絵本の豆知識

目次

  1. 作家編
  2. 画家編

◉歴代の画家賞

    1. 2022年
      イ・スジ(Suzy Lee、韓国)


    1. 2020年
      アルベルティーヌ・ズッロ(Albertine Zullo、スイス)


    1. 2018年
      イーゴリ・オレイニコフ(Igor Oleynikov、ロシア)


    1. 2016年
      ロートラオト・ズザンネ・ベルナー(Rotraut Susanne Berner、ドイツ)


    1. 2014年
      ホジェル・メロ(Roger Mello、ブラジル)


    1. 2012年
      ピーター・シス(Peter Sís、チェコ共和国)


    1. 2010年
      ユッタ・バウアー(Jutta Bauer、ドイツ)


    1. 2008年
      ロベルト・イノチェンティ(Roberto Innocenti、イタリア)


    1. 2006年
      ヴォルフ・エァルブルッフ(Wolf Erlbruch、ドイツ)


    1. 2004年
      マックス・ベルジュイス(Max Velthuijs、オランダ)


    1. 2002年
      クェンティン・ブレイク(Quentin Blake、イギリス)


    1. 2000年
      アンソニー・ブラウン(Anthony Browne、イギリス)


    1. 1998年
      トミー・ウンゲラー(Tomi Ungerer、フランス)


    1. 1996年
      クラウス・エンジカット(Klaus Ensikat、ドイツ)


    1. 1994年
      イエルク・ミュラー(Jörg Müller、スイス)


    1. 1992年
      クヴィエタ・パツォウスカー(Kveta Pacovská、チェコスロヴァキア)


    1. 1990年
      リスベート・ツヴェルガー(Lisbrth Zwerger、オーストリア)


    1. 1988年
      ドゥシャン・カーライ(Dusan Kállay、チェコスロヴァキア)


    1. 1986年
      ロバート・イングペン(Robert Ingpen、オーストラリア)


    1. 1984年
      安野 光雅(日本)


    1. 1982年
      ズビグニエフ・ルィフリツキ(Zbigniew Rychlicki、ポーランド)

    1. 1980年
      赤羽 末吉(日本)


    1. 1978年
      スベン・オットー(Svend Otto S.、デンマーク)


    1. 1976年
      タチヤーナ・マーヴリナ(Tatjana Mawrina、ソ連)


    1. 1974年
      ファルシード・メスガーリ(Farshid Mesghali、イラン)


    1. 1972年
      イブ・スパング・オルセン(Ib Spang Olsen、デンマーク)


    1. 1970年
      モーリス・センダック(Maurice Sendak、アメリカ)


    1. 1968年
      イジー・トルンカ(Jirí trnka、チェコスロヴァキア)


    1. 1966年
      アロイス・カリジェ(Alois Carigiet、スイス)

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◎エルンスト・クライドルフ
1863年、ベルン生まれ。幼少の頃から草花や虫を観察しスケッチをすることが大好きで、20歳になると画家を志してミュンヘンへ移り住む。しかし、美術アカデミーの学費を稼ぐための多忙な生活から体調を崩し、南バイエルンのパルテンキルへンで療養生活を送ることに。アルプスの大自然で幼い頃に夢中だった草花や虫の世界と再会し、そのよろこびが生涯にわたる創作のテーマとなっていった。1898年に出版された『花のメルヘン』は大成功を収め、絵本画家としての大きな一歩を踏み出す。ヨーロッパにおける絵本画家の草分け的存在。

 

『くさはらのこびと』

訳/大塚 勇三
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1970年9月5日発行

朝の輝かしさ、小人の結婚式のはなばなしさ、バッタを馬にした決闘の緊迫感……。草原に住む小人たちの生活と冒険が、美しいスイスの自然をバックにして、あざやかに展開していきます。

 


『ふゆのはなし』

訳/大塚 勇三
定価/1430円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1971年3月発行

冬、3人の小人が雪をかきわけて、いとこの7人の小人を訪ねていきます。そこには白雪姫がきているのです。深い雪と氷を舞台に、小人と白雪姫のあたたかい交流を美しい絵で描ききったスイスの代表的な古典絵本。

 


『バッタさんのきせつ』

訳/佐々木田 鶴子
定価/1650円(税込)
対象/2、3歳から
ほるぷ出版
2012年4月発行

草や花、虫や動物たちを愛情あふれるまなざしで見つめ、ユーモアいっぱいの絵本にしました。

 


◎アロイス・カリジェ
1902年、トゥルン生まれ。11人兄弟の7番目として、貧しい田舎で幼少期を過ごしたが、その後、州都クールへ引っ越した。装飾芸術の見習いの後、1923年からはチューリッヒでグラフィックデザイナーとして技術を学んでいく。39年までの活動で取り組んだ作品に、「パリ万国博覧会」でのスイスパビリオンのジオラマや、「スイス全国博覧会」の公式ポスターデザインなどがある。故郷のトゥルンで休日を過ごしている中で大自然に魅了され、そこに戻って暮らすことを決意、さらに自身の芸術的方向性を絵画へと変えた。

 

『大雪』

文/ゼリーナ・ヘンツ
訳/生野 幸吉
定価/1980円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1965年12月発行

アルプスの山の小さな村にくらすきょうだい、ウルスリとフルリーナのお話。ふりしきる雪のなか、明日のそり大会のためにふもとの村まで毛糸のかざりを買いに行ったフルリーナが、なかなか帰ってきません。ウルスリは心配して妹をさがしに出かけますが……。

 


『ウルスリのすず』

文/ゼリーナ・ヘンツ
訳/大塚 勇三
定価/2200円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1973年12月発行

アルプスの山おくに元気な男の子ウルスリが住んでいます。明日はすず行列のおまつり。村の男の子たちは牛の首につけるすずを鳴らして冬をおいだし、春を迎えます。ウルスリはいちばん大きなすずを手に入れて、先頭に立ちたいとはりきります。

 


『フルリーナと山の鳥』

文/ゼリーナ・ヘンツ
訳/大塚 勇三
定価/2420円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1974年12月発行

フルリーナはキツネにおそわれそうになっていたオオライチョウのひなを見つけ、飼いならそうとしますが……。アルプスのきびしく美しい自然と、そこに住む人々の素朴な生活を描きます。

 


◎ハンス・フィッシャー
1909年、ベルン生まれ。ジュネーブの美術学校で装飾画を、チューリッヒの芸術学校で版画を学んだ後、パリに渡り働きながら絵を学んだ。帰国後はショーウィンドウの飾り付け、舞台美術、新聞の挿絵などいろいろな仕事をするが、過労で倒れてしまう。療養のために家族と校外に引越し、釣りをしたり植物のスケッチをしたり、子どもと遊んだりして静かに暮らす中、長女ウルスラのために『ブレーメンのおんがくたい』を描いた。このとき絵本が自分の芸術表現にとって最適なものだと感じ、以降3人の子どもたちのために絵本を創作する。

 

『こねこのぴっち』

訳/石井 桃子
定価/1650円(税込)
対象/4、5歳から
岩波書店
1954年12月10日発行

リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとしておぼれてしまいます。

 


『ブレーメンのおんがくたい』

文/グリム
訳/瀬田 貞二
定価/1540円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1964年4月15日発行

