幼児向け

『しずくのぼうけん』

文/マリア・テルリコフスカ
絵/ボフダン・ブテンコ
訳/内田 莉莎子
定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1969年8月10日発行

 


かがく絵本に注目しています。

フランスの文学史家ポール・アザールは「子どもの心を押しつぶしてしまうほどたくさんの材料をつめこむ本ではなく、心の中に一粒の種子をまいて、それを内側から育てるような知識の本を好む」と、『本・子ども・大人』の中で記しています。

何かやりたいなあ、と「一粒の種子」を探し中。

『しずくのぼうけん』はかがく絵本でありながら、ミリオンセラーを突破した稀有な作品です。うまく考えないと、とたんにお勉強くさくなってしまう「かがく」を見事に楽しい絵本にしあげています。

バケツからぴしゃんと飛び出した水のしずくは冒険の旅へ。お日さまにぎらぎら照らされて水蒸気になったかと思ったら、空にのぼって雲のところへ……。今度は雨になって地上に逆戻り。地上では岩のあいだにはさまって、寒い夜に氷になったかと思えば、朝のお日さまに温められて再びしずくなって、川へと流れ出します。

「しずく」を擬人化して主人公にしたこと。そして、物語に仕立てたこと。この工夫で、読者の子どもは「水の不思議」をおもしろがって体感することができるんですよね。50年前の作品ですが鮮度は変わらず。

見開きの片面ずつ、全部で23場面の大冒険です。子どもの絵本としては場面数は多いのですが、すいすい読める調子の良い文体もすばらしい。それもそのはず、内田莉莎子さんは『てぶくろ』や『おおきなかぶ』も手掛けている翻訳者だもの。

こんな絵本をつくりたい!

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『たんじょうび』

文・絵/ハンス・フィッシャー
訳/大塚 勇三
定価/1540円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1965年10月1日発行

 


10月20日、これは誕生日にぴったりの絵本だと開いてみました。
ハンス・フィッシャーの絵は、好みか好みじゃないかでいうと、超好み。躍動感のある筆づかいにほれぼれします。

リゼッテおばあちゃんは、ネコやイヌやメンドリやヤギなど、たくさんの動物たちと一緒に幸せに暮らしています。今日は、おばあちゃんの76才のお誕生日。おばあちゃんが村へ買い物に行っている間に、動物たちはお誕生日のお祝いをしようと大奮闘します。ロウソクを76本買いにいったり、卵を36個も産んでケーキを焼いたり、花をつんだり……。

そこは2019年の東京とはまるで違う景色。(たぶんスイスの)森の奥にある広々とした家では、動物がおしゃべりすることもすんなり受け入れられます。世界観をつくる画家の説得力だよなあ。

おばあちゃんのために力をあわせて、体より大きなケーキを焼いてあげるシーンでは、これでもかと散らかったキッチン。案の定というか読者としては期待通り、まっくろ焦げに焼きすぎたケーキ。その焦げを白い砂糖をかけて隠しちゃうところ。現実だと「マジか!」という展開のすべてが微笑ましい。

ラストがまた最高にやさしい。来年の誕生日、おばあちゃんは祝う側にもなって、ますますにぎやかになるんでしょうね。しあわせってこういうことなのよ。

ちなみに、大塚勇三さんといえば『スーホの白い馬』や『ウルスリのすず』の翻訳者。その国の空気ごと訳す大塚さんだから成立したすばらしい絵本だと思います。

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『おうさまのこどもたち』

文・絵/三浦 太郎
定価/1540円(税込)
対象/3歳から
偕成社
2019年10月16日発行

 


ミリオンセラーを突破した『くっついた』でおなじみの三浦太郎さんの新刊絵本。
2000年以降に出版された絵本でミリオンを超えたのは片手で数えるくらいなので、誰もが認める大作家です。

圧倒的に美しい装丁から、配色へのこだわりを感じます。手触りもいい。ぱらぱらめくってみると特色(印刷代が高くなる特別インク……)もいたるところに。贅沢につくられた絵本だなあ。

王家に生まれた10人の子どもたち。成長してどんな王・女王になりたいか問われ、それぞれ、すし屋、サッカー選手、農家、保育士、アーティストなど、自分の好きな仕事で人々を幸せにしたいと考えます。さて、王さまのあとをついだのは……?

