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国際アンデルセン賞について

国際アンデルセン賞(Hans Christian Andersen Award)は、1953年にIBBY(国際児童図書評議会)によって創設された子どもの本の国際的な賞で、デンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンにちなんで名付けられました。世界中の児童文学の質の向上に、はかり知れない影響を与えることから「小さなノーベル賞」ともいわれます。

他の賞と決定的に違うのは、ある作品を対象にしたものではなく(1960年の第3回までは作品に対して授与されていた)、作家および画家の全業績を通じた児童文学への貢献度が選考基準となっているところです。

作家賞と画家賞(1966年の第6回から設立)の2部門があり、IBBY各国支部より推薦された候補者の中から、国際選考委員会によってそれぞれ1名ずつ受賞者が選ばれます。授賞式は2年ごとに開催されるIBBY世界大会の開会式にあわせて行われ、賞状とアンデルセンの肖像が刻まれたメダルが授与されます。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

目次

  1. 作家編
  2. 画家編

歴代の作家賞

2022年

マリー・オード・ミュレル(Marie-Aude Murail、フランス)


2020年

ジャクリーン・ウッドソン(Jacqueline Woodson、アメリカ)


2018年

角野 栄子(日本)


2016年

曹文軒(中国)


2014年

上橋 菜穂子(日本)


2012年

マリア・テレサ・アンドゥルエット(María Teresa Andruetto、アルゼンチン)


2010年

デイヴィッド・アーモンド(David Almond、イギリス)


2008年

ユルク・シュービガー(Jürg Schubiger、スイス)


2006年

マーガレット・マーヒー(Margaret Mahy、ニュージーランド)


2004年

マーティン・ワッデル(Martin Waddell、アイルランド)


2002年 

エイダン・チェンバーズ(Aidan Chambers、イギリス)


2000年

アナ・マリア・マシャド(Ana Maria Machado、ブラジル)


1998年

キャサリン・パターソン(Katherine Paterson、アメリカ)


1996年

ウーリー・オルレブ(Uri Orlev、イスラエル)


1994年

まど みちお(日本)


1992年

ヴァージニア・ハミルトン(Virginia Hamilton、アメリカ)


1990年

トールモー・ハウゲン(Tormod Haugen、ノルウェー)


1988年

アニー・M・G・シュミット(Annie M. G. Schmidt、オランダ)


1986年

パトリシア・ライトソン(Patricia Wrightson、オーストラリア)


1984年

クリスティーネ・ネストリンガー(Christine Nöstlinger、オーストリア)


1982年

リギア・ボシュンガ・ヌーネス(Lygia Bojunga Nunes、ブラジル)


1980年

ボフミル・ジーハ(Bohumil Říha、チェコスロヴァキア)


1978年

ポーラ・フォックス(Paula Fox、アメリカ)


1976年

セシル・ボトカー(Cecil Bødker、デンマーク)


1974年

マリア・グリーペ(Maria Gripe、スウェーデン)


1972年

スコット・オデール(Scott O’Dell、アメリカ)


1970年

ジャンニ・ロダーリ(Gianni Rodari、イタリア)


1968年

ジェームス・クリュス(James Krüss、西ドイツ)

ホセ・マリア・サンチェスシルバ(José Maria Sánchez-Silva、スペイン)


1966年

トーベ・ヤンソン(Tove Jansson、フィンランド)


1964年

ルネ・ギヨ(René Guillot、フランス)


1962年

マインダート・ディヤング(Meindert DeJong、アメリカ)


1960年

エーリヒ・ケストナー(Erich Kästner、西ドイツ)


1958年

アストリッド・リンドグレーン(Astrid Lindgren、スウェーデン)


1956年

イエラ・レップマン(Jella Lepman、スイス、名誉賞)

エリナー・ファージョン(Eleanor Farjeon、イギリス)