飼い主に見放されたろばといぬとねことおんどりが、ブレーメンの町の音楽隊にはいろうとそろって出かけます。途中で日が暮れて、やっとたどりついたのは、なんとどろぼうの家でした。おんどりはねこの上に、ねこはいぬの上に、いぬはろばの上にたって、いっせいに窓から部屋へなだれこみました。驚いたどろぼうたちはいったんは逃げだしますが、再び家にもどってきます。4ひきは家の中で寝ていましたが……。ゆかいなグリムの昔話絵本です。

 


『たんじょうび』

訳/大塚 勇三
定価/1540円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1965年10月1日発行

リゼッテおばあちゃんは、ネコやイヌやメンドリやヤギなど、たくさんの動物たちと一緒に幸せに暮らしています。今日は、おばあちゃんの76才のお誕生日。おばあちゃんが村へ買い物に行っている間に、動物たちはお誕生日のお祝いをしようと大奮闘します。ロウソクを76本買いにいったり、卵を36個も産んでケーキを焼いたり、花をつんだり……。夕方にくたびれて帰ってきたおばあちゃんをすばらしい贈り物が待っていましたよ。

 


『長ぐつをはいたねこ』

訳/やがわ すみこ
定価/1320円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1980年5月20日発行

あるとき、粉屋が死んで、3人の息子たちは遺産を分けることになりました。1番目の息子は風車を、2番目の息子はロバをもらいましたが、3番目の末息子は、たった1匹のねこだけでした。落ち込む末息子に、ねこは長ぐつと袋を1つ用意するようにたのみます。ねこは末息子が用意した長ぐつをはくと袋を背おい、なんと王様のところへでかけていきました。ねこはいったい何をするつもりなのでしょう? 末息子はいったいどうなるのでしょうか?

 


◎フェリックス・ホフマン
1911年、アーラウ生まれ。バーゼルの美術学校を経て、ドイツの美術学校で木版画とイラストを学び、35年に帰郷。アトリエを構え画家として活動する傍ら、市立中学校の美術教師として生活する。36年に結婚、1男3女に恵まれた。しかし、第二次世界大戦により多くの時間を兵役で費やすこととなり、父親として子どもたちに手描きの絵本をつくるように。家族だけの楽しみだったこれらの絵本は、1949年に『ラプンツェル』を皮切りに出版され、その後世界中で親しまれた。

 

『ねむりひめ』

文/グリム
訳/瀬田 貞二
定価/1430円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1963年10月1日発行

子どもがいない王さまとお妃さまのもとに、待望の女の子が生まれました。そこで、王さまは盛大なお祝いをひらき、うらないおんなたちを招待します。招待されたうらないおんなたちは、次々に王女に贈りものをします。ところが、ひとりだけ招待されなかったことを恨みに思った13番目のうらないおんなが、「ひめは、15になったら、つむにさされて、たおれてしぬぞ!」と叫びます。うらないを恐れた王さまとお妃さまは、姫をお城の塔にとじこめてしまいます。

 


『おおかみと七ひきのこやぎ』

文/グリム
訳/瀬田 貞二
定価/1540円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1967年4月1日発行

おおかみを家にいれないよう注意しなさい。おかあさんやぎはこやぎたちにそういって森に食べものを探しにでけます。こやぎたちは、おおかみの「しわがれ声」や「黒い足」をしっかり見ぬいて、おおかみを追い払います。しかし、おおかみは知恵を働かせて「しわがれ声」を「きれいな声」に、「黒い足」を「白い足」に変えて再びこやぎたちの家にやってきます。こやぎたちは、とうとうおおかみに騙されて家の扉をあけてしまいます。

 


『クリスマスのものがたり』

訳/しょうの こうきち
定価/1430円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1975年10月10日発行

ユダヤの国に、ヨセフとマリヤという若い男女がいました。ある日、天使ガブリエルがマリヤの前に現れ、「男の子を身ごもるだろう」と伝えにきました。そしてクリスマスの夜、ヨセフとマリヤの間に男の子が生まれ、天使の予言どおりにイエス・キリストと名付けました。宗教を抜きにしても、これほど感動的で劇的な物語はほかにないでしょう。

 


『くまの皮をきた男』

訳/佐々 梨代子、野村 泫
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
こぐま社
2012年7月発行

「くまの毛皮を着て、身体を洗わず、神にも祈らずに7年間生きのびれば、金持ちにしてやる」。悪魔と契約を交わした若者は“くまっ皮”と名乗って放浪の旅を続けますが……。

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ディック・ブルーナ(Dick Bruna)は、1927年、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家です。
20代は親が経営する出版社ブルーナ社でグラフィックデザイナーとして多くの装丁の仕事をこなしました。鮮やかな色使い、シンプルで大胆な構成の表現方法は、この頃に磨かれたようです。

実際、ブルーナだけでなく優れた赤ちゃん絵本作家はグラフィックデザイナーであることが多いです。少ない情報量でいかに読者を引きつけるのか、対象の年齢は違えど、創作の取り組みかたが似ているからだと思います。
ブルーナの特徴的なイラストを構成する赤・黄・青・緑・茶・グレーの6色は「ブルーナ・カラー」と呼ばれています。

現地では『nijntje(ナインチェ)』で親しまれるミッフィーの原型が誕生したのは1955年、ブルーナがまだ28歳の頃です。
当時の子ども向けの絵本は、写実的な表現が主流だったため、「斬新」にみえたこの作品は大人から不評でした。ところが、子どもにはウケた。
結果、ブルーナは赤ちゃん絵本の表現に革命を起こしました。この劇的な変化以降、今では科学的根拠も語られるようになり、赤ちゃん絵本は少しずつ進化しています。

約60年にわたる創作活動を通じて120作を超える絵本を刊行。全世界で50カ国語以上に翻訳され、8500万部以上の絵本が売れています。

僕はオランダに行ったことがあって、それまでユトレヒトは勝手なイメージでちいさな田舎町を想像していました。アムステルダムから足を伸ばしてユトレヒトを訪れたときも、もしかしたら散歩中のブルーナさんに会えるかもしれないという淡い期待をしていたのですが、実際は洗練された大きな街で意外だったことを覚えています。

でも改めてみるとミッフィーほど都会的で洗練されたデザインはありません。

 


『ちいさなうさこちゃん』

定価/770円(税込)
対象/1歳から
福音館書店
1964年6月1日発行

うさぎのふわふわさんとふわおくさんはとっても仲良しです。あるひ、ふわおくさんのところに天使がやってきて、かわいい赤ちゃんが生まれました。ふたりは赤ちゃんに「うさこちゃん」という名前をつけます。太った牛ににわとり、たくさんの動物がうさこちゃんを見にやってきて、ふたりにお祝いの言葉を贈ります。「うさこちゃん」シリーズの代表作。

 


『うさこちゃんと うみ』

定価/770円(税込)
対象/1歳から
福音館書店
1964年6月1日発行

うさこちゃんは、父さんが引く車に乗って、海に出かけます。海岸で貝を拾うためにバケツを持っていきます。ひとりで水着に着がえることもできました。砂山作りに貝ひろい水遊びと目いっぱい遊びました。まだまだ遊びたいけれど、今日はもうおしまいです。たくさん遊んだうさこちゃんは、帰り道にくるまの上で眠ってしまいました。

 


『ゆきのひの うさこちゃん』

定価/770円(税込)
対象/1歳から
福音館書店
1964年6月1日発行

雪がたくさんふった日、うさこちゃんは外に遊びにいきます。帽子、長靴、えりまき、手袋、準備は万端です。そりすべり、スケート、雪だるま、楽しく遊んでいたうさこちゃんでしたが、雪の中で泣いている1羽の小鳥をみつけます。小鳥は寒くて泣いているのです。うさこちゃんは、かなづちや木切れをお父さんからかりてきて、小鳥のおうちをつくりはじめます。とんかんかん。どんなおうちができたかな?小鳥はよろこんでくれたかな?

