児童向け

◎エルンスト・クライドルフ
1863年、ベルン生まれ。幼少の頃から草花や虫を観察しスケッチをすることが大好きで、20歳になると画家を志してミュンヘンへ移り住む。しかし、美術アカデミーの学費を稼ぐための多忙な生活から体調を崩し、南バイエルンのパルテンキルへンで療養生活を送ることに。アルプスの大自然で幼い頃に夢中だった草花や虫の世界と再会し、そのよろこびが生涯にわたる創作のテーマとなっていった。1898年に出版された『花のメルヘン』は大成功を収め、絵本画家としての大きな一歩を踏み出す。ヨーロッパにおける絵本画家の草分け的存在。

 

『くさはらのこびと』

訳/大塚 勇三
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1970年9月5日発行

朝の輝かしさ、小人の結婚式のはなばなしさ、バッタを馬にした決闘の緊迫感……。草原に住む小人たちの生活と冒険が、美しいスイスの自然をバックにして、あざやかに展開していきます。

 


『ふゆのはなし』

訳/大塚 勇三
定価/1430円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1971年3月発行

冬、3人の小人が雪をかきわけて、いとこの7人の小人を訪ねていきます。そこには白雪姫がきているのです。深い雪と氷を舞台に、小人と白雪姫のあたたかい交流を美しい絵で描ききったスイスの代表的な古典絵本。

 


『バッタさんのきせつ』

訳/佐々木田 鶴子
定価/1650円(税込)
対象/2、3歳から
ほるぷ出版
2012年4月発行

草や花、虫や動物たちを愛情あふれるまなざしで見つめ、ユーモアいっぱいの絵本にしました。

 


◎アロイス・カリジェ
1902年、トゥルン生まれ。11人兄弟の7番目として、貧しい田舎で幼少期を過ごしたが、その後、州都クールへ引っ越した。装飾芸術の見習いの後、1923年からはチューリッヒでグラフィックデザイナーとして技術を学んでいく。39年までの活動で取り組んだ作品に、「パリ万国博覧会」でのスイスパビリオンのジオラマや、「スイス全国博覧会」の公式ポスターデザインなどがある。故郷のトゥルンで休日を過ごしている中で大自然に魅了され、そこに戻って暮らすことを決意、さらに自身の芸術的方向性を絵画へと変えた。

 

『大雪』

文/ゼリーナ・ヘンツ
訳/生野 幸吉
定価/1980円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1965年12月発行

アルプスの山の小さな村にくらすきょうだい、ウルスリとフルリーナのお話。ふりしきる雪のなか、明日のそり大会のためにふもとの村まで毛糸のかざりを買いに行ったフルリーナが、なかなか帰ってきません。ウルスリは心配して妹をさがしに出かけますが……。

 


『ウルスリのすず』

文/ゼリーナ・ヘンツ
訳/大塚 勇三
定価/2200円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1973年12月発行

アルプスの山おくに元気な男の子ウルスリが住んでいます。明日はすず行列のおまつり。村の男の子たちは牛の首につけるすずを鳴らして冬をおいだし、春を迎えます。ウルスリはいちばん大きなすずを手に入れて、先頭に立ちたいとはりきります。

 


『フルリーナと山の鳥』

文/ゼリーナ・ヘンツ
訳/大塚 勇三
定価/2420円(税込)
対象/小学中学年から
岩波書店
1974年12月発行

フルリーナはキツネにおそわれそうになっていたオオライチョウのひなを見つけ、飼いならそうとしますが……。アルプスのきびしく美しい自然と、そこに住む人々の素朴な生活を描きます。

 


◎ハンス・フィッシャー
1909年、ベルン生まれ。ジュネーブの美術学校で装飾画を、チューリッヒの芸術学校で版画を学んだ後、パリに渡り働きながら絵を学んだ。帰国後はショーウィンドウの飾り付け、舞台美術、新聞の挿絵などいろいろな仕事をするが、過労で倒れてしまう。療養のために家族と校外に引越し、釣りをしたり植物のスケッチをしたり、子どもと遊んだりして静かに暮らす中、長女ウルスラのために『ブレーメンのおんがくたい』を描いた。このとき絵本が自分の芸術表現にとって最適なものだと感じ、以降3人の子どもたちのために絵本を創作する。

 

『こねこのぴっち』

訳/石井 桃子
定価/1650円(税込)
対象/4、5歳から
岩波書店
1954年12月10日発行

リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとしておぼれてしまいます。

 


