おすすめの絵本

目次

  1. ミリオンセラー絵本 1950〜60年代
  2. ミリオンセラー絵本 1970年代
  3. ミリオンセラー絵本 1980年代
  4. ミリオンセラー絵本 1990年代〜

 


  1. 『はらぺこあおむし』 420万部
    文・絵/エリック・カール
    訳/もり ひさし
    1976年発行
  2.  


  3. 『しろくまちゃんのほっとけーき』 319万部
    作/わかやま けん
    1972年発行
  4.  


  5. 『ノンタンぶらんこのせて』 267万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1976年発行
  6.  


  7. 『からすのパンやさん』 256万部
    文・絵/加古 里子
    1973年発行
  8.  


  9. 『ノンタンおやすみなさい』 249万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1976年発行
  10.  


  11. 『ノンタン! サンタクロースだよ』 246万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1978年発行
  12.  


  13. 『はじめてのおつかい』 241万部
    文/筒井 頼子
    絵/林 明子
    1977年発行
  14.  


  15. 『100万回生きたねこ』 230万部
    文・絵/佐野 洋子
    1977年発行
  16.  


  17. 『おしいれのぼうけん』 228万部
    文/ふるた たるひ
    絵/たばた せいいち
    1974年発行
  18.  


  19. 『ノンタンおよぐのだいすき』 201万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1976年発行
  20.  


  21. 『おふろでちゃぷちゃぷ』 199万部
    文/松谷 みよ子
    絵/いわさき ちひろ
    1970年発行
  22.  


  23. 『ノンタンおねしょでしょん』 195万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1978年発行
  24.  


  25. 『ぐりとぐらのかいすいよく』 191万部
    文/なかがわ りえこ
    絵/やまわき ゆりこ
    1977年発行
  26.  


  27. 『あかんべノンタン』 173万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1976年発行
  28.  


  29. 『ピーターラビットのおはなし』 159万部
    作・絵/ビアトリクス・ポター
    訳/いしい ももこ
    1971年発行
  30.  


  31. 『ぞうくんのさんぽ』 155万部
    文・絵/なかの ひろたか
    1977年発行
  32.  


  33. 『ノンタンほわほわほわわ』 146万部
    文・絵/キヨノ サチコ
    1977年発行
  34.  


  35. 『ベンジャミンバニーのおはなし』 144万部
    作・絵/ビアトリクス・ポター
    訳/いしい ももこ
    1971年発行
  36.  


  37. 『モチモチの木』 144万部
    作/斎藤 隆介
    絵/滝平 二郎
    1971年発行
  38.  


  39. 『かわいそうなぞう』 143万部
    文/土家 由岐雄
    絵/武部 本一郎
    1970年発行
  40.  


  41. 『フロプシーのこどもたち』 140万部
    作・絵/ビアトリクス・ポター
    訳/いしい ももこ
    1971年発行
  42.  


  43. 『もこ もこもこ』 138万部
    文/谷川 俊太郎
    絵/元永 定正
    1977年発行
  44.  


  45. 『おばけのバーバパパ』 136万部
    文/アネット・チゾン
    絵/タラス・テイラー
    訳/やました はるお
    1972年発行
  46.  


  47. 『あーんあん』 128万部
    文・絵/せな けいこ
    1972年発行
  48.  


  49. 『とけいのほん 1』 127万部
    文・絵/まつい のりこ
    1973年発行
  50.  


  51. 『かいじゅうたちのいるところ』 127万部
    文・絵/モーリス・センダック
    訳/じんぐう てるお
    1975年発行
  52.  


  53. 『はははのはなし』 122万部
    文・絵/加古 里子
    1971年発行
  54.  


  55. 『はけたよはけたよ』 119万部
    文/神沢 利子
    絵/西巻 茅子
    1970年発行
  56.  


  57. 『さむがりやのサンタ』 115万部
    文・絵/レイモンド・ブリッグズ
    訳/すがはら ひろくに
    1974年発行
  58.  


  59. 『ねずみくんのチョッキ』 111万部
    文/なかえ よしを
    絵/上野 紀子
    1974年発行
  60.  