「ちいさなおうさま」3部作の完結編で、テーマは「多様性」でしょうか。こういう時代性に富んだテーマに人気作家が挑むことはすばらしいことだと思います。

ただ、テーマありきで考えすぎたんじゃないかという読後感。展開は単純なもので、お話にひねりや工夫があるわけでもないので、物語絵本としての楽しみはちょっと物足りない気がしました。

一方で、三浦さんの絵のチカラ。”絵を読む”子どもは存分にその世界を味わえると思います。繰り返し開くたびに発見がありそう。

そういう意味では、絵とお話のバランスってとても大事なんですよね。絵本は総合芸術だから。『くっついた』は、そのバランスが見事だと改めて。

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◎仕様

ゆきちゃんのおさいふ『ゆきちゃんのおさいふ』
ぶん・え/松村 真依子
定価/2750円(本体2500円+税)
対象/幼児から
2016年7月20日発行

32Pハードカバー製本(カバーなし)
サイズ/幅200×高264mm
ISBN 978-4-905287-24-7

*この絵本は受注生産でお届けします

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◎概要

幼稚園に通っている幼いゆきちゃんは、はずかしがりやなところもあります。
ある日、ずっと前から欲しかった「自分のおさいふ」をママからプレゼントしてもらいます。うれしくてすぐにでも使ってみたいゆきちゃんは、ママとスーパーに買いものへ。そこへ、不思議なリスのお店やさんが現れます。
リスが持ってきたステキな品物は、お金の代わりに「どんぐり」で買えるというのですが、モジモジしているゆきちゃんに、はじめてのお買い物がうまくできるのでしょうか。

 


◎作家プロフィール

松村 真依子
1985年、奈良県生まれ。京都精華大学でヴィジュアルデザインを専攻。在学中の2009年に「ボローニャ国際絵本原画展」に入選。2012年「日本童画大賞」入選。現在は都内在住で、娘ふたりを子育てしながら制作している。
▶ https://www.mayko88.com/

 


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▶ 制作エピソードを読む

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目次

  1. 2000年〜2021年度
  2. 1980年〜1999年度
  3. 1960年〜1979年度
  4. 1938年〜1959年度

 


歴代の受賞作品 1980年〜1999年度

 

  1. 1999年 『雪の写真家ベントレー』
  2. 文/ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン
    絵/メアリー・アゼアリアン
    BL出版

     


  3. 1998年 『Rapunzel』
  4. 作/ポール・O・ゼリンスキー

     


  5. 1997年 『土でできた大男ゴーレム』
  6. 作/デイヴィッド・ウィズネスキー
    訳/まつなみ ふみこ
    新風舎

     


  7. 1996年 『バックルさんとめいけんグロリア』
  8. 作/ペギー・ラスマン
    訳/東 春見
    徳間書店

     


  9. 1995年 『スモーキーナイト』
  10. 文/イヴ・バンティング
    絵/ディヴィッド・ディアス
    岩崎書店

     


  11. 1994年 『おじいさんの旅』
  12. 作/アレン・セイ
    訳/大島 英美
    ほるぷ出版

     


  13. 1993年 『つなのうえのミレット』
  14. 作/エミリー・アーノルド・マッカリー
    訳/津森 優子
    文溪堂

     


  15. 1992年 『かようびのよる』
  16. 作/デヴィッド・ウィーズナー
    訳/当麻 ゆか
    徳間書店

     


  17. 1991年 『Black and White』
  18. 作/デビッド・マコーレイ

     


  19. 1990年 『ロンポポ』
  20. 絵/エド・ヤング
    訳/藤本 朝巳
    古今社

     