『ブレーメンのおんがくたい』

文/グリム
訳/瀬田 貞二
定価/1540円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1964年4月15日発行

飼い主に見放されたろばといぬとねことおんどりが、ブレーメンの町の音楽隊にはいろうとそろって出かけます。途中で日が暮れて、やっとたどりついたのは、なんとどろぼうの家でした。おんどりはねこの上に、ねこはいぬの上に、いぬはろばの上にたって、いっせいに窓から部屋へなだれこみました。驚いたどろぼうたちはいったんは逃げだしますが、再び家にもどってきます。4ひきは家の中で寝ていましたが……。ゆかいなグリムの昔話絵本です。

 


『たんじょうび』

訳/大塚 勇三
定価/1540円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1965年10月1日発行

リゼッテおばあちゃんは、ネコやイヌやメンドリやヤギなど、たくさんの動物たちと一緒に幸せに暮らしています。今日は、おばあちゃんの76才のお誕生日。おばあちゃんが村へ買い物に行っている間に、動物たちはお誕生日のお祝いをしようと大奮闘します。ロウソクを76本買いにいったり、卵を36個も産んでケーキを焼いたり、花をつんだり……。夕方にくたびれて帰ってきたおばあちゃんをすばらしい贈り物が待っていましたよ。

 


『長ぐつをはいたねこ』

訳/やがわ すみこ
定価/1320円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1980年5月20日発行

あるとき、粉屋が死んで、3人の息子たちは遺産を分けることになりました。1番目の息子は風車を、2番目の息子はロバをもらいましたが、3番目の末息子は、たった1匹のねこだけでした。落ち込む末息子に、ねこは長ぐつと袋を1つ用意するようにたのみます。ねこは末息子が用意した長ぐつをはくと袋を背おい、なんと王様のところへでかけていきました。ねこはいったい何をするつもりなのでしょう? 末息子はいったいどうなるのでしょうか?

 


◎フェリックス・ホフマン
1911年、アーラウ生まれ。バーゼルの美術学校を経て、ドイツの美術学校で木版画とイラストを学び、35年に帰郷。アトリエを構え画家として活動する傍ら、市立中学校の美術教師として生活する。36年に結婚、1男3女に恵まれた。しかし、第二次世界大戦により多くの時間を兵役で費やすこととなり、父親として子どもたちに手描きの絵本をつくるように。家族だけの楽しみだったこれらの絵本は、1949年に『ラプンツェル』を皮切りに出版され、その後世界中で親しまれた。

 

『ねむりひめ』

文/グリム
訳/瀬田 貞二
定価/1430円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1963年10月1日発行

子どもがいない王さまとお妃さまのもとに、待望の女の子が生まれました。そこで、王さまは盛大なお祝いをひらき、うらないおんなたちを招待します。招待されたうらないおんなたちは、次々に王女に贈りものをします。ところが、ひとりだけ招待されなかったことを恨みに思った13番目のうらないおんなが、「ひめは、15になったら、つむにさされて、たおれてしぬぞ!」と叫びます。うらないを恐れた王さまとお妃さまは、姫をお城の塔にとじこめてしまいます。

 


『おおかみと七ひきのこやぎ』

文/グリム
訳/瀬田 貞二
定価/1540円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1967年4月1日発行

おおかみを家にいれないよう注意しなさい。おかあさんやぎはこやぎたちにそういって森に食べものを探しにでけます。こやぎたちは、おおかみの「しわがれ声」や「黒い足」をしっかり見ぬいて、おおかみを追い払います。しかし、おおかみは知恵を働かせて「しわがれ声」を「きれいな声」に、「黒い足」を「白い足」に変えて再びこやぎたちの家にやってきます。こやぎたちは、とうとうおおかみに騙されて家の扉をあけてしまいます。

 


『クリスマスのものがたり』

訳/しょうの こうきち
定価/1430円(税込)
対象/5、6歳から
福音館書店
1975年10月10日発行

ユダヤの国に、ヨセフとマリヤという若い男女がいました。ある日、天使ガブリエルがマリヤの前に現れ、「男の子を身ごもるだろう」と伝えにきました。そしてクリスマスの夜、ヨセフとマリヤの間に男の子が生まれ、天使の予言どおりにイエス・キリストと名付けました。宗教を抜きにしても、これほど感動的で劇的な物語はほかにないでしょう。

 


『くまの皮をきた男』

訳/佐々 梨代子、野村 泫
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
こぐま社
2012年7月発行

