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日本最大の図書館検索サイト「カーリル」で、『なでてなでて』(絵/日隈 みさき)と『ぱたぱたえほん』(作/miyauni)の貸出状況をチェックするのが日課になりつつあります。
図書館で本を借りると2週間くらいの貸出期間があるので、日課にすることに全く意味はないのですが、たくさん借りられている状況を目にすると、単純にうれしい気持ちになります。

例えば「東京」の図書館で検索してみると、『なでてなでて』は、93の図書館に置いてもらっていて、そのうち65冊(各図書館1冊だと仮定して)が貸出中ということが分かります。
蔵書の70%が貸出中というのはすごいことで、それだけ良い場所に置いてもらっているんだろうと想像できますし、良い場所に置いてもらっているということは図書館員の方たちに気に入ってもらえたんだろうと想像できます。『ぱたぱたえほん』は33館のうち26冊が貸出中で80%近く。

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図書館が大量の新刊を購入して貸し出すことや、文庫本の貸出について問題提起があったときに、以前は僕も「一理ある」と思ったことがありました。
でも、実際に手掛けた本が図書館を介して読者に届く状況を見ていると、視点がぐるりと変わり、世界が違ってみえてきました。どこよりも早く、子どもと本との出会いの場を作ってくれているのは図書館なんですよね。感謝しかないです。

2018年は、昨年末に10年越しのラブコールが実り、ずっとご一緒したかった作家さんと新しい赤ちゃん絵本づくりをスタートさせます。年内に赤ちゃん絵本を2冊くらいは手がけたいと思っています。

法人化にあたって用意した資本金はあっというまになくなりましたよ!

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エンブックスでは、淑徳大学 杉原麻美 准教授の協力のもと、今年の5月から人文学部表現学科の学生たちと「赤ちゃん絵本プロジェクト」を立ち上げました。
まずは絵本市場の現状と、どうして今、赤ちゃん絵本をつくるに至ったのかを知ってもらい、そのうえで実際の絵本づくりの過程を隔月で報告してきました。
発足当時はモノクロのラフなアイデアだったものに、少しずつ色が付き、上質な紙に印刷・製本されて作品に仕上がっていく過程のよろこびを、断片的ではありましたが学生らと共有できたことは、僕にとってもすばらしい経験になりました。

その「赤ちゃん絵本プロジェクト」の集大成として、学生らが自分たちのアイデアで「どうしたら手にとってもらえるか」を考え、準備を進めてくれています。

ひとつは、学生がエンブックスの「ライター」となって、記事を執筆すること。記事企画の場は、とても盛り上がりました。たくさんの良い企画の中から2本をピックアップして、担当の学生が執筆中です。
『なでてなでて』『ぱたぱたえほん』の2作品の魅力を、それぞれのアプローチで語ってくれると思います。まもなく掲載予定ですので、ぜひ読んでもらえたらうれしいです。

もうひとつは、「淑徳祭」での展示販売イベントです。メインビジュアルのポスターは、学生ががんばって制作してくれました。
表現学科では自ら演じる授業もあるそうで、学生らによる「読み聞かせ」は、まさに絶好の場。他にも、実際にいろいろな触感に触れることができるプチコーナーや、すぐに真似できる手遊びの実演と、作品にまつわるユニークなブースに仕上がる予定。

当日はぜひ親子で遊びにいらしてください。

 


▶淑徳祭について
日程/11月18日(土)、19日(日)
会場/淑徳大学 東京キャンパス
住所/東京都板橋区前野町6-36-4
ブース/4号館4-1教室

イベントポスター

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本日、株式会社エンブックスを設立いたしました。
また、設立にともない大手取次トーハンの子会社である株式会社メディアパルと契約し、本格的な書店流通の実現に向けた第一歩を踏み出します。

2017年8月29日は「上弦の月」にあたり、ここから満月へと向かっていきます。
エンブックスも同じように一歩ずつ、でも確実に大きくなっていけるよう、新たなスタートをめいっぱい楽しみたいと思います。

改めて、どうぞよろしくお願いいたします。

代表取締役 西川俊充

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赤ちゃん絵本プロジェクトはまだまだ続きます!

