1970japan

創作絵本の黄金期 1970年代に出版された名作絵本30選


1960年代に一気に開花した日本の創作絵本は、1970年代にかけて黄金期を迎えました。表現手法、描かれるテーマ、あるいは読者の幅についても広がりを見せ、ありとあらゆるアプローチが試されたことが分かります。
今でもおなじみのタイトルがたくさんあり、まさに現代絵本の礎が築かれたエネルギッシュな10年です。

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『おふろでちゃぷちゃぷ』

文/松谷みよ子
絵/いわさきちひろ
童心社 1970年発行

あひるちゃんがタオルを持って、せっけん持ってどこかに行くみたい。わかった、お風呂だ。早くおいでというあひるちゃんの誘いに、男の子が答える。「まって まって いま せーたー ぬいだとこ」。早く早く。「まって まって いま ズボン ぬいだとこ」。淡い水彩で描かれた、いわさきちひろのイラストは暖かさに満ち、その肌と髪のやわらかさをも感じられるほど。

『はけたよはけたよ』

文/かんざわとしこ
絵/にしまきかやこ
偕成社 1970年発行

たつくんは、ひとりでパンツがはけない。片足をあげると、どでんと転んでしまう。「えい、パンツなんかはかないや」と外へ駆け出したたつくんのお尻を動物たちが笑う。「しっぽのないお尻。あはははは」。家に帰ったたつくんがもう1回パンツをはこうと、片足あげると、またどでん。尻もちついたままはいてみたら、はけちゃった。お母さんの縫ってくれたズボンもひとりではけた。

『てぶくろをかいに』

文/新美南吉
絵/若山憲
ポプラ社 1970年発行

冷たい雪で牡丹色になった子狐の手を見て、母狐は毛糸の手袋を買ってやろうと思う。その夜、母狐は子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせ、かならず人間の手のほうをさしだすんだよと、よくよく言いふくめて町へ送り出した。はたして子狐は、無事、手袋を買うことができるだろうか。

『ふしぎなえ』

絵/安野光雅
福音館書店 1971年発行

階段をあがると上の階へ、またあがると、あれ、もとの階にもどっている。迷路に入っていくと、いつのまにか天地がさかさまに。蛇口から流れ出した水は川となってまた水道に循環し、高架道路は地面と同じ高さに……。絵の中だけに存在する不思議な世界に、小人の案内で導かれる。安野光雅のデビュー作。

『モチモチの木』

文/斉藤隆介
絵/滝平二郎
岩崎書店 1971年発行

豆太は、夜中にひとりでおしっこにもいけない弱虫。でも、大好きなじさまのために……。真の勇気とは何かを問いかける感動の絵本。

『しばてん』

文・絵/田島征三
偕成社 1971年発行

カッパに似た化け物「しばてん」の生まれ変わりといわれる太郎のたどる運命を、深いペーソスをたたえながら描く。

『おおきなおおきなおいも』

文/市村久子
絵/赤羽末吉
福音館書店 1972年発行

楽しみにしていたいもほり遠足の日、雨が降って延期になってしまった。残念がる子どもたちは大きな紙においもを描きはじめる。紙をつなげてつなげて、おいもの絵はどんどん大きくなる。大きなおいもは、ヘリコプターで幼稚園に運ぶ。プールに浮かべて船にしたり、かいじゅうにみたてて遊ぶ。たくさん遊んだあとは、天ぷら、焼きいも、大学いも、たくさん作っておいもパーティ。

『げんきなマドレーヌ』

文・絵/ルドウィッヒ・ベーメルマンス
訳/瀬田貞二
福音館書店 1972年発行

パリの寄宿学校に12人の女の子が暮らしていた。いつも2列に並んで、パンを食べ、歯をみがき、ベッドに入る。中でいちばんおちびさんで、いちばん元気なのがマドレーヌ。ネズミなんかこわくないし、動物園のトラもへっちゃら。ところがある晩、マドレーヌがわーわー泣いている。いつもは冷静なミス・クラベルも大あわて。マドレーヌは盲腸炎で入院し手術することに……。

