編集長の読書感想文 子どもの世界のリアルを見事に書いた児童書『いやいやえん』

『いやいやえん』

作/中川 李枝子
絵/大村 百合子
定価/1430円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1962年12月25日発行

 


僕自身がどうだったのかは覚えていませんが、甥っ子の口癖が「いーや!」だったのは、記憶に新しいです。
そんな体験を経て、改めて手にとった『いやいやえん』は、本当にすごい1冊だと感激しました。

おもしろさの理由は、なんといってもお話のリアリティです。

元気だけど、わがままできかんぼうの保育園児のしげるが主人公の童話集。しげるたちが積み木でつくった船でクジラをとりにでかけるお話や、山のぼりで山の果物を食べすぎてしまうお話、赤いバケツをもって保育園にやってきた小ぐまの話など、全部で7つのお話がはいっています。表題作『いやいやえん』では、なんでもいやだ、いやだと駄々をこねるしげるが、「いやいやえん」に連れてこられます。「いやいやえん」とはいったどんな園なのでしょうか?

積み木でつくった船に乗って、男の子がくじらを釣りに海へ出る「くじらとり」のお話も、手紙を書いてちゅーりっぷほいくえんにやってきたくまの子と、園児が次第に仲良くなる「やまのこぐちゃん」のお話も、子どもにとっては全部「ホント」のこと。

のびのびと、それでいて何でもありにはしない、「あるある」の絶妙のさじ加減。

原作は中川李枝子さん(『ぐりとぐら』の作者)が24歳のときに書かれたそうで、その若さで本質を見抜く目におどろきます。

当時は現役の保母さんですから、お話のタネの宝庫だったんですよね。