編集長の読書感想文 「たこたこ学校」に通って『あかですよ あおですよ』とお絵描きしたい

『あかですよ あおですよ』

作/かこ さとし
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
2017年2月5日発行

 


かこさんの絵はうまくない。
うまくないけれど、これほど魅力的な絵を描く作家は他にいないと思います。

『だるまちゃんとてんぐちゃん』にたくさんのぼうしが見開きいっぱいに描かれた場面がありますが、ひとつとしてウソがない。

ともすれば、ぼうし“らしい”ものを描いて済ませるところを、子どもが手にとるからこそ、どれもちゃんと調べて丁寧に描かれています。僕も子ども心に「説得力」を感じていたのか、大好きな場面だったなあ。

『あかですよ あおですよ』でも、何気なく背景に描かれたサンゴや海藻の確かさと言ったら、まさにかこさとしワールドここにあり。

ここは海の中。たこたこ学校の生徒たちは、たこ先生と一緒に絵の勉強です。たこ先生が「はじめは、あかですよー」と言うと、みんなはりんご、いちご、トマトなど赤い絵を描きました。喜んだ先生は子どもたちをほめ、子どもたちは紫、青、緑、黄色……と、次々といろいろな色の絵を描いていきます。最後のお題は「黒」。おやおや、面白いもので黒い絵を描いている子がいますよ……。思いもかけない形で学校はおしまい!

モノの名前をおぼえはじめる段階の子どもにとっては、指さし会話も広がりそうな優しい展開です。

大人はさらっと絵を流し見してしまいそうですが、子どもは生徒の「ろくちゃん」が車の絵ばかり描いていることに気がつくと思います。赤い車、紫の車、青い車……ろくちゃん、ずるい! と注目を集めたところで、これがしっかりオチに効いてくるというフリがお見事。

平和な世界の何でもないお話が好き。