  21. 1989年 『Song and Dance Man』
  22. 文/カレン・アッカーマン
    絵/ステファン・ガメル

     


  23. 1988年 『月夜のみみずく』
  24. 文/ジェイン・ヨーレン
    絵/ジョン・ショーエンヘール
    訳/くどう なおこ
    偕成社

     


  25. 1987年 『Hey, Al』
  26. 文/アーサー・ヨリンクス
    絵/リチャード・エギエルスキー

     


  27. 1986年 『急行「北極号」』
  28. 絵/クリス・ヴァン・オールズバーグ
    訳/村上 春樹
    あすなろ書房

     


  29. 1985年 『Saint George and the Dragon』
  30. 再話/マーガレット・ホッジス
    絵/トリーナ・シャート・ハイマン

     


  31. 1984年 『栄光への大飛行』
  32. 作/アリス&マーティン・プロヴィンセン
    訳/今江 祥智
    BL出版

     


  33. 1983年 『影ぼっこ』
  34. 作/ブレーズ・サンドラール
    絵/マーシャ・ブラウン
    訳/おのえ たかこ
    ほるぷ出版

     


  35. 1982年 『ジュマンジ』
  36. 絵/クリス・ヴァン・オールズバーグ
    訳/辺見 まさなお
    ほるぷ出版

     


  37. 1981年 『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』
  38. 絵/アーノルド・ローベル
    訳/三木 卓
    文化出版局

     


  39. 1980年 『にぐるまひいて』
  40. 文/ドナルド・ホール
    絵/バーバラ・クーニー
    訳/もきがずこ
    ほるぷ出版

     

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目次

  1. 2000年〜2021年度
  2. 1980年〜1999年度
  3. 1960年〜1979年度
  4. 1938年〜1959年度

 


歴代の受賞作品 1960年〜1979年度

 

  1. 1979年 『野うまになったむすめ』
  2. 絵・文/ポール・ゴーブル

     


  3. 1978年 『ノアのはこ舟』
  4. 絵・文/ピーター・スピア
    訳/松川 真弓
    評論社

     


  5. 1977年 『絵本アフリカの人びと』
  6. 絵/ディロン夫妻
    文/マーガレット・ムスグローブ
    訳/西江 雅之
    偕成社

     


  7. 1976年 『どうしてカはみみのそばでぶんぶんいうの』
  8. 絵/ディロン夫妻
    文/ヴェルナ・アールデマ
    訳/やぎた よしこ
    ほるぷ出版

     


  9. 1975年 『太陽へとぶ矢』
  10. 絵・文/ジェラルド・マクダーモット
    訳/神宮 輝夫
    ほるぷ出版

     


  11. 1974年 『ダフィと小鬼』
  12. 絵/マーゴット・ツェマック
    再話/ハーヴ・ツェマック

     


  13. 1973年 『The Funny Little Woman』
  14. 絵/ブレア・レント
    再話/アーリーン・モーゼル

     


  15. 1972年 『きょうはよいてんき』
  16. 絵・文/ノニー・ホグローギアン
    訳/あしの あき
    ほるぷ出版

     


  17. 1971年 『おはなし おはなし』
  18. 絵・再話/ゲイル・E・ヘイリー
    訳/あしの あき
    ほるぷ出版

     


  19. 1970年 『ロバのシルベスターとまほうのこいし』
  20. 絵・文/ウィリアム・スタイグ
    訳/瀬田 貞二
    評論社

     


  21. 1969年 『空とぶ船と世界一のばか』
  22. 絵/ユリー・シュルヴィッツ
    再話/アーサー・ランサム
    訳/神宮 輝夫
    岩波書店

     


  23. 1968年 『Drummer Hoff』
  24. 絵・文/エド・エンバリー

     


  25. 1967年 『へんてこりんなサムとねこ』
  26. 絵・文/エバリン・ネス
    訳/猪熊 葉子
    佑学社

     