  61. 『はじめてのおるすばん』 107万部
    文/しみず みちを
    絵/山本 まつ子
    1972年発行
  62.  


  63. 『ふたりはともだち』 106万部
    作/アーノルド・ローベル
    訳/三木 卓
    1972年発行
  64.  


  65. 『あかちゃんのうた』 105万部
    文/松谷 みよ子
    絵/いわさき ちひろ
    1971年発行
  66.  


  67. 『とけいのほん 2』 105万部
    文・絵/まつい のりこ
    1973年発行
  68.  


  69. 『もしもしおでんわ』 104万部
    文/松谷 みよ子
    絵/いわさき ちひろ
    1970年発行
  70.  


  71. 『こぐまちゃんとどうぶつえん』 100万部
    作/わかやま けん
    1970年発行
  72.  


  73. 『こぐまちゃんのみずあそび』 100万部
    作/わかやま けん
    1971年発行
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目次

  1. ミリオンセラー絵本 1950〜60年代
  2. ミリオンセラー絵本 1970年代
  3. ミリオンセラー絵本 1980年代
  4. ミリオンセラー絵本 1990年代〜

 


  1. 『いないいないばあ』 700万部
    文/松谷 みよ子
    絵/瀬川 康男
    1967年発行
  2.  


  3. 『ぐりとぐら』 523万部
    文/なかがわ りえこ
    絵/おおむら ゆりこ
    1967年発行
  4.  


  5. 『てぶくろ』 318万部
    絵/エウゲーニー・M・ラチョフ
    訳/うちだ りさこ
    1965年発行
  6.  


  7. 『おおきなかぶ』 312万部
    文/A.トルストイ
    絵/佐藤 忠良
    訳/内田 莉莎子
    1966年発行
  8.  


  9. 『ねないこだれだ』 311万部
    作/せな けいこ
    1969年発行
  10.  


  11. 『ぐりとぐらのおきゃくさま』 301万部
    文/なかがわ りえこ
    絵/やまわき ゆりこ
    1967年発行
  12.  


  13. 『三びきのやぎのがらがらどん』 274万部
    絵/マーシャ・ブラウン
    訳/せた ていじ
    1965年発行
  14.  


  15. 『しろいうさぎとくろいうさぎ』 251万部
    /ガース・ウイリアムズ
    訳/まつおか きょうこ
    1965年発行
  16.  


  17. 『ぐるんぱのようちえん』 237万部
    文/西内 ミナミ
    絵/堀内 誠一
    1966年発行
  18.  


  19. 『しょうぼうじどうしゃじぷた』 215万部
    文/渡辺 茂男
    絵/山本 忠敬
    1966年発行
  20.  


  21. 『いいおかお』 209万部
    文/松谷 みよ子
    絵/瀬川 康男
    1967年発行
  22.  


  23. 『うさこちゃんとどうぶつえん』 203万部
    作/ディック・ブルーナ
    訳/石井 桃子
    1964年発行
  24.  


  25. 『ゆきのひのうさこちゃん』 200万部
    作/ディック・ブルーナ
    訳/石井 桃子
    1964年
  26.  


  27. 『ちいさなうさこちゃん』 196万部
    作/ディック・ブルーナ
    訳/石井 桃子
    1964年発行
  28.  


  29. 『どろんこハリー』 195万部
    文/ジーン・ジオン
    絵/マーガレット・ブロイ・グレアム
    訳/わたなべ しげお
    1964年発行
  30.  


  31. 『だるまちゃんとてんぐちゃん』 195万部
    作/加古 里子
    1967年発行
  32.  


  33. 『そらいろのたね』 184万部
    文/なかがわ りえこ
    絵/おおむら ゆりこ
    1967年発行
  34.  


  35. 『わたしのワンピース』 180万部
    作/にしまき かやこ
    1969年発行
  36.  


  37. 『うさこちゃんとうみ』 175万部
    作/ディック・ブルーナ
    訳/石井 桃子
    1964年発行
  38.  