 


『ふしぎな たまご』

定価/770円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1964年6月1日発行

野原に白いたまごがおちていました。めんどりも、おんどりも、いぬも、ねこも、「わたしのだよ」というのですが……。

 


『ちいさな さかな』

定価/770円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1964年6月1日発行

「ぱんのかけらはないかしら」小さなさかなが泳いでいると女の子がぷくぷく水の中におちてきました。さあ大変……。

 


『じのない えほん』

定価/770円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1968年11月15日発行

おや、この男の子なにをしているのかな。歯をみがくところかな。みんなでおはなしをつくる字のない絵本です。

 


『まる、しかく、さんかく』

定価/770円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
1984年1月30日発行

丸いもの、ボールにおさらに時計。四角いものはハンカチ、本。では三角は?身のまわりからみつけてみましょう。

 


『うさこちゃんの おうち』

定価/770円(税込)
対象/1歳から
福音館書店
2010年3月15日発行

赤い屋根のおうちに住んでるうさこちゃん。今日はうさこちゃんのお気に入りの持ち物を紹介しますよ。とってがふたつついたコップにスプーンにお皿。大きなタンスのなかにはお洋服がいっぱい! うさこちゃんの大好きな、あの花模様のワンピースもありますよ。それに、おもちゃがたくさんはいったおもちゃ箱と、大好きなお人形! うさこちゃんって、ずいぶんな物持ちなんですね!

 


『うさこちゃん おばけになる』

定価/770円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
2010年3月15日発行

いたずら好きのうさこちゃん。ある日おばけに変身してみんなを驚かしてやろうと思いつきます。さっそくお母さんに古いシーツをかぶせてもらって、穴をあけたら……おばけうさこのできあがり!  さっそくうさこちゃんは「こわーいおばけだぞうー」とお友だちを脅かします。一目散に逃げ出したういるめいんとあーは。でも、ひょっこり出くわした、大好きなふわこおばさんまで逃げ出してしまい、うさこちゃんはおばけになるのがイヤになってしまいました……。

 


『だれの なきごえかな?』

定価/770円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
2013年4月10日発行

「こっこっこっ」と鳴くのは、だあれ?答えは、めんどりさん。じゃあ、「こけっこっこー」は、だあれ?答えは、おんどりさん。めえぇぇ~と鳴くのはひつじさんで、ぷくぷくいうのは魚さん。ほかにも、うしやいぬ、ねこ、ねずみなどなど、幼い子どもにとって身近な動物たちが続々現れ、ユニークで楽しい鳴き声を披露してくれます。

 


『おおきくなったら なにになる?』

定価/770円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2014年4月5日発行

大人になったら何になる?想像する男の子と女の子。僕はサッカー選手。私は体操選手! サーカスのピエロはどうかな?テレビのアナウンサーも面白そう! 王さまになるのも悪くないぞ。それじゃあ、私は女王さまになる! でも、やっぱり……僕はお父さんになる! それなら、私はお母さん! 子どもにとって、未来の自分の姿は無限の可能性を秘めたもの。子どもの憧れる様々な職業を紹介します。君はどんな仕事をしてみたい?

 


『はる なつ あき ふゆ』

定価/770円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
2015年4月10日発行

白クマの子が、季節ごとにいろいろな体験をします。花が咲き、チョウが舞い、ひよこが生まれる喜びの季節、春。木には葉が茂り、プールやお昼寝を楽しんだ後、洋ナシの収穫をする夏。葉が落ち、長雨が続き、たきぎを拾って冬の準備をする秋。やがて雪が降って、雪だるまを作る冬になります。そして季節は巡って、また喜びに満ちた再生の季節、春がやってきます。

 


『ろってちゃん』

定価/770円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2016年3月20日発行

あーはが友達の双子とボール遊びをしていると、車椅子に乗った女の子、ろってがやってきました。あーはは、一緒にやろうと声をかけますが、双子は気乗りのしない様子。それを見たあーはは、ろってを入れないなら自分も遊ばないと言います。仕方なく双子も同意して、ろっても仲間に入るのですが、いざボール遊びを始めてみると、ろっての上手なこと! 四人はすっかり仲良くなって、翌日も遊ぶ約束をして別れます。

 


『かぞえてみよう』

定価/770円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2018年2月10日発行

燭台に灯のともったろうそくが、1本。女の子のお下げに結ばれたリボンは、2個。器に盛られたりんごは、3個。並んだスプーンは、4本。ぴょんぴょん跳ねてるこうさぎは、5羽。ブルーナさんならではの明快なフォルムと色づかいで、子どもにとって身近なものや動物と、その数が描かれます。子どもは、数を数えるのが大好き。数に興味をもちはじめた子どもにぴったりの、楽しくってわくわくできる数の絵本です。

 


『はりねずみの ぼうけん』

定価/770円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
2019年4月5日発行

ある日、はりねずみのはりこちゃんはマフラーを買いに町に行くことにしました。でも町は、どこもかしこも車、車、車! びっくりしたはりこちゃんですが、なんとかお店までやってきました。ショーウィンドーの色とりどりのマフラーや帽子を見て、どれにしようかしら、と悩むはりこちゃん。ほんの一瞬目をつむったそのとき、トラックが猛スピードでやってきてはりこちゃんをはね飛ばしてしまいます! はりこちゃんの運命やいかに?!

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目次

  1. ミリオンセラー絵本 1950〜60年代
  2. ミリオンセラー絵本 1970年代
  3. ミリオンセラー絵本 1980年代
  4. ミリオンセラー絵本 1990年代〜

 


  1. 『だるまさんが』 278万部
    作/かがくい ひろし
    2008年発行
  2.  


  3. 『はらぺこあおむし』(ボードブック版) 273万部
    作/エリック・カール
    訳/森 比左志
    1997年発行
  4.  


  5. 『だるまさんの』 193万部
    作/かがくい ひろし
    2008年発行
  6.  


  7. 『だるまさんと』 193万部
    作/かがくい ひろし
    2009年発行
  8.  


  9. 『そらまめくんのベッド』 144万部
    作・絵/なかや みわ
    1999年発行
  10.  


  11. 『ウォーリー ハリウッドへいく』 138万部
    文・絵/マーティン・ハンドフォード
    訳/唐沢 則幸
    1993年発行
  12.  


  13. 『うずらちゃんのかくれんぼ』 132万部
    作/きもと ももこ
    1994年発行
  14.  