 

この度はエンブックスの赤ちゃん絵本プロジェクトにたくさんの応援をいただき、ありがとうございます。

村上春樹の小説と違って、絵本を選ぶパパママの多くは中身をしっかり吟味してから購入すると思います。
にもかかわらず、始動時は1ページもできていなかった赤ちゃん絵本に対してこれだけのご支援をいただけたこと、本当に励みになりました。

目標金額は達成することができませんでしたが、おかげさまで2作品の出来はいずれも素晴らしく、コンセプト通り「親子がスキンシップしたくなる」絵本になりました。そういう意味では、このプロジェクトは成功だと言えます。

これを「大成功」にするために、エンブックスとしては、長年の目標であった本格的な書店流通を実現させるべく、現在、準備を進めているところです。

いただいた資金は当初の予定通り、絵本の製本代の一部として使わせていただきます。
しかし、目標金額に届かなかったこと、取次との契約において新たに多くの資金が必要になることをふまえ、当初の出版計画を見直すことにしました。

大変お待たせして申し訳ございませんが、何卒ご了承いただけたら幸いです。
また、この大きなチャレンジを引き続き応援いただけたらうれしいです。

 


出版日と仕様について

 

『なでてなでて』

え/日隈 みさき
ぶん/西川 季岐
10月11日(水)発行予定
価格/未定

『ぱたぱたえほん』

さく/miyauni(みやうに)
11月9日(木)発行予定
価格/未定

リターンとしての絵本や原画は、それぞれの出版のタイミングでエンブックスからお届けいたします。
2作セットの「コレクター」については、作品ごとに2回に分けてお届けいたします。

何かご不明な点がありましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
出版の日まで今しばらく、楽しみにお待ちくださいますようよろしくお願いいたします。

エンブックス 西川 季岐

 


ご支援いただきありがとうございます!
皆様の応援がとてもうれしく、励みになりました。 絵本から広がる赤ちゃんの楽しい時間を想像して、1ページ1ページ大切に作りました。 どうぞ、絵本「なでてなでて」が特別な一冊となりますように。
ありがとうございました。

絵本作家 日隈 みさき

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赤ちゃんの声で完成した「親子がスキンシップしたくなる」絵本

 

ある程度のラフが固まって「こども編集部員(*)」にレポートを協力してもらったあと、日隈さんと相談して2つの修正をしました。

  • 気づき① 赤ちゃんに「知識」を必要とするネタは伝わらない
  • 気づき② 赤ちゃんが動物を「なでる」反応が見られたので確実にしたい

①については、「鳥とたまご」が登場するシーンでのことです。
親鳥からたまごを「なでて」と声がけがあり、ページをめくるとたまごから雛がかえるという、少し変化を効かせたアイデアですが、こうした生態をまだ知らない赤ちゃんにとっては理解の難しいシーンになっていました。

さらに「つるつる」という感触も描かれているので、展開としても「なでる」「つるつる」「うまれたよ」の3段オチ。まさに赤ちゃんから教えてもらって、思いきってこのシーンは、ばっさりカットすることに決めました。

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▲意外性のある「たまご」をおもしろがれるのは大人だから。赤ちゃんにとっては難しかったのでカット

②については、各動物が登場する見開きにも「手」を描き加えてみようと考えました。
耳からだけではなく、視覚的にも「なでて」と示すことで、赤ちゃんはスムーズに反応しやすくなったと思います。

また、めくったときの「手」は、それぞれの感触に対して微妙に動きを変えました。
つまり「手が語る」ことによって、シーンが格段に豊かになりました。

こうして地道に検証を繰り返し、各ページで親子がどんな気持ちで楽しんでくれるのかを注意深くシミュレーションしながら、最終的にセレクトされた5種類の動物は、「感触のバリエーション」と「愛らしいキャラクター性」と「目新しさ」と「身近と意外のバランス」を見事に満たしてくれたと思います。