  39. 『もうねんね』 165万部
    文/松谷 みよ子
    絵/瀬川 康男
    1968年発行
  40.  


  41. 『ちびくろ・さんぼ』 159万部
    作/ヘレン・バンナーマン
    絵/フランク・ドビアス
    訳/光吉 夏弥
    1953年発行
  42.  


  43. 『11ぴきのねこ』 156万部
    作/馬場 のぼる
    1967年発行
  44.  


  45. 『のせてのせて』 148万部
    文/松谷 みよ子
    絵/東光寺 啓
    1968年発行
  46.  


  47. 『にんじん』 147万部
    作/せな けいこ
    1969年発行
  48.  


  49. 『いやだいやだ』 144万部
    作/せな けいこ
    1969年発行
  50.  


  51. 『スーホの白い馬』 143万部
    文/大塚 勇三
    絵/赤羽 末吉
    1967年発行
  52.  


  53. 『きかんしゃやえもん』 139万部
    文/阿川 弘之
    絵/岡部 冬彦
    1959年発行
  54.  


  55. 『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』 138万部
    作/バージニア・リー・バートン
    訳/むらおか はなこ
    1961年発行
  56.  


  57. 『かばくん』 134万部
    文/岸田 衿子
    絵/中谷 千代子
    1966年発行
  58.  


  59. 『ちいさいおうち』 124万部
    作/バージニア・リー・バートン
    訳/石井 桃子
    1954年発行
  60.  


  61. 『ひとまねこざる』 122万部
    作/H.A.レイ
    訳/光吉 夏弥
    1954年発行
  62.  


  63. 『花さき山』 118万部
    文/斎藤 隆介
    絵/滝平 二郎
    1969年発行
  64.  


  65. 『おさじさん』 114万部
    文/松谷 みよ子
    絵/東光寺 啓
    1969年発行
  66.  


  67. 『しずくのぼうけん』 113万部
    文/マリア・テルリコフスカ
    絵/ボフダン・ブテンコ
    訳/うちだ りさこ
    1969年発行
  68.  


  69. 『もじゃもじゃ』 112万部
    作/せな けいこ
    1969年発行
  70.  


  71. 『ももたろう』 111万部
    文/松居 直
    絵/赤羽 末吉
    1965年発行
  72.  


  73. 『二ほんのかきのき』 110万部
    作・絵/熊谷 元一
    1968年発行
  74.  


  75. 『おおかみと七ひきのこやぎ』 109万部
    文/グリム
    絵/フェリクス・ホフマン
    訳/せた ていじ
    1967年発行
  76.  


  77. 『もりのなか』 108万部
    作/マリー・ホール・エッツ
    訳/まさき るりこ
    1963年発行
  78.  


  79. 『すてきな三にんぐみ』 108万部
    作/トミー・アンゲラー
    訳/今江 祥智
    1969年発行
  80.  


  81. 『はなをくんくん』 101万部
    作/ルース・クラウス
    絵/マーク・シーモント
    訳/木島 始
    1967年発行
  82.  


  83. 『どうぶつのおやこ』 100万部
    絵/薮内 正幸
    1966年発行
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7月8日(金)に、元福音館書店専務の田中秀治さんにお話を伺ってきました。
林明子さんデビュー作の担当編集者として、また「こどものとも 年少版」の創刊メンバーとして、たくさんの優れた絵本を世に送り出してきた経験から語っていただいたのは、絵本の良し悪しでも、絵本づくりのノウハウでもなく、親子の在り方の「本質」だったと思います。

 


子どもと絵本の関わりかたが変わってきた30年

 

2歳頃から子どもは絵本を楽しめるといわれた1970年代、2歳から4歳までの子どもたちを対象とした「こどものとも 年少版」が創刊されたのは1977年のことです。
1990年代に入ると、1歳頃から子どもは絵本を楽しめるといわれはじめ、1995年に「こどものとも0.1.2.」が創刊されました。
子どもと絵本の関わりかたは時代とともに刻々と変化していて、今では0歳児が絵本を楽しむことも珍しくありません。