  15. 『ウォーリー ゆめのくにだいぼうけん!』 129万部
    文・絵/マーティン・ハンドフォード
    訳/唐沢 則幸
    1997年発行
  16.  


  17. 『アンパンマンをさがせ! ミニ1』 123万部
    原作/やなせ たかし
    考案/石川 ゆり子
    2002年発行
  18.  


  19. 『くれよんのくろくん』 120万部
    作・絵/なかや みわ
    2001年発行
  20.  


  21. 『ぴょーん』 111万部
    文・絵/まつおか たかひで
    2000年発行
  22.  


  23. 『いないいないばああそび』(ボードブック版) 110万部
    文・絵/木村 裕一
    2003年発行
  24.  


  25. 『くっついた』 110万部
    作/三浦 太郎
    2005年発行
  26.  


  27. 『アンパンマンのたべものあいうえお』 106万部
    原作/やなせ たかし
    1999年発行
  28.  


  29. 『どんなにきみがすきだかあててごらん』 104万部
    文/サム・マクブラットニィ
    絵/アニタ・ジェラーム
    訳/小川 仁央
    1995年発行
  30.  


  31. 『バムとケロのおかいもの』 104万部
    作/島田 ゆか
    1999年発行
  32.  


  33. 『そらまめくんとめだかのこ』 103万部
    作・絵/なかや みわ
    2000年発行
  34.  


  35. 『ぼく、アンパンマン!』 103万部
    原作/やなせ たかし
    2007年発行
  36.  


  37. 『100かいだてのいえ』 103万部
    作/いわい としお
    2008年発行
  38.  


  39. 『バムとケロのさむいあさ』 102万部
    作/島田 ゆか
    1996年発行
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安野光雅さんの絵にはユーモアが散りばめられています。
知的で、上品なその企みに、まんまと吸い寄せられて、気がつけば微笑ましい気持ちで絵の世界に没頭していた……そんな経験をさせてくれる安野さんの絵が大好きです。
「小さなノーベル賞」とも呼ばれる「国際アンデルセン賞」画家賞を受賞された世界的画家です。

1926年、島根県津和野町生まれ。戦争の「イヤな時代」を経て、小学校で美術の先生となったことが、安野さんの絵描きのスタートになりますが、「先生」としての視点・振る舞いは、その後絵本作家になってからも作品づくりを通じて常に持っていらしたんじゃないかと思います。

安野さんの絵本には、いわゆるお勉強を題材にした作品が多くありますが、難しいことを子どもに楽しく簡単に教える独創的なアイデアは、まさに先生のそれです。どれも楽しんでいるうちに「自分で考えるくせがつく」ようになっています。

実は福音館書店 創業者の松居直さんのお子さんが、安野さんの教え子だったそうで、子どもの可能性を引き出す安野さんの教え方に「きっと面白い本を作ってくれる」と確信していたそうです。その福音館書店から多くの名作絵本が出版されますが、なんというめぐり合わせでしょう。偶然なのか、必然なのか、とてもおもしろいエピソードです。

 


『ふしぎなえ』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1971年3月1日発行

階段をあがると上の階へ、またあがると、あれあれ、もとの階にもどっています。迷路に入っていくと、いつのまにか天地がさかさまに。蛇口から流れ出した水は川となってまた水道に循環し、高架道路は地面と同じ高さに……。絵の中だけに存在する不思議な世界に、小人の案内で導かれます。世界的に人気を獲得した絵本作家・安野光雅のデビュー作です。

 


『かぞえてみよう』

定価/1760円(税込)
対象/幼児から
講談社
1975年11月19日発行

楽しみながら数の知識が身につく絵本。美しい田園風景を描きながら、はじめて数に出会う子どものために、数字を楽しく見せてくれる絵本。講談社出版文化賞絵本賞など数々の賞に輝く傑作です。

 


『あいうえおの本』

定価/1650円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1976年2月20日発行

「あ」はあんぱん、「い」はいえ……、左ページにはひらがなが、そして右ページにはその文字で始まるものの絵が、1見開きごとに描かれます。木で組み立てられ、木目まで美しく描かれたひらがなの文字と、どこかなつかしい日本の伝統的な形の絵がみごとに結びつきます。さらに、ページのまわりには文字に関連した飾りも描かれ、その中にも絵が隠れています。字を覚えるためではなく、ことばの美しさを感じることのできる1冊です。

 


『旅の絵本』

定価/1540円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1977年4月15日発行

中部ヨーロッパの自然や街並みを背景に、克明繊細な筆使いで旅の楽しさを描きだした絵ばかりの絵本。世界各国の子どもたちが喜んでいる、心おどる絵本です。

 


『天動説の本』

定価/1650円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1979年8月5日発行

地球が全宇宙の中心だと信じていたころの人びとが考えていた世界とは、いったいどんな世界だったのでしょう? 中世然とした作りの、ユニークな科学絵本。

 


『にほんご』

編/大岡 信、谷川 俊太郎、松居 直
定価/1650円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1979年11月30日発行

小学校1年の国語教科書を、自由に、独創的に構想した作業の中から生みだされた、ことばの本のベストセラー。ことばの世界のおもしろさ、深さ、広がりへと子どもたちの目を開かせます。

 


『もりのえほん』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1981年2月25日発行

森の風景に、なにやらいそう。目を凝らして見ると、あっ、ここに! そして、こっちに! 森の中には130あまりの動物がかくされています。でも、すぐさまわかるわけではありません。じーっと見つめていると、だんだんわかってくるのです。枝と枝がからまっているのが獣のように見えたり、樹木の肌が人の横顔のように見えたり。繰り返し見るたびに違った景色が立ち現れ、いろいろなものを発見し、想像がふくらみます。さあ、かくし絵の森を散策しよう。

 


『さかさま』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1981年4月30日発行

トランプのジョーカーがトランプの国をご案内。トランプの国では、どちらが上でどちらが下かわからないことばかり。トランプの兵隊たちは、「きみたちはさかさまだ」「きみたちこそさかさまだ」と何百年も前からけんかしているのです。4人(8人?)の王様たちも大弱り……。そんな「へんだ、だんへ」な国を安野光雅が、見えるままに描きます。

 


『ふしぎなさーかす』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1981年4月30日発行

真夜中の12時。机の上で小人たちによるサーカスが始まります。まずはコップの太鼓、スプーンのバイオリン、マッチ棒のフルートなどの楽団が登場。そしてペン先のジャグリング、風船の玉乗り、書き割りの絵から現れるライオン……。やがて朝になると、小人の姿は消えたけれど……。さまざまな絵遊びが繰り出されます。

 


『10人のゆかいなひっこし』

定価/1815円(税込)
対象/幼児から
童話屋
1981年10月1日発行

絵本を開くと、左ページに家があって、こどもが10人います。右ページには別の家の外面があって、こどもたちは左の家から右の家にひっこしていきます。ページをめくれば、引っ越し先の家のなか。なんにんひっこししたのかな? 家の外面の絵の窓は、実際5つが開いていて(穴あきです)、こどもたちがのぞいたりかくれたり。さて、ここにぜんぶでなんにんいるのかな? と、いくつもの引き算と足し算をすることができます。

 