▲「とり」に代わって登場する「トイプードル」は感触だけでなく時代性も考慮して。「手」が効果的になった

反射的に触りたくなるものから、(現実ならば)触るのをためらってしまうものまで、ページをめくって展開していくごとに好奇心がくすぐられ、そして最後には、掲げてきたコンセプト通り「親子がスキンシップしたくなる」仕掛けによって、すべての親子が笑顔で絵本を閉じてくれると信じています。(おしまい)

(*)制作過程の絵本を対象年齢の子どもに実際に読んで聞かせる取り組み。これまで50名以上が協力

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絵本を開いた親子がぱたぱた遊びをしたくなる11のモチーフ探し

 

miyauni(みやうに)さんのアイデアは、11見開きを「ちょうちょ」だけで貫いて展開するものでしたが、僕はいろんな「ぱたぱたする」ものを見てみたいと思いました。

次に、みやうにさんが持ってきてくれたアイデアは、「ちょうちょ」の他に「とり」や「ぞうの大きな耳」など5つのパターンを、1.2のリズムでまとめたものでした。
「ちょ ちょ ちょうちょが」でページをめくって「ふんわ ふんわ」という構成です。なおさら、僕はもっといろんな「ぱたぱたする」ものを見てみたいと思いました。

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ちょうちょ__ページ_03
▲1.2のリズムで展開した初期のアイデア。2見開き目で絵本をぱたぱたさせて読む。

それで、日隈さんとの創作と同じく、やはりモチーフ出しからはじめることにしました。

本ならではの「開いて閉じる」構造に基づいて考えていくと 、「ちょうちょ」のように本を180°開いて「ぱたぱたする」もの以外にも、例えば開く角度を変えてみたらどうか、あるいは縦横の視点を変えてみたらどうかと、ネタの幅がぐっと広がりました。

例えば、見開きの左右に「シンバル」を描いて「シャンシャンする」のは実に良いアイデアです。本の構造をうまく利用しつつ、それでいて「ちょうちょ」とは違う「手遊び」を提案してくれるものでした(といいつつ、最終的にボツにした)。

他にも、「魚」が1匹ページにまたがっていてピチピチ動かしてみせるものや、左右の「石」をぶつけるようにカチカチするものなど、おもしろいネタが次々に出てきたので、これなら1.1.1……のリズムで11パターン見せる展開にできるし、そのほうが絶対に親子で楽しめると確信しました。

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▲結果的に不採用になった「魚」だが、とにかくいろんなアイデアを出しては実際にぱたぱたして試した

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▲こちらは採用になった「ぞう」の初期デザイン。「魚」と比べると読者に何をして欲しいのかが明らか

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「読んであげる」に「手遊び」を足したら新しい絵本に

 

日隈さんが絵描きに対して、miyauni(みやうに)さんはデザイナーです。
実は、赤ちゃん絵本作家でいうと、『はらぺこあおむし』のエリック・カールや、「ミッフィー」シリーズのディック・ブルーナは、優れたグラフィックデザイナーでもあります。

赤ちゃんにとって最適な情報量は、大人よりもはるかに少ないので、けずってけずって単純化することが得意なデザイナーは、赤ちゃん絵本作家に向いているんですよね。

「親子で一緒に楽しめる」というテーマに対して、みやうにさんが最初に持ってきてくれたアイデアは「なぞって楽しむ絵本」と「パタパタする絵本」のふたつでした。

ページをめくって、パタパタする。
またページをめくって、パタパタする。

内容だけではなく、本ならではのカタチそのものを楽しもうというアイデアは、今までありそうでなかったものです。
なるほど、「読んであげる」に「手遊び」が加わって、全く新しい絵本体験ができると思いました。絶対に電子化できないというのも魅力的です。うん、こっちでやりましょう、と。

最初にいただいたラフには、見開きに大きな「ちょうちょ」が描いてありました。
これにどんな仕掛けをすれば、読者が実際に「パタパタする」絵本になるか。

それを実現するのは、簡単なことじゃないですよ。
でも、難問に挑むのはキライじゃありません。

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▲見開きに大きく描かれたシンプルで美しい「ちょうちょ」

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▲最初のラフでは「ちょうちょ」だけで11見開きを貫くアイデアだった