こうして長い年月を俯瞰してみると、モノが豊かになるにつれて子どもの遊び道具はとてつもなく増えているはずなのに、絵本は端に追いやられるどころか対象の幅を広げてきたことがわかります。
その理由は、絵本は「親子で楽しむもの」だから、に尽きると思います。

 


絵本は親子で楽しむもの

 

田中さんは「読み聞かせ」という言葉が好きじゃないといいます。
幼い子どもはまだ絵本をひとりで読むことができないので、親が読んであげないといけません。だから、つい上の立場で「読み聞かせ」といってしまいがちですが、実際に絵本を読んでいると楽しいのは子どもだけじゃないことがよくわかります。それは、単に描かれたお話が楽しいというだけではありません。

絵本が親子にもたらすもの

  • 時間と空間で愛情を伝える
  • 子どもの感性の元をつくる

 


まず、絵本を前に親子は肌を触れ合わせます(=スキンシップ)。
そしてお話を通じて、親はたくさんの「ことば」を声にのせて投げかけ、子どもはそれを「愛情」として受け取ります。また、子どもは親の元で安心してお話の世界に入っていき、たくさんの「感動体験」をしてきます。
まだ言葉の意味がわからない赤ちゃんでも、ケラケラ笑う反応をみれば愛情が伝わっていること、コロコロ変わる表情から感性が磨かれていることは手に取るようにわかります。

実は、絵本を読むという行為を通じて、親子は愛情のキャッチボールをしています。
子どものうれしいは親もうれしい。もしかすると、親のほうが子どもに「読み聞かせ」をさせてもらっているんじゃないかとさえ思えます。田中さんのメッセージの本意を僕はそんなふうに理解しました。

 


絵本があればたくさんの言葉をかけてあげることができる

 

はじめての子育てで、子どもにどうやって接していいかわからないときもあるかと思います。
幼い子どもの行動範囲は限られているのに好奇心は限りなくて、期待に応えてたくさんの豊かな言葉をかけてあげたいと思っても、自分の引き出しにある語彙では心細いかもしれません。

今ではすっかり赤ちゃん絵本の定番になった『もこもこもこ』を開いてみると、不思議なカタチに美しい色の抽象画に「もこ」とか「にょきにょき」とか、日常会話ではなかなか出てこない絵本だからこそかけてあげられる豊かな言葉が並んでいます。
そういう「こどもだましではない本物」の絵本は、最高の親子の架け橋になってくれると信じています。

 


『くだもの』

作/平山 和子
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
1981年10月20日発行

すいか、もも、ぶどう、なし、りんごなど、日常子どもたちが食べるくだものを、まるで実物かと思わせるほど鮮やかに描いた、いわば果物の画集。

 


『たまごのあかちゃん』

文/神沢 利子
絵/柳生 弦一郎
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
1993年2月10日発行

「たまごのなかでかくれんぼしているあかちゃんはだあれ?でておいでよ」と呼びかけると、卵の中から次々と赤ちゃんが出てきます。リズミカルな文と、ユーモラスな絵が楽しめます。

 


『でてこい でてこい』

作/はやし あきこ
定価/880円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1998年4月15日発行

だれかかくれているよでてこいでてこい」と色紙に呼びかけると、「げこげこげこ」「ぴょーんぴょん」といろいろな動物たちが跳び出してきます。色と形の愉快な絵本です。

 


『もう おきるかな?』

文/松野 正子
絵/薮内 正幸
定価/880円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1998年6月10日発行

動物たちが親子で気持ちよさそうに眠っています。「もうおきるかな?」ページをめくると「あー、おきた! 」最後にゾウの親子も起き上がり、さあ、鼻と鼻をつないでおでかけです。

 


『いないいないばあ』

文/松谷 みよ子
絵/瀬川 康男
定価/770円(税込)
対象/0歳から
童心社
1967年4月15日発行

「赤ちゃんだからこそ美しい日本語と最高の絵を」の想いから、日本初の本格的な赤ちゃん絵本として誕生して半世紀。はじめて出会う一冊として、世代を越えて読みつがれています。いないいない、ばあ。にゃあにゃが、くまちゃんが、ほらね、いないいない……。親子の伝承遊びを絵本に再創造した作品。