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『ごはん たべよ』

文/大阪YWCA千里子ども図書室
絵/大塚 いちお
定価/880円(税込)
対象/0歳から
福音館書店
2012年11月10日発行

ごはん食べよ。お茶碗に盛った、ほかほかのごはん。お味噌汁に、卵焼き。きゅうりとトマトとソーセージもね。おはしと、スプーンと、フォークを並べて、エプロンかけて、いただきまーす! 幼い子どもが毎日目にする食卓風景。いつも見慣れているものたちを、簡潔でリズミカルなことばと、あたたかくやわらかなタッチの絵で描きます。食事の準備が整っていくようすを、座って眺めているような気分にもなれる絵本です。


『おかゆ』

作/神田 ひかり
絵/川崎 由紀
定価/1320円(税込)
対象/5、6カ月頃から
エンブックス
2021年10月14日発行

この絵本では簡単で美味しいおかゆのつくりかたから、食べるところまでを優しく丁寧に描いています。赤ちゃんは絵本を読んでくれる親の声を聞きながら、自然とお口を「あーん」することでしょう。「おいしいね」を繰り返しているうちに、離乳食の不安や心配が興味へと変わり、楽しみになる。親が笑顔でいることが赤ちゃんの笑顔に繋がります。


『しろくまちゃんのほっとけーき』

作/わかやま けん
定価/880円(税込)
対象/0歳から
こぐま社
1972年発行

しろくまちゃんがホットケーキを作ります。卵を割って、牛乳を入れて……。焼き上がったらこぐまちゃんを呼んで、二人で「おいしいね」。見開きいっぱいに描かれたホットケーキの焼ける場面は、子どもたちに大人気。


『ノンタンもぐもぐもぐ』

作・絵/キヨノ サチコ
定価/660円(税込)
対象/1歳から
偕成社
1987年8月発行

もぐもぐもぐ。ノンタンなにたべてるのかな? うさぎさんは? くまさんは? 身近な食べものへの興味や認識をひろげます。


『ぱっかーん!』

作/砂糖 ゆき
定価/1320円(税込)
対象/1歳頃(離乳食後期)から
エンブックス
2022年9月11日発行

「ぱっかーん!」とユーモラスな音(オノマトペ)を繰り返すたびに、色々な食材がダイナミックに形を変えていく。赤ちゃんは、耳で楽しみ、目で驚き、次第に鮮やかに描かれた食材たちに興味を持つことでしょう。さあ、今日の献立は何かな。離乳食に慣れてきた1歳ごろからおすすめしたい食べもの絵本です。


『おくちをあーん』

作/きむら ゆういち
絵/長谷川 義史
定価/990円(税込)
対象/1、2歳から
ひさかたチャイルド
2010年5月発行

いろいろな動物のママが、子どもの口に食べ物をあーん! 子どもたちは大きな口でもぐもぐ、おいしいね! 親子でまねっこして楽しい、しかけ絵本。


『おいしい おと』

文/三宮 麻由子
絵/ふくしま あきえ
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
2008年12月31日発行

今日のごはんは何かな? 春巻き、ウィンナ、わかめのみそ汁、レタスにプチトマト。春巻きを食べると、どんな音がするかな? ウィンナやレタスはどうかな? ある日の食卓の、おいしい音が勢ぞろい。これを読んだら、食事がよりいっそう楽しくなること請合い! くいしんぼさんの手が、あっちからも、こっちからも伸びてきますよ。


『ぐりとぐら』

作/なかがわ りえこ
絵/おおむら ゆりこ
定価/990円(税込)
対象/3歳から
福音館書店
1967年1月20日発行

お料理することと食べることが何より好きな野ねずみのぐりとぐらは、森で大きな卵を見つけました。目玉焼きにしようか卵焼きにしようか考えたすえ、カステラを作ることにしました。でも、卵があまり大きくて運べません。そこでフライパンをもってきて、その場で料理することにしました。カステラを焼くにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきます……。みんなの人気者ぐりとぐらは、この絵本で登場しました。