『はじめてであう すうがくの絵本1』

定価/1760円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1982年11月20日発行

発見の喜び、創造の楽しさに満ちた数学の本と、すでに定評のあった作品を再編集し、新しい体裁でおとどけします。第1巻《なかまはずれ》《ふしぎなのり》《じゅんばん》《せいくらべ》

 


『蚤の市』

定価/1815円(税込)
対象/幼児から
童話屋
1983年10月1日発行

1957年のフランス映画、ルネ・クレール監督「リラの門」の一場面がモデルです。はじめの頁には、荷車を引く老夫婦。城門には時計があって、朝の5時。次の頁からは、蚤の市の始まりです。ローソク売りや古い大工道具売り、旧式カメラやタイプライターを売る屋台が並びます。野菜や果物の店も軒を連ねています。文字のない絵本ですが、絵の細部を追っていくだけで自然と物語が生まれてきます。

 


『もじあそび』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1993年3月15日発行

じを組み合わせて、いろいろなことばをつくったり、組み合わせを変えて、ちがうことばをつくったり、もじのパズルを楽しんだり……。とびきりおもしろいひらがなの絵本です。

 


『しりとり』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
2021年2月5日発行

あさひ、ひしもち、ちからこぶ……ページをめくって絵をたどり、しりとりで遊びましょう。おしりが「ん」になったらおしまいです。あれ、最後のページまで読んでも「ん」にならない? そんなひとは、最初のページに戻ると続きが始まりますよ。何度もくりかえし遊べて、美しい絵が目にも楽しい、安野光雅流のしりとり絵本です。

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コールデコット賞(Caldecott Medal)について

コールデコット賞は、1937年にアメリカ図書館協会によって創設された権威ある絵本賞のひとつです。
19世紀のイギリスのイラストレーター、ランドルフ・J・コールデコットにちなんで命名され、アメリカ合衆国で出版された絵本の中から、最も優れた作品を描いた画家に対して、年に一度授与されます。メダルは銅製で、コールデコットが『ジョン・ギルピンのゆかいなお話』で描いた、暴走する馬にまたがっているギルピンがデザインされています。

日本の子どもたちにも長く愛されている名作中の名作『ちいさいおうち』や『マドレーヌといぬ』や『かいじゅうたちのいるところ』も、これまでの受賞作として輝きを放っています。

 

目次

  1. 2000年〜2021年度
  2. 1980年〜1999年度
  3. 1960年〜1979年度
  4. 1938年〜1959年度

 


歴代の受賞作品

 

  1. 2021年 『We Are Water Protectors』
  2. 絵/ミカエラ・ゴード
    文/キャロル・リンドストロム

     


  3. 2020年 『The Undefeated』
  4. 絵/カディール・ネルソン
    文/クワミ・アレクサンダー

     


  5. 2019年 『おーい、こちら灯台』
  6. 絵・文/ソフィー・ブラッコール
    訳/山口 文生
    評論社

     


  7. 2018年 『Wolf in the Snow』
  8. 絵・文/マシュー・コーデル

     


  9. 2017年 『The Story of Young Artist Jean-Michel Basquiat』
  10. 絵・文/ジャバカ・ステップトー

     


  11. 2016年 『プーさんと であった日』
  12. 絵/ソフィー・ブラッコール
    文/リンジー・マティック
    訳/山口 文生
    評論社

     


  13. 2015年 『The Adventures of Beekle』
  14. 絵・文/ダン・サンタット

     


  15. 2014年 『走れ! ! 機関車』
  16. 絵・文/ブライアン・フロッカ
    訳/日暮 雅通
    偕成社

     


  17. 2013年 『ちがうねん』
  18. 絵・文/ジョン・クラッセン
    訳/長谷川 義史
    クレヨンハウス

     


  19. 2012年 『A Ball for Daisy』
  20. 絵・文/クリス・ラシュカ

     


  21. 2011年 『エイモスさんがかぜをひくと』
  22. 絵/エリン・E・ステッド
    文/フィリップ・C・ステッド
    訳/青山 南
    光村教育図書

     


  23. 2010年 『ライオンとネズミ』
  24. 絵/ジェリー・ピンクニー
    訳/さくま ゆみこ
    光村教育図書

     


  25. 2009年 『よるのいえ』
  26. 絵/ベス・クロムス
    文/スーザン・マリー・スワンソン
    訳/谷川 俊太郎
    岩波書店

     


  27. 2008年 『The Invention of Hugo Cabret』
  28. 絵/ブライアン・セルズニック

     


  29. 2007年 『漂流物』
  30. 絵/デヴィッド・ウィーズナー
    BL出版

     


  31. 2006年 『こんにちは・さようならのまど』
  32. 絵/クリス・ラシュカ
    文/ノートン・ジャスター
    BL出版

     


  33. 2005年 『まんまるおつきさまをおいかけて』
  34. 絵・文/ケビン・ヘンクス
    訳/小池 昌代
    福音館書店

     


  35. 2004年 『綱渡りの男』
  36. 絵・文/モーディカイ・ガースティン
    訳/川本 三郎
    小峰書店

     


  37. 2003年 『はなうたウサギさん』
  38. 絵・文/エリック・ローマン
    訳/いまえ よしとも
    BL出版

     


  39. 2002年 『3びきのぶたたち』
  40. 絵・文/デヴィッド・ウィーズナー
    訳/江國 香織
    BL出版

     


  41. 2001年 『So You Want to be President?』
  42. 絵/デイビッド・スモール
    文/ジュディス・セントジョージ

     


  43. 2000年 『ヨセフのだいじなコート』
  44. 絵・文/シムズ・タバック
    訳/木坂 涼
    フレーベル館

     

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かこさとしさんの絵本が子どもたちに長く愛されている理由

 

かこさとしさんは、1926年福井県生まれの92歳にして現役(*)の絵本作家です。
名前は知らなくても、50年にわたって繰り返し読み継がれてきた『からすのパンやさん』や「だるまちゃん」シリーズの作品を通じて「知っている」人は、たくさんいると思います。

「里子(さとし)」という珍しい名前は、本名の「哲(さとし)」から取った俳号です。
小さかった頃は、この珍しい名前に惑わされたものですが、ある時かこさんの写真と、まるで絵本作家と結びつかない東京大学工学部卒業の工学博士のプロフィールをみて、さらに混乱した記憶があります。

ところが、絵本づくりに関わるようになって、かこさんの工学博士らしい好奇心と徹底的に調べる力こそ、作品が子どもたちに長く愛されている理由だとわかりました。

かこさんの描く絵は、決して飛びぬけてうまいわけではありません。すごいのは、画面に「うそがない」ことです。
かこさんは多くのかがく絵本を描いていますが、おはなし絵本についても同じように徹底的に調べて描いているので、うそがありません。

例えば1967年に描かれた『だるまちゃんとてんぐちゃん』では、見開きいっぱいにいろんな帽子が並んでいる場面があります。
40種類ほどバリエーションのある帽子を描いていますが、そのどれもが実際に存在する帽子であることに、今でも気分が高揚します。ひとつも「帽子風」なものはなく、全部きちんと丁寧に調べて描かれています。これを当たり前に出来る作家は多くありません。

