、見知らぬ土地に根をおろします。ドラマチックな一生をたどるたんぽぽのすがたを、精緻なタッチで描いた絵本。

 


『たんぽぽ』

文・絵/荒井 真紀
定価/1320円(税込)
対象/幼児から
金の星社
2015年3月発行

春になると、たんぽぽは茎を高くのばして、あざやかな黄色い花をさかせます。花がかれると、たくさんの綿毛になって、白いボールのような姿になります。ふしぎにみちたたんぽぽの一生を、美しい細密画で描いた絵本。

 


『おねぼうさんはだあれ?』

文/片山 令子
絵/あずみ虫
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
学研プラス
2021年2月18日発行

「おきておきて、もうはるよ」。うさぎのミミナちゃんが、冬ごもりから起きてこない友だちを起こしに出かけます。でも誰もなかなか目を覚ましません。そこでミミナちゃんは、いいにおいの花束を枕元においていきますが……。春の訪れを温かい筆致で描いた絵本。

 


『じっちょりんのあるくみち』

作・絵/かとう あじゅ
定価/1430円(税込)
対象/幼児から
文溪堂
2011年5月発行

ちいさないきものじっちょりんは、人間の気付かないところで、せっせと野の花の種を植えて歩きます。アスファルトの隙間や、電信柱の根本や……。雑草と呼ばれるような小さなきれいな花たちを愛でる気持ちが芽生えるあたたかな絵本です。

 


『わたしのおうち』

作/神沢 利子
絵/山脇 百合子
定価/1320円(税込)
対象/小学低学年から
あかね書房
1982年3月発行

春の野原を背景に、幼い姉と弟の心のふれあいと幼児の空想の世界を、素朴であたたかみあふれる文と絵で描いた絵本です。

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言葉と世界がつながると子どもの世界が変わる

 

子どもがひらがなに興味を持つようになってくると、「あいうえお」の文字に触れるところからはじまると思います。

言葉を習得して長い時間が経っている大人には普段なかなか意識しづらいことですが、この世界は言葉でできています。あらゆるものに名前がついていて、文字とリンクしています。自分の気持ちを伝えるにも、今聞こえているその音も、やはり文字がなければ表現することができません。

つまり、子どもはどこにいても言葉に触れられるということです。だから、つまらないお勉強で言葉を無理やり習得させる必要はなくて、時期がきたら必要に応じて自然と覚えていくものです。

「あいうえお」からはじまって、やがて世界と言葉がつながった瞬間に、子どもがそれまで見ていた世界がまるで違うものに変わります。そこからは水を得た魚のように言葉の数を増やしていくことが楽しくて仕方ないはずです。そんな世界のトビラを開けるきっかけに、絵本があればうれしいです。

 


『かっきくけっこ』

作/谷川 俊太郎
絵/堀内 誠一
定価/1100円(税込)
対象/赤ちゃんから
くもん出版
2009年6月発行

あいうえおを絵にしたらどうなるの? 声に出して、体で感じる、あいうえお絵本。詩人・谷川俊太郎とデザイナー・堀内誠一が、1972年に幼児と言葉の関わりを真摯にとらえて作った絵本です。シンプルで選びぬかれた文章を、親子で声に出して読んでみてください。いきいきとした絵とともに、イマジネーションがどんどんふくらみます。

 


『あいうえおうた』

文/谷川 俊太郎
絵/降矢 なな
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
1999年2月10日発行

「あいうえおきろ おえういあさだ おおきなあくび あいうえお」で始まるリズミカルな詩の絵本。50音を巧みに織り込んだ詩とイメージ豊かなエッチングの絵が楽しい。

 


『あいうえおみせ』

作/安野 光雅
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2012年1月15日発行

あめや、いしやきいもや、うんそうや……。あいうえお順と、いろは順で、たくさんのお店が並んでいます。今の子どもたちになじみのあるお店やさんから、「え、これお店?」「こんなお店ないよー」というものまで、絵の隅々まで楽しめること、間違いなし。絵本の最後には、「ここに並んでいるものは、どこのお店にあるでしょう?」なんて、遊びのページまでついています。