「くまの毛皮を着て、身体を洗わず、神にも祈らずに7年間生きのびれば、金持ちにしてやる」。悪魔と契約を交わした若者は“くまっ皮”と名乗って放浪の旅を続けますが……。

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『こねこが にゃあ』

作/ひろの たかこ
定価/880円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
2020年1月10日発行

かごの中から、ちいさな耳がのぞいています。お母さん猫が呼ぶと……「にゃあ」と鳴いて、かわいい子猫が出てきました。紙袋の中からも、カーテンの陰からも、「にゃあ、にゃあ」。みんなお母さん猫のもとにやってきます。猫はちょっとしたすき間に、いつの間にか入り込んでいることがあります。そんな子猫たちのしぐさを、やさしく愛情たっぷりに描きました。愛らしい子猫たちのかくれんぼをお楽しみください。

 


『にゃん にゃん』

作/せな けいこ
定価/990円(税込)
対象/2歳から
福音館書店
2018年1月15日発行

白、黒、トラ、ミケ、ブチのこねこたちが、いっしょに遊ぼうと抱っこした女の子の腕から逃げだします。駆けていった先で待っていたのは、お母さんねこ。こねこたちは、にゃんにゃんにゃんと嬉しそうにおっぱいを飲みます。貼り絵で表現されたねこたちが魅力的な絵本です。

 


『ねこのジンジャー』

作/シャーロット・ヴォーク
訳/小島 希里
定価/1540円(税込)
対象/2歳から
偕成社
1997年10月発行

ねこのジンジャーの平穏な生活に入りこんできた黒い子ねこ。2匹のねこの出会いを、軽くのびやかなタッチで描くほのぼの絵本。

 


『なまえのないねこ』

作/竹下 文子
絵/町田 尚子
定価/1650円(税込)
対象/3歳から
小峰書店
2019年4月25日発行

八百屋や書店、パン屋、蕎麦屋、喫茶店などの飼い猫たちが、みんな持っている「名前」に憧れている、ひとりぼっちの猫。ある日、お寺の猫に「自分で好きな名前をつければいいじゃない」と言われ、名前を探すことに。名前のない猫が見つけた「ほんとうに欲しかったもの」とは?

 


『ちいさなねこ』

作/石井 桃子
絵/横内 襄
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1967年1月20日発行

小さな子猫がお母さん猫の見ていない間に、ひとりで家の外へとびだしました。外には危険なものがいっぱい。子どもに捕まりそうになったり、車にひかれそうになったり、大きな犬に追いかけられたり。その度に危機一髪で難を逃れるます。とうとう追いつめられて鳴いていると、お母さん猫は子猫の声を遠くからでも聞きつけてちゃんと探してくれました。お母さん猫はしっかりと子猫をくわえて家へ帰って行きます。

 


『ながいながい ねこのおかあさん』

文/キューライス
絵/ヒグチ ユウコ
定価/1320円(税込)
対象/3歳から
白泉社
2020年11月2日発行

子猫のおかあさんは、体が長い長い猫。ある風が強い日、子猫は遠くまで吹き飛ばされてしまいます。おかあさんの顔を見たくて、心細い思いのままひたすら走る子猫。さて、子猫はおかあさんに会えるのでしょうか? 親子の愛情を描いたお話です。

 


『11ぴきのねこ』

作/馬場 のぼる
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
こぐま社
1967年発行

11ぴきののらねこたちは、いつもおなかぺこぺこ。ある日じいさんねこに、湖に大きな魚がいると教えられ出かけていきます。大格闘の末、やっと怪魚を生け捕りにしますが……。あっと驚くどんでん返しが大人気。

 


『100万回生きたねこ』

文・絵/佐野 洋子
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
講談社
1977年10月19日発行

100万年も しなない ねこが いました。100万回も しんで、100万回も いきたのです。りっぱな とらねこでした。100万人の人が、そのねこが しんだとき なきました。ねこは、1回も なきませんでした。読むたびにちがう気持ちになる、りっぱなとらねこの、ふしぎな物語。

 


『てつぞうはね』

作/ミロコ マチコ
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
ブロンズ新社
2013年9月発行

てつぞうはね、わたしのねこ。しろくてふかふかのねこ。すわるとおにぎりみたい。てつぞうの大こうぶつは、ハムとパイナップル。スースーするにおいも大好きなんだ。春はさくらの花びらをおいかけて、夏はひんやりする、せんめんだいで寝るよ。だけど、8回目の冬、てつぞうはちいさく、ちいさくなって……

