名古屋デザイナー学院にお招きいただいて実現した、エンブックスにとってはじめての講演会。
絵本を含むアート全般を勉強する学生たちに、彼らが本来学びたいであろう制作の実践的なテクニックではない絵本界の実情や、裏方としての編集の話をするんですから、当日は少なくない心配を抱えて臨みました。
結果的には、120名の満員御礼に応えるカタチで90分の持ち時間を延長し、およそ2時間の長丁場になりました。みんな熱心に耳を傾けてくれてうれしかったです。
作成した資料はPDFにして90枚。おおまかなプロットはこんな感じです。
- 絵本にかかわるきっかけ
- 絵本のマーケットの現状と課題
- これからの絵本とエンブックスのこと
- 具体的な絵本づくり
- 次世代を担う作家さんへメッセージ
僕自身も絵描きからスタートしているからこそクリエイターの気持ちはよくわかります。描くことにチカラを注いでいるうちは、対話しているのはたいてい自分自身で、どうやったらもっと上手く描けるか、どうやったら新しい表現ができるか、そんなことばっかりに気が向きがちです。
ところが、クリエイティブというものは、実はすごく「時代性」と相性が良いものなんです。言い換えると「ニーズ」。例えば、今「モナリザ」を描いても「うまい」以上のことにはならないと思います。あれはルネサンスという時代に求められた作品だったから。同じ理由で、ルネサンスにピカソの絵は受け入れられなかったでしょう。
自分の足元にある「時代」は、見えにくいものです。でも、クリエイターは「世の中」を知らなくちゃいけない。そんな話をしました。
この講演を聞いてくれた若い学生が、そのうちすばらしい絵本作家に育ったときに、一緒に仕事ができたら最高です。
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