 


『あいうえおえほん』

作・絵/とだ こうしろう
定価/1980円(税込)
対象/3歳から
戸田デザイン
1982年3月発行

子供たちが、絵、そして平仮名と初めて出会うときの絵本。身近にある道具や動物、虫、やさい、くだもの、からだ、乗り物。それらのカタチの美しさを表現するため、シンプルに研ぎ澄まされた輪郭線。配色の美しさを追求した色彩。そして、平仮名という文字そのもののデザインが持つ美しさを教えてくれます。

 


『ぐりとぐらのあいうえお』

作/なかがわ りえこ
絵/やまわき ゆりこ
定価/660円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2002年2月1日発行

「あさいもほりうでまくりえんやらやっとおおきなおいも」「なんとまあにんじんぬいたらねっこのひげがのびほうだい」……こんなふうに、「あいうえお」から「ん」まで、5音を文頭においた楽しい言葉遊びの絵本ができました。リズミカルで、選び抜かれた言葉と、ぐりとぐらをはじめ、おなじみの森の動物たちが登場する、文句なしに楽しく愛らしい「あいうえお」の絵本です。

 


『あいうえあそびえほん』

文/石津 ちひろ
絵/荒井 良二
定価/1100円(税込)
対象/3歳から
のら書店
2011年9月発行

「あいうえ おおかみ もりのなか」「かきくけ こうもり ねむるあさ」……。リズミカルでゆかいなことばあそび絵本。ユーモアいっぱいの絵で、ことばさがしあそびができます。

 


『あいうえお』

作/五味 太郎
定価/1430円(税込)
対象/幼児から
絵本館
1992年11月発行

この“あいうえお”はとにかく楽しいのでお父さんお母さんよりも子どもの方が先に覚えてしまう事うけあいです。

 


『ノラネコぐんだん あいうえお』

作/工藤 ノリコ
定価/1210円(税込)
対象/幼児から
白泉社
2017年4月発行

緻密に描かれたにぎやかな絵を指さしながら、たくさんの言葉が覚えられます。「つまみぐい」「ほっかむり」などユニークな言葉も満載。ひらがな&カタカナ表付き。

 


『あいうえおうさま』

作/寺村 輝夫
絵/和歌山 静子
定価/1320円(税込)
対象/幼児から
理論社
1979年1月発行

あいうえおうさま,あさの あいさつ。あくびを あんぐり,ああおはよう。ちいさいひとたちへ,もじとことばのゆかいなえほん。第3回「絵本にっぽん賞」受賞作品。

 


『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』

原案/みね よう
作/さいとう しのぶ 
定価/1980円(税込)
対象/幼児から
リーブル
2001年3月発行

うたって、あそべて、たのしめる、愉快な「たべものあいうえお」。「あ」から「ん」まで、濁音、半濁音も含めて69音すべてが登場。名前の頭文字で「ことばあそび」もできます。

 


『あいうえおのえほん』

文/よこた きよし
絵/いもと ようこ
定価/1870円(税込)
対象/幼児から
金の星社
2004年4月発行

「ありがとう」の「あ」から「ごめんなさい」の「ん」まで、心のこもったことばの世界が広がります。ひらがなを覚えるときに大切な筆順も、お子さんと一緒に指先でなぞってみてください。お母さん、お父さん方が「先生」です。

 


『あいうえおの本』

作/安野 光雅
定価/1650円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1976年2月20日発行

「あ」はあんぱん、「い」はいえ……、左ページにはひらがなが、そして右ページにはその文字で始まるものの絵が、1見開きごとに描かれます。木で組み立てられ、木目まで美しく描かれたひらがなの文字と、どこかなつかしい日本の伝統的な形の絵がみごとに結びつきます。さらに、ページのまわりには文字に関連した飾りも描かれ、その中にも絵が隠れています。字を覚えるためではなく、ことばの美しさを感じることのできる1冊です。

 