 


『がたん ごとん がたん ごとん』

作/安西 水丸
定価/880円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1987年6月30日発行

がたんごとんがたんごとんと、まっ黒な汽車がやってきます。駅で待っているのは哺乳瓶。「のせてくださーい」と言って汽車に乗り込みます。ふたたび出発し、がたんごとんと次の駅へ行くと、こんどはコップとスプーンが「のせてくださーい」。さらに次の駅では、リンゴとバナナが、ネコとネズミが「のせてくださーい」。みんなをのせて汽車は「がたんごとん」と終着駅へ。そこは……。

 


『もこ もこもこ』

作/谷川 俊太郎
絵/元永 定正
定価/1430円(税込)
対象/赤ちゃんから
文研出版
1977年4月発行

「しーん、もこもこ、にょきにょき」とふくれあがったものは、みるまに大きくなってパチンとはじけました。詩人と異色の画家がおりなす不思議でおかしな世界の絵本。

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ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)

 

1965年にスロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで創設され、50周年の節目を迎えた、絵本画家に贈られる最も古い国際賞のひとつです。

第1回ビエンナーレは2年後の1967年に開催され、25カ国から320の作品が集まりました。これまでに100カ国、7000を超える作品に展示の機会を提供し、世界中の出版社や子どもたちの注目を集めています。

刊行された絵本から、特に芸術性の高い作品や、実験的で新鮮な表現や、独創的でユニークな作品が評価され、1点のグランプリ、5点の「金のリンゴ賞」、同じく5点の「金牌」が選出されます。その選出方法から、絵本のこれからをうかがい知ることができる賞だといえます。

 


日本人画家 歴代「グランプリ」受賞作品

 

  1. 1967年 瀬川 康男『ふしぎなたけのこ』
  2.  


  3. 1998年 中辻 悦子『よるのようちえん』
  4.  


  5. 2003年 出久根 育『あめふらし』

 


日本人画家 歴代「金のりんご賞」受賞作品

 

  1. 1969年 田島 征三『ちからたろう』
  2.  


  3. 1971年 丸木 位里、丸木 俊『日本の伝説』
  4.  


  5. 1973年 梶山 俊夫『かぜのおまつり』
  6.  


  7. 1977年 安野 光雅『あいうえおの本』
  8.  


  9. 1979年 安野 光雅『旅の絵本 2』
  10.  


  11. 1979年 谷内 こうた『のらいぬ』
  12.  


  13. 1981年 谷内 こうた『つきとあそぼう』
  14.  


  15. 1983年 藤城 清治『銀河鉄道の夜』
  16.  


  17. 1989年 瀬川 康男『清盛』(絵巻平家物語)
  18.  


  19. 1997年 梶山 俊夫『わらべうた』
  20.  


  21. 1997年 北見 隆『聖書物語』
  22.  


  23. 1999年 関屋 敏隆『オホーツクの海に生きる』
  24.  


  25. 2001年 高部 晴市『やまのじぞうさん』
  26.  


  27. 2013年 きくち ちき『しろねこくろねこ』
  28.  


  29. 2013年 はいじま のぶひこ『きこえる?』
  30.  


  31. 2015年 ミロコ マチコ『オレときいろ』
  32.  