 


『ネコヅメのよる』

作/町田 尚子
定価/1540円(税込)
対象/幼児から
WAVE出版
2016年5月発行

猫たちの秘密、教えます。ある日、猫は気付きます。「あれ? もしかしてそろそろ……」その夜。「まちがいない、今夜だ」猫は家をそうっと抜け出し出かけていきます。

 


『タンゲくん』

作/片山 健
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1992年10月20日発行

ある日、片方の目がつぶれた1匹の猫が、家の中にのっそり入ってきました。わたしの膝の上に座ってなついています。翌日も、布団の上で気持ちよさそうにのどをゴロゴロいわせています。タンゲくんはうちの猫になりました。勉強をするときも、掃除をするときも、一緒にいます。でも、外へ出かけて行ってしまうから、どこでなにをしているかわかりません。タンゲくんのことを大好きな女の子の健気な女心が描かれています。

 


『こねこのぴっち』

文・絵/ハンス・フィッシャー
訳/石井 桃子
定価/1650円(税込)
対象/4、5歳から
岩波書店
1954年12月10日発行

リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます。

 


『ねこはるすばん』

作/町田 尚子
定価/1650円(税込)
対象/5、6歳から
ほるぷ出版
2020年9月10日発行

にんげん、でかけていった。ねこは、るすばん。とおもいきや……? 猫だってカフェに行くし、身だしなみを整える。──あなたのしらない猫の世界。「ねこがおとなしく、るすばんしてるとおもうなよ」。

 


『ぼくはいしころ』

作/坂本 千明
定価/1650円(税込)
対象/小学低学年から
岩崎書店
2020年9月30日発行

ぼくは街でひとり暮らす猫。だれもぼくのことを気にとめない。道端の石ころと同じ。でもある日「こんばんは」と声をかけてくる人間がいた。紙版画で描く、ある黒猫の物語。

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『いきものづくし ものづくし 1』

絵/松岡 達英、田中 豊美、大田黒 摩利、廣野 研一、角 愼作、河井 いづみ、鈴木 周作
定価/2420円(税込)
対象/幼児から
福音館書店
2021年3月5日発行

自然が生み出してきた“いきもの”と、ひとが作り出してきた“もの”の多様性を大画面で見せる全12巻のシリーズ。1巻は、「くだもの」(松岡達英)、「つの」(田中豊美)、「くちばし」(大田黒摩利)、「およぎのとくいなさかな」(廣野研一)、「ぶんぼうぐ」(角愼作)、「くつ」(河井いづみ)、「むかしのてつどう」(鈴木周作)の7テーマです。巻末の封筒に入っている別冊「よんでたのしむ いきものづくし ものづくし」では、各テーマごとに興味を広げる話題を紹介。

 


『おすしのずかん』

作/大森 裕子
定価/968円(税込)
対象/幼児から
白泉社
2016年12月発行

このお寿司って、どんなお魚? お寿司いっぱい、お魚もいっぱい! まぐろ、さーもん、たい、ひらめ。たこ、いか、たまご に てりやきちきんろーる。みんなが大好きなお寿司と、お寿司になるお魚の図鑑ができました。楽しみながら、お寿司や魚の形や名前が覚えられます。

 


『あれあれ? そっくり!』

作/今森 光彦
定価/1430円(税込)
対象/幼児から
ブロンズ新社
2014年7月発行

はじめて昆虫の魅力にであう絵本。あれあれ? はっぱかな? かれはかな? こえだかな? 木かな? そっとちかづくと……みえてくる! あれあれ? ふくろうや、おさるがこっちをみているよ! かくれんぼやおしゃれをたのしむ昆虫たちは、自然の中に身をひそめている。目をこらして、そっとちかづくと、みえてくる!

 


『はっけんずかん うみ』

絵/西片 拓史
監修/武田 正倫、河戸 勝、今泉 忠明
定価/2178円(税込)
対象/幼児から
学研
2017年6月30日発行

しかけをめくると、魚が砂から出てきたり、クラゲと魚が共生していたり、イルカが食べ物を見つけたり。魚やクジラ、タコ、アザラシなど、海の生き物の生態がよくわかる。美しい写真も満載。海の生き物の不思議がぎっしり詰まった、楽しいしかけ絵本の図鑑。

 


『はたらくじどうしゃ 1』

作・絵/山本 忠敬
定価/660円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
1972年10月1日発行

ブルドーザ、パワーショベル、ロードローラ……。簡単に構造まで図鑑的に描いた絵本。

 