『はらぺこあおむし』

作/エリック・カール
訳/もり ひさし
定価/1320円(税込)
対象/4歳から
偕成社
1976年5月発行

小さなあおむしは、もりもりと食べつづけて美しい蝶になった。数や曜日の認識をおりこみ、穴あきのしかけをこらした斬新な絵本。

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◎仕様

なでてなでて『なでてなでて』
え/日隈 みさき
ぶん/西川 季岐
定価/1320円(本体1200円+税)
対象/赤ちゃんから
2017年10月20日発行
2022年9月11日重版3刷

24Pハードカバー製本
サイズ/186×186mm
ISBN 978-4-8021-3073-8

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◎概要

「親子でスキンシップしたくなる」をコンセプトに、2012年度「ピンポイント絵本コンペ」最優秀賞受賞作家が描く0.1.2歳向け赤ちゃん絵本です。
読者である赤ちゃんと、正面に向かい合う動物から「なでて」と声がけがあり、ページをめくるとなでたときの「感触」と一緒に、動物のうれしそうな様子が見開きで描かれます。1.2のリズムで展開し、いろいろ出てくる動物たちがユーモラスで楽しい。
最後は、赤ちゃん自身が登場して「なでて」と声がけするところでおしまいです。それこそがポイントで、絵本を閉じた後、自然と「親子でスキンシップしたくなる」と思います。

 


◎作家プロフィール

日隈 みさき
1986年、三重県四日市市生まれ。2012年度「ピンポイント絵本コンペ」で最優秀賞を受賞した後、『ともだちや』などでお馴染みの童話作家・内田麟太郎さん作『ゴリラでたまご』でデビュー。エンブックスでは『まーくんとむしのこえ』に続く2作目となる。
▶ https://www.hinokumamisaki.com/

 


◎試し読み

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▶ 制作エピソードを読む

 


◎読者のお便り

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◎仕様

どてっ『どてっ』
作/田口 麻由
絵/布川 愛子
企画/テレビ東京「シナぷしゅ」
定価/1320円(本体1200円+税)
対象/赤ちゃんから
2020年10月19日発行
2022年11月28日重版3刷

24Pハードカバー製本
サイズ/186×186mm
ISBN 978-4-8021-3205-3

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◎概要

たけのこが「どてっ」、食パンが「ぽてっ」……目の前にあるモノが淡々と倒れる様子と音に「赤ちゃんがハマった」という声多数!
テレビ東京で放送している民放初の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」の大人気コーナー「どてっ」が、映像の魅力そのまま絵本になりました。
絵本では、子どもの反応にあわせながらページをめくるペースを調整したり、お気に入りの見開きを繰り返したりと、ならではの楽しみかたも。子どもにとって身近な大人の声で「どてっ」っと読んであげれば、さらに親しみやすく、作品の印象もひと味違ってくると思います。この研ぎ澄まされた愉快な世界を、ぜひ親子でたっぷり体感してください。

 


◎作家プロフィール

田口 麻由
2006年 東京藝術大学 美術学部 デザイン科 卒業。CMプランナーでありアートディレクター。テレビ東京の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」では「どてっ」の他、「たらーり」「あつまれ」などの人気コーナーを手がける。小さな子ども向けの動画を企画制作する「せのびてれび」のメンバーとしても活動。2歳の男の子を子育て中。

布川 愛子
2005年 東京藝術大学 美術学部 デザイン科 卒業。イラストレーターとして国内外の広告、書籍装画、雑誌など幅広く関わる。絵本作家としては『ひみつがあります』(白泉社)、『ちいさなはなよめぎょうれつ』(偕成社)、『はるのワンピースをつくりに』『あきのセーターをつくりに』(文/石井睦美・ブロンズ新社)などを刊行。4歳の女の子を子育て中。
▶ http://www.nice-nice-nice.com/

 