  33. 2017年 荒井 真紀『たんぽぽ』
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『わたしが正義について語るなら』

著/やなせ たかし
定価/858円(税込)
対象/中学生から
ポプラ社
2013年11月発行

 


『それいけ! アンパンマン』

作・絵/やなせ たかし
定価/968円(税込)
対象/4歳から
フレーベル館
1975年11月発行

 


正義の味方というけれど、本当の正義とはいったい何だろう? 我々が本当にスーパーマンに助けてもらいたいのは、たとえば、失恋して死にそうな時、おなかがすいてたおれそうな時、あるいは旅先でお金がなくなった時、その他いろいろあるわけで、そういう細かいところに気がつく優しいスーパーマンがいてほしいのです。

アンパンマンを人気者にしたのは園児たちです。
1975年に出版された絵本『それいけ! アンパンマン』は最初、おなかをすかせた人を助ける設定が子どもには難しいとか、顔を食べさせるなんて残酷とか、大人には全然受け入れられなかったそうです。

でも、子どもはこの絵本のおもしろさに気がつきました。
ある幼稚園の棚で、ボロボロになるまで読まれた「アンパンマン」をみて、ようやく大人はその考えを改めたといいます。

自分の哲学を語れる作家は強いです。
その信念を信じてこれを絵本にしたフレーベル館の編集者もすごいです。この本を読んだ後、改めて「アンパンマン」を読んでみると、もっと心が豊かになると思います。

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目次

  1. 阿川佐和子さん講演会「妄想のススメ」レポート①
  2. 阿川佐和子さん講演会「妄想のススメ」レポート②

 


テレビでもおなじみのエッセイスト、阿川佐和子さん。ユーモアを交えてたっぷり語ってくれた子ども時代は、意外にも読書が苦手だったとか。そんな少女が、どうして「かつら文庫」に通うことになったのか、石井桃子さんとの思い出、そして阿川さんが考える絵本の魅力について、2回に分けてレポートします。

こどものとも

 


かつら文庫のはじまりの本当

 

1958年に、石井桃子さんが荻窪の自宅を改装してはじめた、地域の子どものためのちいさな図書館が「かつら文庫」です。
子どもの本に関わる仕事をしていた石井桃子さんは生涯独身。阿川さんによると、子どものいなかった石井さんが、もっと子どもの気持ちに寄り添いたいと自宅を開放して招いたというのが、「かつら文庫」のはじまりだそう。

ときどき2階から、執筆中の原稿を持った石井桃子さんが降りてきて、子どもたちを集めて実際に読んで聞かせては「なるほど、これは良し、これは直し」と、その反応を作品に活かしていたということです。
「かつら文庫」の棚には、教訓的なもの、偉人の伝記のような本は1冊もなかったという話も印象的でした。

 


バージニア・リー・バートンにがっかり?!

 

そんな「かつら文庫」ができてすぐに、読書家のお兄さんが通うことになり、本よりも外で遊ぶことが好きだった幼い阿川さんも、ただお兄さんのマネっこがしたくて一緒についていくことに。
なにより、子どもたちだけで出かけ、電車に乗り、荻窪までの大冒険が楽しかったそうで、「かつら文庫」に着いても、ひとり縁側から庭に出て、お花を摘んだり、サルスベリの木に登ったりして遊んでいたというおてんば。

それでも、石井桃子さんが訳した絵本『ちいさいおうち』は大好きだったと阿川さん。それを知っていた石井桃子さんの計らいで、小学生低学年のとき、バージニア・リー・バートンに会わせてもらったというのは、子ども時代のうらやましい宝物のようなエピソードです。
大きな模造紙を壁にはり、その場で即興で絵を描いてくれるというリー・バートンに、「ちいさいおうちの、どの場面を描いてくれるんだろう!」と、胸を躍らせていた少女。
ところが、勢いのある長い線で描かれたのは思ってもみなかった「恐竜」で、当時は「本当にがっかりした」と、いかにも子どもらしい本音が。
そう、お察しの通り、その後出版される『せいめいのれきし』の一場面です。このときの原画は今でも「東京子ども図書館」に飾ってあるそうです。観てみたい!