『だいこんだんめん れんこんざんねん』

作/加古 里子
定価/990円(税込)
対象/4歳から
福音館書店
2010年10月15日発行

「中がどうなっているか知りたい!」と思う気持ちは、おとなにも子どもにもあることでしょう。果物から、建築物、海の底まで、切ることによって現れる新鮮な視点の広がりを、作者一流のユーモアとともに楽しみましょう。

 


『動物の見ている世界』

作/ギヨーム・デュプラ
訳/渡辺 滋人
定価/2640円(税込)
対象/小学低学年から
創元社
2014年11月6日発行

猫はとてもひどい近眼。牛と馬は真正面がよく見えない。鳥は人間よりもずっとよく見えていて、ヘビは動きを敏感に察知する目を持っている。動物や昆虫の目に世界はどのようにうつっているのかを、ひと目で分かる仕掛で表現した、世界で初めての視覚絵本。親子で楽しめ、科学の面白さを自然に体感できる、画期的な大判絵本です。

 


『MAPS(マップス)新・世界図絵』

作・絵/レクサンドラ・ミジェリンスカ&ダニエル・ミジェリンスキ
定価/3520円(税込)
対象/小学低学年から
徳間書店
2014年9月10日発行

ポーランドで人気の絵本作家夫妻が、世界の42か国をすみからすみまで調べあげ、まる3年かけて、地図とイラストをかきました。食べ物、歴史的な建物、有名な人物、動物、植物…さまざまな分野を計4000以上のイラストで楽しく紹介します。198か国の国旗と正式名称も掲載。

 


『世界恐竜発見地図』

文・絵/ヒサ クニヒコ
定価/2035円(税込)
対象/小学低学年から
岩崎書店
2017年5月27日発行

探険! 発見! 地図のたび。なんと地球は恐竜だらけだった!? 世界のどこで、日本のどこで、どんな恐竜が見つかっているか? この絵本図鑑を開けば、それがわかります! すべて描き下ろしで、登場する恐竜はなんと600頭! 恐竜、翼竜、魚竜を掲載し、類書にはない圧倒的な情報量。

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『Michi』

作/junaida
定価/2530円(税込)
対象/小学低学年から
福音館書店
2018年11月15日発行

 


夢の中を歩いているような不思議な世界の中、ひたすら道が続いている。
『Michi』はとにかく幻想的だ。

カラフルな街並みを、魚と共に海の中を、巨大な本と本の隙間を、楽器の山を、闇に浮かぶ宇宙船の街を、誰もいない象牙のような城を、Michi、すなわち「道」はそれらの間を縫うように走っている。

表紙をめくると、背中を向け、足を踏ん張って立つ子ども。小さな一歩を踏み出そうと決心した、その行く手には、まっ白な道が、どこまでものび、その先には、ふしぎな町の数々が、待ち受けている。彼、彼女と一緒に道をたどるようにして、ページをめくってみてください。次々に現れる、ため息のでるような色彩と繊細なタッチで描かれた町のすみずみに目をこらせば、秘められたたくさんの、そして自分だけの物語が見つかるかもしれません。

セリフは一切ない。ただページをめくるごとに、ユニークな街並みの間を道が続いているだけだ。だが、それがかえって想像力をかき立てる。
ページを埋め尽くすほどに書き込まれた街や人々からは、静かだけどファンタジーに満ちた雰囲気が漂う。
この街はどんな街なんだろう、この人達は何をしているんだろう、この道はどこに続くのだろう…?いつまでも想像しつづけられるくらいに奥深い。

絵本と呼ぶには相応しくない分厚い本だ。一見ハードカバーの小説のように見える。しかし、どこか切なく不思議な気持ちになる挿絵は一度見たら忘れられない。

長女は、私が興奮気味にページをめくる間、隣でポカーンと眺めていた。3歳児の心に、この絵本はどんなふうに映ったのだろう。もしかしたら、絵本だと思わなかったかも知れない。もう少し大きくなってからの方が面白く感じるだろうか。

『Michi』には主人公のような男の子と猫が出てくる。彼らがそれぞれの街をタイムスリップするかのように歩き回る姿が描かれているのだが、中盤からそれが間違いだと分かった。彼らは間違いなく主要登場人物だが、旅しているのは彼らだけではなかった。まさに前後左右どこから読んでも隙のない絵本だと思った。

読み終わりは、まるで小説や美しい画集を読んだかのような読み応え。一生大切にできそうな重みのある絵本だ。

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