  27. 1966年 『Always Room for One More』
  28. 絵/ノニー・ホグローギアン
    文/ソーシー・ニック・レオーダス

     


  29. 1965年 『ともだちつれてよろしいですか』
  30. 絵/ベニ・モントレゾール
    文/ドゥ・レニア
    訳/渡辺 茂男
    童話館出版

     


  31. 1964年 『かいじゅうたちのいるところ』
  32. 絵・文/モーリス・センダック
    訳/じんぐう てるお
    冨山房

     


  33. 1963年 『ゆきのひ』
  34. 絵・文/エズラ・ジャック・キーツ
    訳/木島 始
    偕成社

     


  35. 1962年 『あるひねずみが……』
  36. 絵・再話/マーシャ・ブラウン
    訳/八木田 宜子
    冨山房

     


  37. 1961年 『Baboushka and the Three Kings』
  38. 絵/ニコラス・シジャコフ
    文/ルース・ロビンス

     


  39. 1960年 『クリスマスまであと九日』
  40. 絵・文/マリー・ホール・エッツ
    文/アウロラ・ラバスティダ
    訳/田辺 五十鈴
    冨山房

     

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目次

  1. 2000年〜2021年度
  2. 1980年〜1999年度
  3. 1960年〜1979年度
  4. 1938年〜1959年度

 


歴代の受賞作品 1938年〜1959年度

 

  1. 1959年 『チャンティクリアときつね』
  2. 絵/バーバラ・クーニー
    訳/平野 敬一
    ほるぷ出版

     


  3. 1958年 『すばらしいとき』
  4. 絵・文/ロバート・マックロスキー
    訳/渡辺 茂男
    福音館書店

     


  5. 1957年 『木はいいなあ』
  6. 絵/マーク・シーモント
    文/ジャニス・メイ・ユードリイ
    訳/西園寺 祥子
    岩波書店

     


  7. 1956年 『かえるだんなのけっこんしき』
  8. 絵/フェドール・ロジャンコフスキー
    再話/ジョン・ラングスタッフ
    訳/さくま ゆみこ
    光村教育図書

     


  9. 1955年 『シンデレラ』
  10. 絵/マーシャ・ブラウン
    作/シャルル・ペロー
    訳/まつの まさこ
    福音館書店

     


  11. 1954年 『マドレーヌといぬ』
  12. 絵・文/ルドウィッヒ・ベーメルマンス
    訳/瀬田 貞二
    福音館書店

     


  13. 1953年 『おおきくなりすぎたくま』
  14. 絵・文/リンド・ウォード
    訳/渡辺 茂男
    福音館書店

     


  15. 1952年 『みつけたものとさわったもの』
  16. 絵/ニコラス・モードヴィノフ
    文/ウィリアム・リプキンド
    訳/晴海 耕平
    童話館出版

     


  17. 1951年 『The Egg Tree』
  18. 絵・文/キャサリン・ミルハウス
    訳/福本 友美子
    徳間書店

     


  19. 1950年 『ツバメの歌』
  20. 絵・文/レオ・ポリティ
    訳/石井 桃子
    岩波書店

     


  21. 1949年 『The Big Snow』
  22. 絵・文/ベルタ&エルマー・ヘイダー

     


  23. 1948年 『しろいゆき あかるいゆき』
  24. 絵/ロジャー・デュボアザン
    文/アルビン・トレッセルト
    訳/江國 香織
    BL出版

     


  25. 1947年 『ちいさな島』
  26. 絵/レナード・ワイズガード
    文/ゴールデン・マクドナルド
    訳/谷川 俊太郎
    童話館出版

     


  27. 1946年 『The Rooster Crows』
  28. 絵・文/モード&ミスカ・ピーターシャム

     


  29. 1945年 『おやすみかみさま』
  30. 絵/エリザベス・オートン・ジョーンズ
    文/レイチェル・フィールド
    訳/なかむら たえこ
    燦葉出版社

     