一見するとシンプルな画面構成であっても、見れば見るほど、かこさんの絵本には他のそれとは明らかに違う多くの情報があることがわかります。だから、子どもたちは繰り返し見たくなる。めくるたびに、じっくり見てみると、また新たな発見があるのです。

(*)2018年5月2日に92歳で死去

 


◎かこさとしのかがく絵本

 

『かわ』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1966年9月1日発行

高い山の雪どけ水や、山に降った雨から生まれた小さな流れは、谷川となって山を下る。小さな流れは、ダムに貯められて発電所で電気を起こしたり、激しい水の勢いで岩をくだいて小さな石ころにしたりする。そして、やがて平野に出るとゆるやで大きな流れになる。田んぼを潤し、水遊びや魚釣りの場となり、いつしか大きな川になって、最後に海へとそそぐ。一つの川をめぐる自然と人間の営みを横長の画面いっぱいに細部まで描き込んだ絵本。

 


『はははのはなし』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1972年3月1日発行

虫歯の痛さはだれだって知っています。歯の大切さと、歯をじょうぶに守る方法を、からだ全体との関連の中で、わかりやすく、楽しく考えていく絵本です。

 


『あなたのいえ わたしのいえ』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1972年3月1日発行

家がなくても平気?雨の日は濡れてしまい、お天気の日は太陽に照りつけられて困ります。そこで、屋根をつけました。でも、風の日は困ります。それではと、今度は壁がつきました……。必要に応じて、家の機能がひとつずつ増えていきます。家は、どうすればより快適になるかを人が考え、工夫して作った大きな暮らしの道具であり、便利な道具の集まりです。毎日、あたりまえに暮らしている家という道具の面白さやありがたさを子どもたちに考えさせてくれます。

 


『だいこんだんめん れんこんざんねん』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
2010年10月15日発行

「中がどうなっているか知りたい!」と思う気持ちは、おとなにも子どもにもあることでしょう。果物から、建築物、海の底まで、切ることによって現れる新鮮な視点の広がりを、作者一流のユーモアとともに楽しみましょう。

 


『たべもののたび』

定価/1430円(税込)
対象/4、5歳から
童心社
1976年10月1日発行

黄色い栄養のカバンを持って旅に出た食べ物たちが、ももいろのトンネルをとおって、いぶくろこうえんを通り、しょうちょうのジェットコースターに乗ってすすみます。たべものが口から入って身体の中で消化され、栄養となって、排泄されるまでのプロセスを、「たべもののたび」として、わかりやすく楽しく描いたロングセラー絵本。絵本を通じて、正しい知識と、食べることの大切さを子どもたちに伝えます。

 


『ほねはおれますくだけます』

定価/1430円(税込)
対象/4、5歳から
童心社
1977年9月25日発行

骨と食物との関係。人間の骨の形やしくみを描き、正しい姿勢がいかに大事かを説きます。

 


『海』

定価/1650円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1969年7月25日発行

地球の7割を占める海。身近でありながら、今なお多くの謎が秘められています。「みなさんは うみを しっていますか」という問いかけから物語ははじまります。ページをめくると、水深0~0.5メートルの海の様子、浮き輪をつけた子どもが海に入っていく足元に、貝やカニがたくさんいます。ページをめくるたびに水深が深くなり、ついに深海まで。海にすむ動植物から、未来の海中農業、海底開発まで、海の全てが描かれた絵本です。

 


『地下鉄のできるまで』

定価/1430円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1987年10月30日発行

都会の地下を走る電車、地下鉄。その工事は、地下でどのように進められているのだろう。ページを繰るごとに工事が進み、地下鉄の完成までを楽しく伝えます。

 


『ダムをつくったお父さんたち』

定価/2200円(税込)
対象/小学中学年から
偕成社
1988年10月発行

インドネシアのチラタに5か国の国際協力で、巨大なダムと発電所をつくりあげるまでを現地取材して描いた科学ドキュメント絵本。

 


◎かこさとしのおはなし絵本

 

『だるまちゃんとてんぐちゃん』

定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1967年11月20日発行

だるまちゃんは友だちのてんぐちゃんの持っているものを何でも欲しがります。てんぐのうちわや素敵な履物、なんとしまいには鼻まで。お父さんのだるまどんは思いつく限りの物を集めてきますが、だるまちゃんのお気に入りはいつも意外なところに……。だるまちゃんとだるまどんはどんなアイデアを思いついたでしょう? ユーモアあふれる物語と楽しいものづくしの絵本。大人気「だるまちゃん」シリーズの第一作です。

 


『とこちゃんはどこ』

文/松岡 享子
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1970年7月01日発行

赤い帽子と青い半ズボンの元気な男の子、とこちゃん。市場でお母さんがおしゃべりしているまに、とことこかけだして、どこかへいってしまいました。人ごみの中をさがしていくと、ああ、いたいた! 動物園、浜辺にお祭り、デパート……人ごみにまぎれたとこちゃんを探そう! 絵さがしの絵本の元祖ともいえる、子どもの大好きな絵本です。

 


『ゆきのひ』

定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1967年10月10日発行

りっちゃんがすむ雪国の村に、空からふわりと白いものがふってきました。初雪です。お母さんは、野菜をむろ(室)にしまい、とよちゃんのおじいちゃんは、ゆきがこいをしました。雪合戦にスキーにかまくらあそび……。雪は楽しいひとときを運んできてもくれますが、吹雪で電線をきったり、線路をうめてしまったりもします。それでも雪国の人々はへこたれません。ページをめくるたび、あたたかな気持ちにつつまれる雪国のお話です。

 


『からすのパンやさん』

定価/1100円(税込)
対象/4歳から
偕成社
1973年9月発行

いずみがもりのからすのまちのパンやさんは、子どもたちの意見を参考にして、すてきな形のパンをどっさり焼きました。

 


『どろぼう がっこう』

定価/1100円(税込)
対象/4歳から
偕成社
1973年3月発行

まぬけな校長先生と生徒たちの世にもおかしなどろぼう学校の話。ある真夜中、みんなは町で一番大きな建物にしのびこみました。

 


『おたまじゃくしの 101ちゃん』

定価/1100円(税込)
対象/4歳から
偕成社
1973年7月発行

まいごのおたまじゃくし101ちゃんを、やっと見つけたお母さんがえる。でもざりがにとみずかまきりに襲われ、お母さんは気絶。

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ヨーロッパにおける絵本のルーツは印刷技術の進歩とともに

 

絵本の歴史をたどっていくと、そのルーツが印刷技術の進歩とともにあることがわかります。
1445年にドイツで、ヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を発明すると、これに興味を持ったウィリアム・キャクストンが、1476年にイギリスで最初の印刷所をはじめました。そこで、 キャクストンは、フランス語版「イソップ物語」を英語版に翻訳したり、『アーサー王伝説』や『マビノギオン』などのイギリス文学の宝を掘り起こしました。

『アーサー王の死』

著/トマス・マロリー
定価/1100円(税込)
ちくま文庫
1485年発行

 


17世紀後半まで子どもに喜ばれなかった子どもの本

 