 


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実際に親子が触れ合うシーンを想像して

 

「なでて」という声掛けで、赤ちゃんがどれくらい反応してくれるかを検討していたとき、手に取った絵本『くだもの』(さく/平山和子 福音館書店)の見開きに「これだ!」という答えがありました。

『くだもの』では、まるで本物と見間違うような美しいりんごが描いてあって、ページをめくると「さあ どうぞ。」の声掛けとともに、カットされたりんごを差し出されます。
ポイントは、その「さあ どうぞ。」に描き添えられた「手」です。

手があることで、赤ちゃんも思わず自分の手を伸ばします。見開きにカットされたすいかの静物画だけでは、おそらくこういうコミュニケーションは生まれないんですよね。

それに気が付いて、今作の見開きにも手を入れてみたら、「なでて」の声掛けが、とたんに活き活きと聞こえてきます。
絵本の中の動物たちとコミュニケーションできるようになりました。

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▲導入は身近なねこが登場(スケッチ)。正面性を意識した構図と耳ざわりのいい言葉で惹きつける

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▲赤ちゃんの手を描き添えたことで反応しやすく。位置や大きさを検討しながらスケッチを繰り返す

絵本の仮タイトルは『なでて なでて』です。
仮とはいえ、ほとんど確定です。それは、この絵本を通じて実現したいことが「実際に親子が触れ合うきっかけをつくる」ことだから。
単にいろんな動物の感触が楽しい絵本なら、例えば『ふわふわ』といったタイトルでも良いんですよね。

でも、今作のゴールはもっと先にある親子の触れ合いです。
ページをめくったときの親子のシーンを想像しながら、そこにたどり着くように作品を磨いているところです。

今作は、閉じた後が「山場」ともいえますよ。

 


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目次

  1. 赤ちゃんが感触を体感できるような
  2. 「なでて」の声掛けでページをめくる仕掛け
  3. 親子がスキンシップしたくなるシーンの実現

 


好奇心いっぱいの赤ちゃんが思わず触りたくなる絵本を

 

「親子で一緒に楽しめる」ことを基本的な考えとして、日隈さんとの絵本づくりで導き出したテーマは「さわる」です。
動物から「なでて」と声掛けがあり、ページをめくって、なでてあげると動物がうれしそうにしている。「いないいない」「ばあ」と同じ、1.2のリズムで繰り返す定番の展開です。

「さわる」を楽しんでもらうために、まずはいろんな「感触」を洗い出すところからはじめました。
ふわふわ、ふさふさ、すべすべ、さらさら、ざらざら、かさかさ、ごつごつ、ごりごり、かちかち、つるつる、ぬるぬる、べたべた、ふにゃふにゃ……
「今だったら『もふもふ』も、おもしろい表現ですよね」とか言ったりして。

次に、その「感触」にあてはまる動物をピックアップしていきました。
ふさふさといえば、ライオンのたてがみ。ごつごつといえば、やっぱりわにが代表選手です。ふわふわなのは、アルパカ。
「アルパカって今っぽいけど、赤ちゃん絵本に登場するには、もうちょっと身近な動物のほうが良いかも」
「ぶたも描いてみたいけど、どんな感触だっけ」。

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▲初期のアイデアスケッチから。最初の見開きで「なでて」と声をかけてくる動物

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▲ページをめくると、なでてもらってうれしそうな動物が。いろんな「感触」が楽しい

赤ちゃん絵本は基本的に24ページです。見開きでいうと11見開き。
1.2のリズムで登場できる動物はわずかに5種類です。魅力的な動物を並べてみて、候補を絞り込む作業は大変です(現在進行形)。

絞り込むときのポイントは、感触のバリエーションと、もうひとつ。
バリエーションで見せるだけでも、十分に楽しい赤ちゃん絵本になりますが、今作では「親子で一緒に楽しめる」ためのとっておきの仕掛けを考えました。そのアイデアについては、今はまだお披露目できませんが、ライオンは残念ながら落選です。

 


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