◎試し読み

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◎読者のお便り

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◎仕様

ぱっかーん!『ぱっかーん!』
さく/砂糖 ゆき
定価/1320円(本体1200円+税)
対象/1歳頃(離乳食後期)から
2022年9月11日発行

24Pハードカバー製本
サイズ/186×186mm
ISBN 978-4-8021-3343-2

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◎概要

トントントン……台所でお料理を作りはじめたようです。「たまごを こんこん」。「ぱっかーん!」と割れると、中からお月様みたいな黄身がとろんと出てきます。次は「たまねぎを (包丁で) ざくっ」と真っ二つに。「ぱっかーん!」と割れると、あら、たまねぎの断面ってこんなおもしろい形をしているんだ。
「ぱっかーん!」とユーモラスな音(オノマトペ)を繰り返すたびに、色々な食材がダイナミックに形を変えていく。赤ちゃんは、耳で楽しみ、目で驚き、次第に鮮やかに描かれた食材たちに興味を持つことでしょう。
さあ、今日の献立は何かな。離乳食に慣れてきた1歳ごろからおすすめしたい食べもの絵本です。

 


◎作家プロフィール

砂糖 ゆき
宮城県出身、神奈川県在住。東北芸術工科大学 グラフィックデザイン学科卒業。パッケージデザイン会社でデザイナーとして従事した後、イラストレーター、グラフィックデザイナーとして独立。
あたたかなタッチでおいしそうな食べものを描くことを得意としている。主な仕事として、月刊誌「婦人之友」(婦人之友社)の表紙画(2020、2021年度)、毎日新聞購読者向け冊子「私のまいにち」(毎日新聞出版)の表紙画(2020年度〜)を手がける。

 


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◎読者のお便り

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◎仕様

つんつんぱん!『つんつんぱん!』
さく/はるの まい
定価/1320円(本体1200円+税)
対象/6カ月頃から
2022年2月17日発行

24Pハードカバー製本
サイズ/186×186mm
ISBN 978-4-8021-3308-1

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◎概要

赤ちゃんのムチムチした手足やプクプクしたほっぺをみて、思わず「つんつん」したくなる気持ちに共感する大人はたくさんいると思います。今作は赤ちゃんをふかふか焼きたてのパンに見立てた親子のコミュニケーション絵本。
作者は『ふうしてあそぼ』が売上部数2万部を超える人気の、はるの まいさん。前作と同様、お子さんが赤ちゃんの頃に実際よくやっていた遊びがアイデアの元になっています。つんつんしたり、ぎゅうってしたり、6か月頃から楽しめる「親子でスキンシップしたくなる」赤ちゃん絵本です。

 


◎作家プロフィール

はるの まい
愛知県出身。京都市立芸術大学 卒業後、名古屋市公立中学の美術教員、特別支援教員を経て2012年からフリー。
14〜15年ロンドン芸術大学付属語学学校 留学中に、ロンドン市立芸術大学やセントラル・セント・マーティンズで絵本について学ぶ。18年より日本デザイナー芸術学院でアートを指導。絵本に『リズムにのってりすだんす』(エド・インター)、『おたんじょうびのひに』『ABC animals with kids』(三恵社)など。
▶ http://maiharuno.main.jp/

 


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◎読者のお便り

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目次

  1. 作家編
  2. 画家編

◉歴代の画家賞

    1. 2022年
      イ・スジ(Suzy Lee、韓国)


    1. 2020年
      アルベルティーヌ・ズッロ(Albertine Zullo、スイス)


    1. 2018年
      イーゴリ・オレイニコフ(Igor Oleynikov、ロシア)


    1. 2016年
      ロートラオト・ズザンネ・ベルナー(Rotraut Susanne Berner、ドイツ)


    1. 2014年
      ホジェル・メロ(Roger Mello、ブラジル)


    1. 2012年
      ピーター・シス(Peter Sís、チェコ共和国)


    1. 2010年
      ユッタ・バウアー(Jutta Bauer、ドイツ)


    1. 2008年
      ロベルト・イノチェンティ(Roberto Innocenti、イタリア)


    1. 2006年
      ヴォルフ・エァルブルッフ(Wolf Erlbruch、ドイツ)


    1. 2004年
      マックス・ベルジュイス(Max Velthuijs、オランダ)