ただし、こうした文学は上流階級の大人向けに出されたもので、子どもを対象とした本も、親が喜ぶことを前提とした、しつけや教育を目的とした「教科書」的なものに限られました。
それは1600年代後半にチャップ・ブック(Chapbook)が一般に浸透するまで続きます。チャップ・ブックとは、4、8、12、16、24ページで構成されたポケットサイズの安価な冊子です。内容は、宗教的なもの、幽霊話や占いといった超自然的なもの、昔話、笑い話、伝説、ABCの本やそれに類したものとさまざまなものがありました。そのころから少しずつ挿絵が入るようになりました。

 


「子どもを楽しませる」新しい価値の夜明け

 

本当の意味で、はじめて「子どもを楽しませるための本」を本格的に出版したのは、ロンドンの書籍商ジョン・ニューベリーです。
1744年に出された『小さなかわいいポケットブック(A Little Pretty Pocket Book)』 は、子どもに楽しみを与えた最初の本と言われています。古い時代の教訓的要素を含みながらも、子どもの興味を引き出し、遊ばせながら学ばせるようにユーモラスな挿絵を使いました。
彼は児童文学の父と称され、最も優れた児童文学者に与えられる「ニューベリー賞」は、世界で最も古く権威のある文学賞のひとつです。


▲ジョン・ニューベリーの出版物の中で最もよく読まれたものの一つ『くつふたつの物語』。初版1765年

 


日本でも手に入るイギリスのおすすめ絵本&文学

 

『ピーターラビットのおはなし』

作・絵/ビアトリクス・ポター
訳/いしい ももこ
定価/770円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
原作/1902年10月発行

いたずらっこのピーターは、お母さんの言うことを聞かず、マグレガーさんの畑に忍び込みます。れたすやさやいんげん、はつかだいこんを食べた後、ぱせりを探していると、目の前に現れたのはマグレガーさん。怒ったマグレガーさんはピーターを追いかけます。何度かマグレガーさんに捕まりそうになりながら、上着も靴もなくして命からがら逃げ帰ったピーター。疲労困憊のピーターに、お母さんは煎じ薬を飲ませてくれました。

 


『ビロードのうさぎ』

作/マージェリィ・ウィリアムズ・ビアンコ
絵/酒井 駒子
定価/1650円(税込)
対象/幼児から
ブロンズ新社
原作/1922年発行

ある日、ぼうやのもとにやってきたビロードのうさぎ。子どもに心から愛されたおもちゃにおとずれる「子どもべやのまほう」の話を耳にします。やがて、ぼうやにとってかけがいのないものになったうさぎは……

 


『プーのはちみつとり』

文/A.A.ミルン
絵/E.H.シェパード
訳/石井 桃子
定価/1100円(税込)
対象/児童から
岩波書店
原作/1926年発行

クリストファー・ロビンにひきずられて階段の上からバタンバタンとクマのプーさん登場! くいしんぼうのプーさんは青い風船につかまって、ハチにばれないようにハチミツをとろうと大ふんとうしますが…….装いをあらたに一話読み切りでお届けする、これがプーさん最初のお話。

 


『かしこいビル』

作/ウィリアム・ニコルソン
訳/まつおか きょうこ、よしだ しんいち
定価/980円(税込)
対象/幼児から
ペンギン社
原作/1926年発行

メリーちゃんはおばさんの家に泊まりに出かけますが、人形のビルをうっかり忘れてしまいました。ビルは線路づたいに走って無事追いつきました。半世紀以上も子ども達に愛されてきた古典的名作。人形のビルは大好きなメリーが乗った汽車を追いかけ……細部まで心配りを感じる本。

 


『ねこのオーランドー』

作・絵/キャスリーン・ヘイル
訳/脇 明子
定価/2090円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
原作/1938年発行

ご主人から念願の夏休みをもらったお父さん猫のオーランドーは、意気揚々と家族ぐるみのキャンプに出かけました。気持ちよく乾いた場所にテントを張って、いよいよキャンプの始まりです。オーランドーは、子猫たちにあやとりを教えたり、釣りを教えたり、ハイキングに出かけたりして、楽しく過ごします。そして最後の晩は、キャンプファイヤーを焚いて、歌ったり踊ったり…。猫たちの楽しそうな様子が、大型の画面一杯にあふれます。

 


『機関車トーマス』

文/ウィルバート・オードリー
絵/レジナルド・ダルビー
訳/桑原 三郎
定価/880円(税込)
対象/3歳から
ポプラ社
原作/1946年発行

ちびっこ機関車のトーマスは、いたずら好きであわてんぼう。トラブルをおこしては周囲をひやひやさせています。そんなトーマスの活躍を4つのお話で描きます。

 


『くまのパディントン』

作/マイケル・ボンド
絵/ペギー・フォートナム
訳/松岡 享子
定価/660円(税込)
対象/小学中学年から
福音館書店
原作/1958年発行

一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。

 


『ロージーのおさんぽ』

作/パット・ハッチンス
訳/わたなべ しげお
定価/1320円(税込)
対象/3歳から
偕成社
原作/1967年発行

何も知らず散歩を楽しむめんどりのロージーと、あとを追いかけるきつねが織りなす、スリルあるドラマを“絵で語る”異色の絵本。

 


『おちゃのじかんにきたとら』

作・絵/ジュディス・カー
訳/晴海 耕平
定価/1650円(税込)
対象/4歳から
童話館
原作/1968年発行

ある日、ソフィーとお母さんがお茶の時間にしようとしていると、「ごめんください、お茶の時間にご一緒させていただけませんか」と毛むくじゃらのとらが入ってきます。お母さんは言います「もちろん、いいですよ。どうぞおはいりなさい」二人は次々に食べものをすすめ、それを、とらはぜんぶたべてしまいました。家中の食べものも飲みものもなくなってしまうまでです!

 


『さむがりやのサンタ』

作・絵/レイモンド・ブリッグズ
訳/すがはら ひろくに
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
原作/1973年発行

「やれやれまたクリスマスか!」面倒くさそうに目を覚ましたのは、サンタクロース。寒さに愚痴をいい、煙突に文句をいいながら町の子どもたちにプレゼントを配ります。南の島に憧れながら、一日の仕事をおえると、お風呂にはいり、ビールを一杯飲んで、ごちそうを楽しみます。トナカイたちにおいしいえさをあげることも忘れていません。皮肉屋だけど実はやさしい、人間味あふれるサンタクロースを描いたクリスマスにぴったりの絵本です。

 


『チムとゆうかんなせんちょうさん』

作/エドワード・アーディゾーニ
訳/せた ていじ
定価/1430円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
原作/1974年発行

船乗りになりたくてたまらないチムは、お父さんやお母さんに内緒で大きな汽船に乗り込みます。チムを見つけた船長さんは、チムを叱りつけ、ただで船に乗るなら、しっかりと働くようにと甲板そうじを命じます。チムは一生懸命働き、船乗りたちや船長さんにも少しずつ認められる存在となります。そんなある夜、船が岩にぶつかり座礁してしまいます。船に取り残されたチムと船長さん。ふたりが絶対絶命を覚悟したそのとき……。

 


『ゆきだるま』

絵/レイモンド・ブリッグズ
定価/1430円(税込)
対象/幼児から
評論社
原作/1978年発行

少年のつくったゆきだるまが、真夜中にうごきだした! 少年は家の中をあんないし、ゆきだるまは少年をつれて空をとび、遠い外国の町をみせてくれます。そして朝がきて……。少年とゆだるまが楽しくあそんだ、ファンタスティックな一夜のできごと。

