花いっぱいの挿絵が美しい 子ども達以上にお気に入り『はるをさがしに』


子どもの頃、私が一番好きだった絵本は『スイミー』だ。
ストーリーはもちろん好きだったが、私が特に気に入っていたのは挿絵だ。

スイミーの挿絵は本当に美しいと思う。全体的に淡い水彩画のタッチで優しい雰囲気。
そしてとにかく色鮮やかだ。透明感たっぷりの色づかいで、まるで海の中にいるような気分になる。
当時の私はこの絵本を眺めながら、水の中から見える景色はこんな感じなのだろうかと思いを馳せていたものだ。

このように挿絵が美しい絵本には時々出会うものだが、『はるをさがしに』も、まさにそんな作品だ。

春待ち遠しい山の中、オコジョのタッチィには楽しみが一つありました。なかよしのくまさんが冬眠からさめることです。タッチィは早くくまさんに起きてほしくて、春をさがす旅に出ます。

主人公の白いオコジョ「タッチィ」が、冬眠中の友達クマのために春を探しに列車に乗り、旅をするストーリーだ。雪が溶け、花が咲き……と、冬から春に移ろいで行くにつれ、挿絵がどんどんカラフルになり、花の描写が多くなっていく。

色鉛筆で書かれたようなふんわりとしたタッチの挿絵の中に、一体どれだけの花が咲いているのだろうか。ページいっぱいのお花畑はまさに春爛漫の美しさだ。

子ども達以上に、私がこの絵本を気に入ってしまった。

今年の冬は暖冬と言われているが、それでも冬は寒い。東北の冬生まれにも関わらず、寒いのが苦手な私は毎年春を心待ちにしているが、今年は『はるをさがしに』のおかげで、少しだけ早く春を感じられそうだ。

『はるをさがしに』

作/亀岡 亜希子
文溪堂
定価/本体1500円+税
ページ数/32ページ
2004年2月発行