『あいうえおのえほん』

文/内田 麟太郎
絵/西村 繁男
定価/1430円(税込)
対象/4、5歳から
童心社
2012年10月4日発行

「あまがえる あめより あめの あまやどり」「しかめっつらの しかいに ししも したむく」。あいうえおの順に現れる奇想天外なシーンの数々。けれど絵を見れば思わず納得。リズミカルな言葉遊びに導かれて、しまいには声を出して笑ってしまいます。言葉の入り口に立った子どもたちがくり返し楽しめる1冊。

 


『あいうえおおきなだいふくだ』

作・絵/たるいし まこ
定価/1320円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
2011年2月10日発行

「あんこがいっぱいおおきなだいふく、いきなりどーんともりのなか……」。「あ」から始まって「ん」まで、50音順につづく文章でつづったのは、だいふくと、うさぎをめぐる珍騒動。突如あらわれた大きなだいふくと、それを手に入れたい動物たちが、ナンセンスなどたばたを繰り広げます。ことばの広がりを楽しみながらあじわえる、この愉快な「あいうえお歌」は、ひらがなをおぼえはじめた子どもたちにぴったりです。

 


『ひらがなだいぼうけん』

作/宮下 すずか
絵/みやざき ひろかず
定価/1320円(税込)
対象/小学低学年から
偕成社
2008年10月発行

本のなかの文字たちが、夜の間どうしているかしっていますか? 本から飛び出した文字たちの冒険を、笑いながら楽しめる物語です。

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目次

  1. 食べ物を大切にする心が育まれる絵本
  2. 食べることに興味を持ち楽しみになる絵本
  3. 好き嫌いしないように考えるきっかけになる絵本
  4. 行儀よく食事することを教えてくれる絵本
  5. 食事とからだの健康の関係がわかる絵本

 


◎食事とからだの健康の関係がわかる絵本

 

『みんなうんち』

作/五味 太郎
定価/990円(税込)
対象/4歳から
童心社
1981年2月2日発行

子どもにとって興味のある、そして大事な「うんち」をユーモアいっぱいの絵本にしました。「いきものはたべるから、みんなうんちをするんだね」というお話。

 


『たべもののたび』

作/かこ さとし
定価/1430円(税込)
対象/4、5歳から
童心社
1976年10月1日発行

黄色い栄養のカバンを持って旅に出た食べ物たちが、ももいろのトンネルをとおって、いぶくろこうえんを通り、しょうちょうのジェットコースターに乗ってすすみます。たべものが口から入って身体の中で消化され、栄養となって、排泄されるまでのプロセスを、「たべもののたび」として、わかりやすく楽しく描いたロングセラー絵本。絵本を通じて、正しい知識と、食べることの大切さを子どもたちに伝えます。

 


『たべものたべたら』

文/中川 ひろたか
絵/藤本 ともひこ
定価/1320円(税込)
対象/幼児から
保育社
2013年7月発行

昨日たべたとうもろこしが、うんこに出てきた。どうしてだろう? 「ぼく」といっしょに、おなかのなかを旅しながら、「たべもの」と「うんこ」の間をつなぐ「消化のしくみ」を楽しく学べる絵本。

 


『うんぴ・うんにょ・うんち・うんご』

文/村上 八千世
絵/せべ まさゆき
定価/1320円(税込)
対象/幼児から
ほるぷ出版
2000年10月1日発行

うんこは、はずかしいものではなく、生きていくうえで自然で大切なこと。だから、いっしょにうんこを考えてみよう。楽しいネーミングをしたりアイディアいっぱいで、気持ちよくトイレにいけるようになる絵本。

 


『たべることはつながること』

作/パトリシア・ローバー
絵/ホリー・ケラー
訳/くらた たかし、ほそや あおい
定価/1430円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
2009年5月30日発行

自然界の生き物は、食べたり食べられたりして互いに密接につながっています。このつながりを食物連鎖といいます。この絵本では、食物連鎖について、自分たちが食事をすることを通して、地球上のいろいろな生き物とつながっているということをやさしい文と絵で描いています。読者のみなさんも、自分の食べたものがどんな生き物とつながるかを、実際に絵にして考えてみましょう。

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