 


『もものきなしのきプラムのき』

作/ジャネット・アルバーグ
絵/アラン・アルバーグ
訳/佐藤 凉子
定価/1430円(税込)
対象/幼児から
評論社
原作/1978年発行

ほんをひらいて、よくみてごらん。かくれているひと、みつけてごらん。おやゆびトム、シンデレラ、三びきのくまさん、ロビン・フッドなど、おなじみの童話の主人公たちが、絵の中のどこかにかくれています。

 


『ねえ、どれがいい?』

作/ジョン・バーニンガム
訳/松川 真弓
定価/1650円(税込)
対象/幼児から
評論社
原作/1978年発行

「ネコとボクシング……」「サルとくすぐりっこ……」「サイのしたじき……」つぎつぎと繰り出される、ギョッとおどろく選択肢。子どもたちは「どれもイヤだ~!」と言いながら大よろこびで、こっちかな~、あっちかな~、と悩みます。

 


『すきですゴリラ』

作・絵/アンソニー・ブラウン
訳/山下 明生
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
あかね書房
原作/1983年発行

ハナはゴリラがだいすき。いつも忙しいお父さんは動物園にもつれていってくれません。でも誕生日の真夜中ふしぎな事が……。

 


『パンやのくまさん』

作・絵/フィービ&セルビ・ウォージントン
訳/まさき るりこ
定価/1100円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
原作/1987年発行

パンやのくまさんは、朝早く起きて、パンやパイ、お誕生日のケーキを作ります。パンがほかほかに焼きあがると、車にパンをつみこみ売りに行きます。パンが売れると、次はお店に帰りお店番。仕事が終わると、お店の奥の家に帰って、暖炉の前で晩ごはんを食べ、今日いただいたお金を数えた後、2階に上がって眠るのです。こうして淡々と、そしてきっちりと、パンやさんの仕事をこなすくまさんの絵本です。

 


『きょうはみんなでクマがりだ』

再話/マイケル・ローゼン
絵/ヘレン・オクセンバリー
訳/山口 文生
定価/1650円(税込)
対象/幼児から
評論社
原作/1989年発行

「きょうは みんなで クマがりだ。そらは すっかり はれてるし こわくなんか あるもんか!」。リズミカルな文章と、ダイナミックなイラストで人気の絵本です。

 


『ぜったいたべないからね』

作/ローレン・チャイルド
訳/木坂 涼
定価/1540円(税込)
対象/3歳から
フレーベル館
原作/2000年発行

チャーリーのいもうとローラには、きらいなたべものがたくさん! とくにトマトは「ぜったい」いやなんですって。 チャーリーは、なんとかしてローラにたべさせようとするのですが……?

 


『もっかい!』

作・絵/エミリー・グラヴェット
訳/福本 友美子
定価/1320円(税込)
対象/3歳から
フレーベル館
原作/2011年発行

おやすみ前の絵本の時間。もっかい読んでほしいのに、だめだよママが先に寝ちゃうなんて! 遊び心いっぱいの絵本です。

 


『クレヨンからのおねがい!』

文/ドリュー・デイウォルト
絵/オリヴァー・ジェファーズ
訳/木坂 涼
定価/1650円(税込)
対象/4歳から
ほるぷ出版
原作/2013年発行

ケビンが絵をかこうとクレヨンの箱を取り出すと、ケビン宛の手紙の束が。それは、クレヨンからの手紙でした……ユーモアあふれる視点で、クレヨンたちの気持ちを代弁したユニークな作品。

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赤ちゃん絵本『ふうしてあそぼ』で、まもなく絵本作家としてデビューするはるのまいさん。
昨年、赤ちゃんが生まれたばかりの新米ママでもあります。

「育児との両立は確かに大変でしたが、それでもやっぱり一番身近に絵本を見せたい存在がいる、というのは大きなモチベーションになりました。」
と、今でこそ冷静にふりかえって語るはるのさんですが、実際、創作している間は「ドタバタ」の連続でした。

「ドタバタ」から生まれた絵本は、予約注文を開始してまもなく、Amazon新着絵本ランキングで1位(8月12日付)となる快挙を達成。これから新しいロングセラー絵本に育っていくだろう期待の大きな作品です。

長年の夢だったという絵本づくりへの思いを、全7回にわたって連載します。

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目次

  1. おしりに火がついた瞬間
  2. 編集者と一緒につくる赤ちゃん絵本
  3. 絵本づくりのためにインプットしてきた
  4. 育児と創作の両立がこんなにも大変だとは
  5. ベルギーに引越し?! 疲弊からの脱出
  6. ラフを描くのが早いのはせっかちだから
  7. 自分らしい表現で

 


―まずは、赤ちゃん絵本『ふうしてあそぼ』の出版、おめでとうございます。
帯にも掲載していますが、まさに親子が一緒に楽しめる「体感型絵本」に仕上がりました。

エンブックスの西川さんと初めて知り合ったのは7年くらい前で、まだ教員をやっていた時でした。
名古屋にある「なかがわ創作絵本教室」の、中川たかこ先生からの紹介で、当時作っていた絵本を見てもらいましたが、その時はそれ以上特に進展しませんでした。

 

―エンブックスも立ち上げからまだ1年という時だったにもかかわらず、わざわざ東京まで作品を持ってきていただいたんですよね。うれしかったです。

2012年に教員を退職してフリーになってからは、まずイラストレーションの仕事で結果を出さなくちゃと必死で、絵本は個人的にはずっと描き続けていましたが、時間がかかるので、ちょっと気持ち的に後回しになっている部分がありました。

ただ、それ以降も、絵本作家やイラストレーターの先輩たちとの飲み会に西川さんを呼び寄せたりとか(笑)、連絡だけはずっと取っていて。

あと、エンブックスさんは「エホンリー」という、1冊からハードカバーに製本してくれるサービスもやっていて、2015年のボローニャブックフェアの売り込みのダミー用に、製本してもらったりもしました。その絵本は、3回くらい描き直していて、まだ納得いくものが描けていなくて。それであっというまに2年くらい経っちゃって……

出産前にもう一度描き直した後、産後半年くらい経ってから、ひとまずハードカバーにしてもらおうと注文して、絵本が届いた後、お礼のメールのやりとりの際に、「はるのさん、そろそろ本気で絵本つくりませんか」みたいな風に言われ。

 

―エホンリーはサービスの性質上「編集」ができないんです。でも、はるのさんの絵本作家としての可能性は出会ったときから感じていて、編集者としてウズウズしていたんです(笑)

それで、今までなんとなく絵本を描き続けてはいたものの、「あっ、のらりくらりと逃げていたのを見透かされていた」と思ったんです。だって大変ですもん、“商品としての”絵本を作るの。
自分だけ楽しんで描いているだけでオーケー、というわけにはいかないですから。

だから、「本気で、ちょうどお子さんに読ませたいと思う絵本をつくりませんか」って言われて、ちょっと目が覚めたというか……
自分の子供に向けて作るんだったら、「時間がない! あっという間に大きくなっちゃう!」と、おしりに火をつけられた感じでした。

 


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