文/トルストイ
絵/バスネツォフ
訳/おがさわら とよき
定価/1210円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1962年5月1日発行
今朝の電車内、席に座っていた女の子とお母さん。リュックサックに入っていた『3びきのくま』を取り出して、慣れた手つきで読み聞かせをはじめました。お母さんにしてみれば、子どもがグズる前にということなのでしょう。
森で迷子になった女の子は、小さな家を見つけます。食堂には大きなお椀、中くらいのお椀、小さなお椀に入ったスープが。女の子は小さなお椀のスープをすっかり飲んでしまいます。隣の寝室には大きなベッド、中くらいのベッド、小さなベッドが。女の子は小さなベッドで眠ってしまいます。そこへ、散歩に出かけていた3匹のくまが帰ってきます。この家は大きなお父さんぐま、中くらいのお母さんぐま、小さな子どものくまの家だったのです。
ものの10秒で女の子が物語の世界へ入り込んでいったのがわかりました。
表紙越しに女の子の目線を観察していると、右へ行ったり、左へ行ったり、それは明らかに文字を追っているのとは違う動きをしています。
画面のなかに描かれているものをひとつもこぼすまいというような、あるいは画面の外にある物語の世界も覗き込もうというような、そんな動きです。
子どもは「絵を読む」といいます。読んで聞かせることが前提の絵本ですから、そもそも文字を追う必要がないというのもありますが、画面の捉え方が大人のそれとは全く違います。
だから絵本は「語る絵」じゃないといけない。その良し悪しは、はじめにお話ありきで、最後はやっぱり絵で決まるものなんですよね。
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