 


『正義のセ』

著/阿川 佐和子
絵/荒井 良二
定価/1430円(税込)
角川書店
2013年3月発行

 


『ちいさいおうち』

文・絵/バージニア・リー・バートン
訳/石井 桃子
定価/1870円(税込)
対象/4、5歳から
岩波書店
1965年12月16日発行

 


『せいめいのれきし』

文・絵/バージニア・リー・バートン
訳/石井 桃子
定価/1870円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1964年12月15日発行

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目指したのではなく、導かれるように絵本作家へ

 

細いカラダ、丸眼鏡に蓄えたひげ、つぶらな瞳。
それでいて、発する言葉は強く、あちこちにほとばしるエネルギーは、いかにも芸術家らしい。

大学時代に制作した絵本『しばてん』を、親交のあった和田誠さんが、すでに売れっ子作家だった今江祥智さんに売り込んでくれたことが絵本作家になるきっかけだそうです。
だいたいこういうエピソードは、どうして著名な人同士がつながっているのか不思議に思っていたこともありますが、違うんですよね。良い環境が人をつくる、その結果が今なんです。だから腕を磨くのと同じくらい、どこに属すのかを見極めることが大事。

話がそれましたが、今江さんは電車の中でそれを読んで、感動して涙したといいます。
田島さんは、自分の絵が「顔も知らない誰かを感動させることができるんだ」と感激して、本格的に絵本を出版社に売り込んでいきます。

ところが、どこも相手にしてくれなかった。
唯一、福音館書店の松居直さんだけが「この作品は子ども向きじゃないけれど、絵がおもしろいから、僕とつきあってくれますか」と声をかけてくれたそうです。いかにも松居さんらしい穏やかな言い回しで、そのときの様子が目に浮かぶようです。

当時の田島さんは何しろお金がなくて、「松居さん、つきあっている間もお金はもらえますか」と尋ねました。
もちろん、そんなことはできるはずがないのですが、その代わりに「なるべく早く本にしましょう」と松居さんは答えました。
そうやってできたはじめての絵本が『ふるやのもり』(文・瀬田貞二)で、1964年のことです。
本屋に並んだ時は「うれしかった!」と目を輝かせ、ずっと棚の横でお客さんが来るのを待っていたと、当時を振り返っていました。

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「こどもの美しい花園を踏みにじる汚い絵」と酷評されて奮起

 

おそらく、その頃の田島さんは、こどものよろこびのため以上に、自分が生きることで精一杯だったと思います。
そうだとしても、幼稚園の先生たちからは「こども向きじゃない汚らしい絵だ」と散々な言われようでした。なかでも

「芸術家のエゴで、こどもの美しい花園を踏みにじるのはやめてほしい」

という言葉は強烈で、今でもはっきりと記憶しているといいます。

一方で、長新太さんや赤羽末吉さんといった憧れの作家たちが、独創的な絵を気に入ってくれ、瀬川康男さんはその頃住んできた3畳間を尋ねてやってきて、泊まって帰ったこともあったそうです。そうしたことを励みに、どんなに敵が多くてもこの道はゆずれない、と絵本作家としての覚悟を決めました。

今も通じる難しい問題だなと思うのは、覚悟を決めても、散々に言われた絵描きの仕事が続かないことです。
幼稚園の先生や、親の目線に合わせるだけでは、表現者は窮屈になるし、新しいものは生まれない。だからといって、本を選んで買う読者を無視していれば、そもそも絵本を手にとってもらうことはできません。やがて田島さんは栄養失調になります。

なんとか生かさないといけない。これは想像ですが、田島さんの画家としての才能を信じた編集者や仲間の作家たちが、アイデアを絞り出したんだと思います。売れっ子の今江祥智さんの文に、絵を描けば本にできるんじゃないか。この『ちからたろう』(ポプラ社、1968年)はよく売れて、翌年には「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」において「金のりんご賞」を獲得します。

 


老いて知る表現者としての本当の戦いかた

 

「若い時は戦う姿勢が強すぎた」と田島さんはいいます。
自分の思い描く世界と、それを受け入れてくれる世界のギャップが苦しかったんだと思います。

『ちからたろう』がせっかく評価されたにも関わらず、ようやくつながった次の作品では、まったく違う表現の絵を描いて、編集者や読者の期待を裏切る。
少なくない印税が入るようになったらなったで、「お金が入るとダメになる」と考え、今まさに売れている絵本を出版社に掛けあって絶版にしてもらう。そんなことをしているうちに、またお金がなくなったら、今度は違う出版社に再販のお願いをする。
出版社である僕の立場からすれば、嫌な汗が流れるような恐ろしい話です。絵本づくりにどれだけの人がかかっているのか、周囲の苦労など微塵も考えなかったそうです。