『はたらくじどうしゃ 1』
文・絵/山本忠敬
福音館書店 1972年発行

ブルドーザ、パワーショベル、ロードローラ……。簡単に構造まで図鑑的に描いた絵本。

『おしゃべりなたまごやき』

文/寺村輝夫
絵/長新太
福音館書店 1972年発行

たまごやきが大好きな王さまがいた。ある日、王さまは散歩の途中で鶏小屋からにわとりを逃がしてしまう。お城は大騒ぎ。にわとりを逃がした犯人探しがはじまるが、見つかるわけがない。犯人が見つからないまま、晩ごはんの時間がやってきた。王さまが大好きな目玉焼きにナイフをいれると、目玉焼きの中からふしぎな声がきこえてきた。その声をきいて王さまはびっくり。

『おばけのバーバパパ』

文・絵/アネット・チゾン、タラス・テイラー
訳/山下明生
偕成社 1972年発行

姿を自由に変形できるおばけのバーバパパは火事場で大活躍して、町の人気者に。

『しろくまちゃんのほっとけーき』

文・絵/わかやまけん
こぐま社 1972年発行

しろくまちゃんが、お母さんと一緒にホットケーキを作るお話。冷蔵庫から卵を取り出して、牛乳を入れてよくかきまぜる。ふわふわの小麦粉とふくらし粉を加えてまぜたら、さあ、フライパンへ。この後が、この絵本最大の見せ場。ホットケーキが焼けていく工程が、楽しい擬音とともに見開きにずらり。「しゅっ ぺたん ふくふく くんくん ぽいっ……はいできあがり」。

『あーんあん』

文・絵/せなけいこ
福音館書店 1972年発行

「ほいくえんに いくのは いいけれど かあさんが かえっちゃ いやだよー」。「あーん あーん」と泣くぼくにつられて、友だちも「みんな そろって あーん あん」。涙がどんどんたまって海みたいになったら、「あらあら さかなに なっちゃった」。でも、大丈夫。先生からの電話で、バケツと網を持ったお母さんがやってきて「ぼくを たすけて くれるでしょ」。

『からすのパンやさん』

文・絵/かこさとし
偕成社 1973年発行

カラスの町「いずみがもり」にある、1軒の売れないパン屋さん。お父さんお母さん、4羽の子ガラス、家族みんなで、楽しい形のパンをどっさり焼いた。パンを買いにやってきたカラスの子ども、おじいさん、おばあさん、そしてなぜか消防自動車、救急車、テレビのカメラマンまでやってきて森は大騒ぎに……。

『ウルスリのすず』

文/ゼリーナ・ヘンツ
絵/アロイス・カリジェ
訳/大塚勇三
岩波書店 1973年発行

アルプスの山奥に元気な男の子ウルスリが住んでいる。あしたは楽しい「鈴」まつり。ウルスリは、今年こそ村いちばん大きな鈴を手に入れて行列の先頭に立ちたいと、大はりきり。

『ねずみくんのチョッキ』

文/なかえよしを
絵/上野紀子
ポプラ社 1974年発行

お母さんが編んでくれた、かわいいチョッキ。「ちょっときせてよ」と動物のなかまたち。あらあら、チョッキがどんどんのびて……。

『かいじゅうたちのいるところ』

文・絵/モーリス・センダック
訳/じんぐうてるお
冨山房 1975年発行

いたずらっこのマックスは、怒ったお母さんに夕飯抜きで寝室にほうり込まれた。そのうち辺りは森になり、ボートに乗って着いたところには、かいじゅうたちが。かいじゅうたちの王さまになったマックスは、みんなで一緒に踊った。かいじゅうたちを眠らせたあと、さびしくなったマックスは王さまをやめる。「行かないで」と言うかいじゅうたちを振り切って帰ったところは……。

『ぞうのババール』

文・絵/ジャン・ド・ブリュノフ
訳/矢川澄子
評論社 1974年発行

森で狩人におそわれ、にげだしたババール。どんどんにげて、とうとう人間の町までやってきた。はじめて見るものばかりで、ビックリの連続。ぞうのババールの、ゆかいな冒険と心温まる愛と友情の物語。

『くまのコールテンくん』
文・絵/ドン・フリーマン
訳/まつおかきょうこ
偕成社 1975年発行

おもちゃ売場のくまの人形を一目で好きになり、自分の貯金をはたいて買いに行く女の子と人形との心のふれあいを描く。

『ノンタンぶらんこのせて』

文・絵/キヨノサチコ
偕成社 1976年発行

「ノンタンあそぼうよ」シリーズの第1弾。「ノンタン ノンタン、ぶらんこのせて」。ウサギさんにクマさん、タヌキくんにブタくん、次々とやってくる友達の掛け声にノンタンは、「だめ だめ」と取り合わない。