  31. 1944年 『たくさんのお月さま』
  32. 絵/ルイス・スロボトキン
    文/ジェームズ・サーバー
    訳/中川 千尋
    徳間書店

     


  33. 1943年 『ちいさいおうち』
  34. 絵・文/バージニア・リー・バートン
    訳/石井 桃子
    岩波書店

     


  35. 1942年 『かもさんおとおり』
  36. 絵・文/ロバート・マックロスキー
    訳/渡辺 茂男
    福音館書店

     


  37. 1941年 『They Were Strong and Good』
  38. 絵・文/ロバート・ローソン

     


  39. 1940年 『エブラハム・リンカーン』
  40. 絵・文/イングリ&エドガー・パーリン・ドーレア

     


  41. 1939年 『メイリイとおまつり』
  42. 絵・文/トマス・ハンドフォース

     


  43. 1938年 『Animals of the Bible, A Picture Book』
  44. 絵/ラスロップ

     

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『さんかくサンタ』

さく/tupera tupera
対象/赤ちゃんから

さんさんさんかく さんかくサンタ まんまるふくろを せなかにしょって しかくいおうちに はいっていった――さんかく・まる・しかくで愛らしいクリスマスのおはなしができました。この質感、手触り感。まるで織物のよう。シンプルな展開だからこそ、生きてくる味わいです。

『まどから おくりもの』

さく/五味 太郎
対象/3歳から

窓の中にちらっとみえる姿をみて、サンタさんは贈り物を選んで配ります。ところが意外! 穴あきしかけの効果抜群、楽しさ最高。

『ぐりとぐらのおきゃくさま』

文/中川 李枝子
絵/山脇 百合子
対象/3歳から

森で雪合戦をしていたぐりとぐらは、雪の上に大きな足跡を見つけました。足跡は森をぬけ、原っぱを通り、ぐりとぐらの家まで続いていました。ドアを開けると玄関には大きな長靴、壁には真っ赤なオーバーと白いマフラー、そして赤い帽子がかかっています。いったいだれ? そのときいい匂いがしてきたので、台所にいってみると、そこにはまっ白なひげのおじいさんが焼きたてのケーキを作って、待っていました。ぐりとぐらのクリスマスの絵本です。

『てぶくろ』(ウクライナ民話)

絵/エウゲーニー・M・ラチョフ
訳/内田 莉莎子
対象/3歳から

おじいさんが森の中に手袋を片方落としてしまいます。雪の上に落ちていた手袋にネズミが住みこみました。そこへ、カエルやウサギやキツネが次つぎやってきて、「わたしもいれて」「ぼくもいれて」と仲間入り。手袋はその度に少しずつ大きくなっていき、今にもはじけそう……。最後には大きなクマまでやって来ましたよ。手袋の中はもう満員! そこにおじいさんが手袋を探しにもどってきました。さあ、いったいどうなるのでしょうか?

『クリスマスの三つのおくりもの』

文・絵/林 明子
対象/3歳から

クリスマスに、かすみちゃん・れいちゃん・もっくんの3兄弟が活躍する、手のひらサイズの絵本、3冊セットです。

『しんせつなともだち』

文/方 軼羣
絵/村山 知義
訳/君島 久子
対象/3歳から

食べものがない寒い冬のことです。お腹がすいたうさぎが、かぶをふたつ見つけました。ひとつだけ食べて、もうひとつを同じようにお腹をすかせているろばに届けますが、ろばは留守でした。うさぎはろばの家にかぶをおいていきます。家に帰ってきたろばは、かぶにびっくりします。ちょうどさつまいもを手にいれたばかりだったろばは、かぶを今度は山羊に届けます。思いやりの心をのせたかぶが、動物たちのもとをめぐる「ぐるぐる話」。