    1. 2002年
      クェンティン・ブレイク(Quentin Blake、イギリス)


    1. 2000年
      アンソニー・ブラウン(Anthony Browne、イギリス)


    1. 1998年
      トミー・ウンゲラー(Tomi Ungerer、フランス)


    1. 1996年
      クラウス・エンジカット(Klaus Ensikat、ドイツ)


    1. 1994年
      イエルク・ミュラー(Jörg Müller、スイス)


    1. 1992年
      クヴィエタ・パツォウスカー(Kveta Pacovská、チェコスロヴァキア)


    1. 1990年
      リスベート・ツヴェルガー(Lisbrth Zwerger、オーストリア)


    1. 1988年
      ドゥシャン・カーライ(Dusan Kállay、チェコスロヴァキア)


    1. 1986年
      ロバート・イングペン(Robert Ingpen、オーストラリア)


    1. 1984年
      安野 光雅(日本)


    1. 1982年
      ズビグニエフ・ルィフリツキ(Zbigniew Rychlicki、ポーランド)

    1. 1980年
      赤羽 末吉(日本)


    1. 1978年
      スベン・オットー(Svend Otto S.、デンマーク)


    1. 1976年
      タチヤーナ・マーヴリナ(Tatjana Mawrina、ソ連)


    1. 1974年
      ファルシード・メスガーリ(Farshid Mesghali、イラン)


    1. 1972年
      イブ・スパング・オルセン(Ib Spang Olsen、デンマーク)


    1. 1970年
      モーリス・センダック(Maurice Sendak、アメリカ)


    1. 1968年
      イジー・トルンカ(Jirí trnka、チェコスロヴァキア)


    1. 1966年
      アロイス・カリジェ(Alois Carigiet、スイス)

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目次

  1. 『おかゆ』に込めた想い 前編
  2. 『おかゆ』に込めた想い 後編

 


息⼦と私のつらい離乳⾷

私は、元料理⼈で⿂屋に嫁いだ2児の⺟です。
料理を作り提供する飲⾷業、⾷材を業者に卸す鮮⿂卸業。ステージの違いはありましたが、共通する「食」という⼤きな枠にずっと携わりながら仕事をしてきました。環境に恵まれ、仕事に留まらず、私⽣活における「⾷」も楽しめる⽣活を送っていました。
それが「つらい」と、初めて思った瞬間があります。
⻑男の離乳⾷です。

初めての育児で試⾏錯誤、⼤奮闘していましたが、「離乳⾷は⼤丈夫。⾃分は得意だろう」と思っていました。ずっと「⾷」に携わってきたし、今までのように⾃分が頑張ればうまくいく! と。
その時はまさか「⾚ちゃんが離乳⾷を⾷べない事がある」なんて思ってもいませんでした。

 

順調に進んでいた離乳⾷。突如、息⼦が⾷べなくなりました。
⾷べてはベー。⾷べてはベー。いよいよ口も開けなくなり、スプーンを⾒れば踏ん反り返る。必死になだめ、椅⼦を降りたがる息⼦を何とか座らせようとする私。
⾷べない離乳⾷を作り続け、口に⼊る事なく⽚付ける毎⽇にうんざりし、とうとう0歳の息⼦に向かって「なんで?」と口に出してしまいました。⾷材にこだわり、⼿をかけて作っているのに「なんで?」。

家族は離乳食を⾷べない息⼦より、落ち込み、神経質になってきている私を⼼配しました。
「気にしすぎ」「あまり神経質にならない⽅がいい」「そのうち⾷べるよ」。
良かれと思ってかけてくれた⾔葉も「何もわからないくせに」と響くことなく、孤独を感じるようになり、そこで初めてキッチンに⽴つのが「つらい」と感じました。
作っても喜ばれない。泣かれる。作ったものを全て、流して⽚付ける。こんな事、それまでの料理⼈⽣で⼀度もありませんでした。