それでも、今もこうして絵本作家として活躍を続けられていることは、芸術家としてのプライドと、絵本づくりにおけるアウトプットの試行錯誤に、自分なりの折り合いをつけることができたからでしょう。
そして、それ以上に大きいのは、こどもが大好きだということ。廃校を舞台にした立体絵本「絵本と木の実の美術館」の活動を、とても楽しそうに話す田島さんの姿から、そんなふうに感じました。

 


『ちからたろう』

文/今江 祥智
定価/1100円(税込)
対象/3歳から
ポプラ社
1967年6月発行

百かんめの金ぼうをかた手に、のっしじゃんが、のっしじゃんがと力修行にでて行くちからたろうのゆかいなお話。

 


『ふるやのもり』

再話/瀬田 貞二
定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1969年4月10日発行

じいさんとばあさんが育てている子馬をねらって、泥棒と狼は、それぞれ厩に忍びこんでかくれていました。じいさんとばあさんが「この世で一番怖いのは、泥棒よりも、狼よりも“ふるやのもり”だ」と話しているのを聞いて、泥棒と狼は、どんな化け物だろうと震えていると、そのうち雨が降ってきて古い家のあちこちで雨漏りしてきて……。

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『いやいやえん』

作/中川 李枝子
絵/大村 百合子
定価/1430円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1962年12月25日発行

 


僕自身がどうだったのかは覚えていませんが、甥っ子の口癖が「いーや!」だったのは、記憶に新しいです。
そんな体験を経て、改めて手にとった『いやいやえん』は、本当にすごい1冊だと感激しました。

おもしろさの理由は、なんといってもお話のリアリティです。

元気だけど、わがままできかんぼうの保育園児のしげるが主人公の童話集。しげるたちが積み木でつくった船でクジラをとりにでかけるお話や、山のぼりで山の果物を食べすぎてしまうお話、赤いバケツをもって保育園にやってきた小ぐまの話など、全部で7つのお話がはいっています。表題作『いやいやえん』では、なんでもいやだ、いやだと駄々をこねるしげるが、「いやいやえん」に連れてこられます。「いやいやえん」とはいったどんな園なのでしょうか?

積み木でつくった船に乗って、男の子がくじらを釣りに海へ出る「くじらとり」のお話も、手紙を書いてちゅーりっぷほいくえんにやってきたくまの子と、園児が次第に仲良くなる「やまのこぐちゃん」のお話も、子どもにとっては全部「ホント」のこと。

のびのびと、それでいて何でもありにはしない、「あるある」の絶妙のさじ加減。

原作は中川李枝子さん(『ぐりとぐら』の作者)が24歳のときに書かれたそうで、その若さで本質を見抜く目におどろきます。

当時は現役の保母さんですから、お話のタネの宝庫だったんですよね。

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『きょうのごはん』

作/加藤 休ミ
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
偕成社
2012年9月発行

 


今いちばんおなかのすく絵本です。加藤休ミさんの描くごはんのリアリティといったらすごい。

例えば、秋刀魚の皮の焼き目なんて、今にも香ばしいにおいがしてきそうで、うっかりページに鼻が付きそうになります。
見れば見るほど、皮の向こうにふっくら焼けた身がありそうで、もしかすると本当に生の秋刀魚から描いて、ちょっとずつグリルしていくように色を重ねていったんじゃないかと思わせます。

ネコがご近所を練り歩いて夕飯パトロール! ここのお家の今晩のごはんはなにかな? リアルな食べ物の絵はまさに垂涎ものです。

カレーもすごい、オムライスもすごい。とにかく全部がおいしそう。
きっと加藤さんは食べることが好きな作家さんなのでしょう。良い意味で狂気さえ感じます。

1976年生まれの同世代。いつか絵本づくりをご一緒したい作家さんのひとりです。

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