『くろうまブランキー』

文/伊東 三郎
絵/堀内 誠一
対象/4歳から

黒馬のブランキーは、主人の家をつくるために一生懸命働いても、小屋も作ってもらえません。やがて年とったブランキーは、主人に力いっぱいたたかれて、道に倒れてしまいます。その晩、サンタクロースが天からおりてきて、しずかにその首をなでると……。フランスのフレネ学校の共同創作を原作とした、静かなクリスマス絵本。絵本作家堀内誠一の第一作です。

『マドレーヌのクリスマス』

文・絵/ルドウィッヒ・ベーメルマンス
訳/江國 香織
対象/4歳から

パリの、つたのからまる古い屋敷に住んでいる12人の女の子。クリスマスの前の晩、屋敷中がかぜで寝込んでしまいました。ただ一人、おちびで勇敢なマドレーヌだけがてきぱき働いていると、玄関をたたく音が聞こえて……。

『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』

文・絵/ジャネット&アラン・アルバーグ
訳/佐野 洋子
対象/4歳から

ジグソーパズル、すごろく、のぞき絵手紙などが本に入っています。1992年度ケイト・グリーナウェイ賞受賞。

『100にんのサンタクロース』

文・絵/谷口 智則
対象/4歳から

100にんのサンタが住む街では、100にんいろいろなサンタがみんなで力を合わせて、1年がかりでクリスマスの準備をします。地図を作ったり、プレゼントの準備をしたり、衣装を作ったり。お天気を作る練習もします。そしてとうとうクリスマスの日、プレゼントを配り終えたサンタたちだけのお楽しみとは…。100にんみんなそれぞれいろんな役割があるサンタさんの絵本。

『さむがりやのサンタ』

文・絵/レイモンド・ブリッグズ
訳/すがはら ひろくに
対象/4歳から

「やれやれまたクリスマスか! 」面倒くさそうに目を覚ましたのは、サンタクロース。寒さに愚痴をいい、煙突に文句をいいながら町の子どもたちにプレゼントを配ります。南の島に憧れながら、一日の仕事をおえると、お風呂にはいり、ビールを一杯飲んで、ごちそうを楽しみます。トナカイたちにおいしいえさをあげることも忘れていません。皮肉屋だけど実はやさしい、人間味あふれるサンタクロースを描いたクリスマスにぴったりの絵本です。

『ちいさなもみのき』

文・絵/マーガレット・ワイズ・ブラウン
訳/上條 由美子
対象/4歳から

小さなモミの木は、ある日、男の人によって掘り出され、家へと運び込まれました。その家には病気で歩けない男の子がいたのです。男の子とモミの木はクリスマスを一緒に過ごします。そして冬が終わるとモミの木はまた森に返されるのです。それから何年もクリスマスが来るたびに、モミの木は男の子と共に楽しく過ごしました。けれど、ある冬、いつになっても男の人は、モミの木を掘り出しにはきませんでした。男の子が心配でたまらないモミの木は……。

『クリスマスのものがたり』

文・絵/フェリクス・ホフマン
訳/生野 幸吉
対象/5歳から

スイスの画家ホフマンが、キリスト誕生の物語を真正面から描いた作品です。宗教を抜きにしても、これほど感動的で劇的な物語はほかにないでしょう。

『おおきいツリー ちいさいツリー』

文・絵/ロバート・バリー
訳/光吉 夏弥
対象/5歳から

もうすぐクリスマス。ウィロビーさんのお屋敷に届けられたのは、見たこともないような大きなクリスマスツリーでした。大広間に立ててみると、ツリーは大きすぎて、天井につっかえて曲がってしまいます。そこで執事のバクスターは、先っぽをちょん切り、小間使いのアデレードに渡しました。アデレードがツリーを机の上に置いてみると、やはり少し大きすぎます。そこでアデレードも、ツリーの先っぽをちょん切って、庭師のチムへ渡します。ここでもやはり、ツリーの先っぽは切られることに……。一本の大きなクリスマスツリーから始まる、ユーモアたっぷりの可愛らしい物語。切られてしまったツリーの先っぽは、みんなに喜ばれ、それぞれのその場にぴったり合ったサイズのツリーとして、一緒に幸せなクリスマスを迎えるのです。

