ボローニャ国際絵本原画展について
1964年からイタリア・ボローニャで毎年春に開催されている「Bologna Children’s Book Fair(ボローニャ国際児童図書展)」は、世界の出版ビジネスをつなぐ場として賑わいます。今では1400を超える出展者と約30000人の訪問者が集まる規模になっています。
絵本のイラストレーションを対象にした国際コンクール「ボローニャ国際絵本原画展」は、フェアが主催するイベントのひとつです。プロ・アマ問わず、また出版・未出版に関わらず審査の対象となるため、新人作家の登竜門として世界中から多くの応募があります。
入選者の作品は日本でも展覧会が開催され、その年の夏頃、板橋区立美術館(東京)からはじまり、四日市市立美術館(三重)、石川県七尾美術館(石川)、太田美術館・図書館(群馬県)と2カ月おきに巡回していきます。
2022年度「ボローニャ国際絵本原画展」の入選者が発表されました
今年は世界91の国と地域から4345名の作品応募があり、315名のファイナリストの中から80名の受賞者が選ばれました。そのうち日本人入選作家は5名です。
▶2023年度 ボローニャ国際絵本原画展 入選者リスト|Bologna Children’s Book Fair
2023年度 日本人入選者
ファイナリスト
あんどう えりこ(Ando Erico)
あい めりこ(Merico Ai)
にしかわ なおこ(Nishikawa Naoko)
にしお はるか(Nishio Haruka)
わたなべ みちお(Watanabe Michio)
山本 まもる(Yamamoto Mamoru)
入選
あおき たかこ(Aoki Takako)
木村 友美(Kimura Yumi)
さぶ さちえ(Sabu Sachie)
スズキ トモコ(Suzuki Tomoko)
寺澤 智恵子(Terasawa Chieko)
「ボローニャ国際絵本原画展」をきっかけに活躍する絵本作家たち
現在活躍している絵本作家のなかにも、歴代の「ボローニャ国際絵本原画展」入選者がたくさんいます。
実は、僕が作家を目指してチャレンジしていた2000年代前半頃は、入選してもなかなか出版に結びつかないコンクールという印象がありました。絵本コンクールといいながら、審査対象が5枚のイラストレーションだけで、そのままでは絵本にできないこともそうですし、1990年代からの出版不況が原因で、積極的な新人発掘・育成がしにくかったこともあると思います。
それでも、やっぱり入選者の芸術レベルは他のそれに比べて圧倒的に高い。「本質」は変わりません。
だからこそ、出版までたどりついたひと握りの作家たちは、それぞれの表現力をいかんなく発揮し、子どもたちを中心に支持されてきました。まさに入選作家たちが自らの手で、「ボローニャ国際絵本原画展」の価値を高めてきた20年といえます。
エンブックスとしても、これまで6名の入選作家と絵本づくりに取り組んできました。これからももっとたくさんの入選作家と関わっていくつもりです。
「ボローニャ国際絵本原画展」は、必ずプロの作家になれることが約束されたコンクールではありませんが、登竜門としてチャレンジする価値のあるコンクールであることは間違いありません。
高畠 純
樋勝 朋巳
三浦 太郎
2001、2003、2004、2005、2006、2007年入選
『くっついた』
たかい よしかず
2001、2003、2006、2011年入選
『おさんぽ くろくま』
いまい あやの
2003、2004、2005、2006、2009年入選
『くつやのねこ』
いしかわ こうじ
からさわ ようすけ
よねづ ゆうすけ
松村 真依子
刀根 里衣
2012年入選、2013年SM国際出版賞受賞
『ぴっぽのたび』