『はらぺこあおむし』

文・絵/エリック・カール
訳/もりひさし
偕成社 1969年発行

日曜日の朝に生まれたちっぽけなあおむしは、おなかがぺっこぺこ。月曜日にはりんごをひとつ、火曜日にはなしをふたつ……。たくさんたくさん食べて、ふとっちょになったあおむし。さなぎになって、最後は美しいちょうちょに返信する。

『おおきな木』

シェル・シルヴァスタイン
訳/ほんだきんいちろう
篠崎書林 1976年発行

幼い男の子が成長し、老人になるまで、温かく見守り続ける1本の木。木は自分の全てを彼に与える。それでも木は幸せだった。絶版になった後、あすなろ書房から村上春樹による新訳版が出版された。

『100万回生きたねこ』

文・絵/佐野洋子
講談社 1977年発行

100万回も死んで、100万回も生きたねこがいた。100万人の人がそのねこをかわいがり、100万人の人がそのねこが死んだときに泣いた。あるときねこは誰のねこでもない、のらねこになった。そして、一匹の白く美しいねこに魅せられる。やがて子どもが生まれ家族を持つ。100万回死んでも悲しくなかったねこは、はじめて愛することを知り、愛する者を失って涙を流す。

『はじめてのおつかい』

文/筒井頼子
絵/林明子
福音館書店 1977年発行

みいちゃんはママに頼まれて牛乳を買いに出かける。自転車にベルを鳴らされてどきんとしたり、坂道で転んでしまったり、ひとりで歩く道は緊張の連続。坂をあがると、お店についたが誰もいない。みいちゃんは深呼吸をして、「ぎゅうにゅうください」と言った。でも、小さな声しかでなくて、お店の人は小さいみいちゃんに気づかない……。

『やっぱりおおかみ』

文・絵/佐々木マキ
福音館書店 1977年発行

ひとりぼっちのおおかみが「け」という、ふくみのあるセリフをつぶやきながら仲間をさがして町をさまよう。「おれににたこはいないかな」。いろいろな動物がいるが、どこへいってもおおかみは満足することができない。仲間に入りたいようで、入りたくないのだ。とうとうおばけがたくさんいる墓場までやってきたおおかみは……。

『こすずめのぼうけん』

文/ルース・エインワース
絵/堀内誠一
訳/石井桃子
福音館書店 1977年発行

子スズメはお母さんから飛び方を教わった。羽根をぱたぱたやっているとちゃんと浮いているので、子スズメはおもしろくなってどんどん遠くまで飛んでいく。そのうち羽根が痛くなったので休もうと思ったが、ようやく見つけた巣にはカラスやヤマバトやフクロウがいて、中に入れてもらえない。やがてあたりは暗くなって……。

『ふたりはいつも』

文・絵/アーノルド・ローベル
訳/三木卓
文化出版局 1977年発行

がまくんとかえるくんのユーモラスな冒険物語が5編。「そりすべり」「アイスクリーム」「クリスマス・イブ」など春夏秋冬、一年間のふたりの生活が盛りこまれている。

『よあけ』

文・絵/ユリー・シュルヴィッツ
訳/瀬田貞二
福音館書店
1977年発行

山に囲まれた湖の畔、暗く静かな夜明け前。おじいさんと孫が眠っている。沈みかけた丸い月は湖面にうつり、そよ風の立てるさざ波にゆらめく。やがて水面にもやが立ち、カエルのとびこむ音、鳥が鳴きかわす声が聞こえるようになると、おじいさんは孫を起こします。夜中から薄明、そして朝へ……。

『ジオジオのかんむり』

文/岸田衿子
絵/中谷千代子
福音館書店 1978年発行

ジオジオはライオンの中でも一番強かった王さまで、立派なかんむりをかぶっている。でも、ひとりぼっちだった。そこへ、卵をすべて失った小鳥がやってきた。嘆く小鳥にジオジオは「たまごをうみたいなら、いいところがあるぞ」と言う。それはジオジオのかんむりの中。ここなら安心、たまごは無事かえり小鳥たちは元気にジオジオのまわりを飛び回る。

『スイミー』

文・絵/レオ・レオニ
訳/谷川俊太郎
好学社 1979年発行

小さな黒い魚スイミーは、兄弟みんなが大きな魚にのまれ、ひとりぼっちに。海を旅するうちに、さまざまなすばらしいものを見る。そして、再び、大きな魚に出会う……。