『ばあばのおうち』

ばあばのおうち
文/村上萌
絵/湯浅望
対象/5歳から

幼い主人公の女の子ありさは、大きな庭のあるばあばのお家に遊びに行くことが大好き。例えば、庭のお花をつんでブーケにして朝のテーブルに飾ると楽しいことや、相手の姿が見えなくなるまでずっと手をふって見送ることなど、何気ない暮らしの中に、ばあばが教えてくれた大切なことが散りばめられています。春、夏、秋、冬と、四季がめぐるように展開し、クリスマスの様子も季節の色で美しく描かれた絵本です。

『こびとのくつや』

文/グリム
絵/いもと ようこ
対象/5歳から

正直者の靴屋さん。でもだんだん貧しくなり、ついに靴一足分の皮だけになってしまいます。ところが翌朝、不思議なことに見事な靴ができていて、すぐに売れました。同じことが続いたある夜、靴屋さんが工房をのぞいてみると、二人のこびとがあらわれて……。グリム童話の名作です。

『クリスマスのあかり チェコのイブのできごと』

文/レンカ・ロジノフスカー
絵/出久根 育
訳/木村 有子
対象/5歳から

チェコのクリスマスイブ。小さな男の子フランタが、ひとりで教会へむかいます。イエス様の生まれ故郷ベツレヘムから届いた灯りを、家のランプのろうそくにわけてもらうのです。しかし教会で思わぬ失敗をし、あわてて逃げだすことに。それでも、とちゅうで出あった気のどくなおじいさんを助けるために、知恵と勇気をふりしぼります。小さなフランタのやさしさに、心にぽっと灯がともるようなあたたかい気持ちにさせられます。

『やかまし村のクリスマス』

文/アストリッド・リンドグレーン
絵/イロン・ヴィークランド
訳/おざき よし
対象/6歳から

やかまし村の子どもはクリスマスが来るととっても楽しくなります。みんなでたきぎを運んで、ツリーをかざって準備をするのです。ロングセラークリスマス絵本。

『クリスマスがちかづくと』

文/斉藤 倫
絵/くりはら たかし
対象/6歳から

セロはクリスマスが大嫌い。クリスマスはいつも、おとうさんもおかあさんも家にいないから。おかあさんはデパートの仕事がいそがしいし、おとうさんもどこかに出かけたまま帰ってこない。10歳になったセロは、おかあさんに思い切ってきいてみました。「どうして、おとうさんはクリスマスがちかづくと、家に帰ってこなくなるの?」おとうさんの驚くような秘密を知って、セロの小さな閉じた世界は開かれ、大きく広がっていきます。

『クリスマス』

文・絵/バーバラ・クーニー
訳/安藤 紀子
対象/6歳から

コールデコット賞作家、バーバラ・クーニーが、美しい挿絵とともにクリスマスの歴史や習慣をコンパクトに教えてくれる本。

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小さな子どもとのおでかけには、いろいろと心配がつきものです。せめて荷物をすっきりさせられたら、いくらか気分が楽になるというもの。
特に赤ちゃん絵本のジャンルでは最近よく見かけるようになってきた厚紙絵本(ボードブック)ですが、実は人気絵本の中にもTPOに応じて使い分けができるように、「おでかけ版」として持ち歩きやすいミニサイズにしたり、頑丈な厚紙絵本にしたりと横展開している作品があります。

かばんにすっぽり入る「小さめサイズの厚紙絵本」が手元にあると、安心して親子でおでかけを楽しめそうです。

 


おでかけ版『いないいないばああそび』

文・絵/きむら ゆういち
サイズ/幅17 x 高15 cm
定価/858円(税込)
対象/0歳から
偕成社
2003年10月発行

おかあさんと子どもの間でくり返されてきた“いないいないばあ”を、ゆかいな遊びの絵本に。かわいいキャラクターがいっぱい!

 


『しましまぐるぐる』

絵/柏原 晃夫
サイズ/幅17.4 x 高17.4 cm
定価/968円(税込)
対象/0歳から
学研プラス
2009年4月9日発行

あかちゃんが注目する黒を中心に、2ヶ月児でも見やすいコントラストの強い配色にデザインしたベイビーブック。あかちゃんが生まれながらに反応する『顔』や、反応のいいとされる『しましま』と『ぐるぐる』がいっぱいのかわいくてきれいな絵本。

 


『かお かお どんなかお』ミニ版

作/柳原 良平
サイズ/幅13 x 高14.2 cm
定価/770円(税込)
対象/0歳から
こぐま社
2015年発行

楽しい顔、悲しい顔、笑った顔、泣いた顔、いたずらな顔……。さまざまな顔の表情を大胆にデフォルメして切り絵で表現した“表情の絵本”。赤ちゃんはもちろん、幼児も絵本を見ながら百面相をして楽しんでいます。

 


『ぎゅっ』ミニ版

作・絵/ジェズ・オールバラ
サイズ/幅15 x 高13 cm
定価/946円(税込)
対象/0歳から
徳間書店
2011年10月26日発行

森の中をさんぽしていたさるのジョジョくん、友だちの動物がみんな「ぎゅっ」としているのを見ているうちに、すっかりママが恋しくなってしまいます。「ママー!」……読んでる大人も子どもも、心のなかがほっこりしてきて思わず「ぎゅっ」としたくなる絵本。

 


『どうぶついろいろかくれんぼ』

作/いしかわ こうじ
サイズ/幅16 x 高16 cm
定価/968円(税込)
対象/0歳から
ポプラ社
2006年5月発行

なにがかくれているのかな? いろんな形のかたぬきページをめくると、かくれていたどうぶつが次々とあらわれる楽しいしかけ絵本。

 


ボードブック版『もいもい』

作/市原 淳
監修/開 一夫
サイズ/幅12 x 高12 cm
定価/1320円(税込)
対象/赤ちゃんから
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2018年11月15日発行

東京大学あかちゃんラボ発。あかちゃんといっしょに作ったあかちゃんのための絵本です。

 


『じゃあじゃあびりびり』

作・絵/まつい のりこ
サイズ/幅14 x 高14 cm
定価/660円(税込)
対象/1歳から
偕成社
1983年7月発行

「じどうしゃ ぶーぶーぶーぶー」「みず じゃあじゃあじゃあ」、楽しく明解な絵とリズミカルなことば。音から物を認識する絵本です。

 


ボードブック版『はらぺこあおむし』

作/エリック・カール
訳/もり ひさし
サイズ/幅18 x 高13 cm
定価/990円(税込)
対象/2歳から
偕成社
1997年10月発行

小さなあおむしは、もりもりと食べつづけて美しい蝶になった。数や曜日の認識をおりこみ、穴あきのしかけをこらした斬新な絵本。

 


ボードブック版『パパ、お月さまとって!』

作/エリック・カール
訳/もり ひさし
サイズ/幅13 x 高18 cm
定価/990円(税込)
対象/3歳から
偕成社
1997年10月発行

娘に月をせがまれて、パパは本当に月を連れてきた! 画面が左右上下に広がるしかけで、空の高さや月の満ち欠けを表現した絵本。

 


『100かいだてのいえ』ミニ版

作/いわいとしお
サイズ/幅13 x 高18 cm
定価/990円(税込)
対象/3歳から
偕成社
2015年7月発行

空まで届くふしぎな家を、のぼって探検しよう! 縦にながい画面が大迫力、いろいろな生きものに会いながら頂上をめざします。

 


『どこミニ どうぶつ どこ?』

作/山形 明美
絵/大畑 俊男
サイズ/幅15.5 x 高15.5 cm
定価/715円(税込)
対象/幼児から
講談社
2007年11月6日発行

かわいい写真絵本「どこ?」シリーズから再編集された手のひらサイズ絵本です。

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