何より、⼤切な⼤切な我が⼦は、このままずっと⾷べないままなのか。
参考にしていた離乳⾷本の進⾏通りにいかない事で、この⼦の成⻑に影響がないか、⾷べることに興味のない⼦に育ってしまうのではないか、⾊々な不安が巡って、息⼦と⼀緒に泣けてきてしまう時もありました。

 

「もう、やめ。ぜーんぶ、最初からやり直そう。」

離乳⾷開始から2カ月経過して、徐々にステップアップはしていましたが、オールリセット。
私の気持ちも全部リセットしたい。本当はそれが⼀番の理由だったかも知れません。

新しい⾷材にチャレンジとか、ステップアップとか、もう何も望まないことにしました。0歳の息⼦にとって「元料理⼈」「料理経験者」は全く関係ないのです。仕事の様に、⾃分が頑張れば頑張るほど結果がついてくる訳じゃない。むしろ、頑張れば頑張るほど、逆効果だったのかも……。ふり出しに戻ってみて、そう思える様になりました。

とにかく、パクッと⼀⼝。そんな息⼦が⾒たいだけ。
その時作ったのが、⾚ちゃんが⺟乳以外で初めて⼝にする「10倍かゆ」です。離乳⾷への期待を望まずに作ったおかゆ。
息⼦はびっくりするほどあっさり「パクッ、パクッ」っと⾷べてくれました。

「何がいけなかったの? 何がよかったの? って正直わからないけど、確実に⼀歩進んでくれた。親としての試練と喜びをありがとう」。
と、当時の⽇記にそう記してありました。
この時の経験は、私にとって無駄ではありません。そのおかげで、今の⾃分がいるのだから。

 


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目次

  1. 『おかゆ』に込めた想い 前編
  2. 『おかゆ』に込めた想い 後編

 


おかゆを好きになれたら、離乳⾷の半分はクリアです

離乳⾷の専⾨知識を学び、2児の離乳⾷を経験した今の私は、⻑男の離乳⾷でつらい思いをした当時の⾃分の様に悩みを抱えたママに、かけてあげたい⾔葉やアドバイスを伝える事ができる様になりました。

その中でも⼀番お伝えしたいのが「おかゆ」です。
離乳⾷においておかゆは、⾚ちゃんが⺟乳以外で初めて⼝にするもので、⾚ちゃんの成⻑にとても⼤切なもの。そして、約⼀年間の離乳⾷期間で⾚ちゃんが⼀番⾷べることになる、ママが⼀番作ることになるものでもあります。
だから、「⾚ちゃんもママもおかゆを好きになれたら、離乳⾷の半分はクリアだ!」と私は考えています。
⾷べられない⾷材が出てきたり、なかなか進まないことがあっても、それくらいの楽な気持ちでいて欲しいと思います。

また、⾚ちゃんはおかゆができあがるまでの⼯程を実際に⾒る事は少ないと思います。だいたい⾚ちゃんが寝ている時に、おかゆを作りますもんね。
この絵本では、おかゆができあがるまでの、お⽶は「さらさら」なんだ、お⽔で「じゃあじゃあ」するんだ、お鍋で「ぐつぐつ」するんだ、など、⾚ちゃんが実際に⾒る事がないシーンを描いています。
離乳⾷で⼤切だと考えられている「五感を刺激してあげる」という点を意識して、擬⾳語を⽤いているのも特徴です。ぜひ、⼤⼈もみなさんも一緒に感じ取りながら、⾚ちゃんに読んであげてほしいと思います。

絵本だからこそ、ゆっくりじっくり「おかゆができあがるまでのワクワク感」を親⼦で味わえるんじゃないか。絵本であれば、離乳⾷期前の⾚ちゃんにも、おかゆを知るチャンスを与える事だってできます。⾷べる事への興味を掻き⽴てる事ができそうです。

 


ママの笑顔は魔法のスパイス

⾚ちゃんは「美味しければなんでも⾷べる」とは限りません。ママの笑顔こそが魔法のスパイスなのです!
あの頃の私の様に、不安な顔で眉間にしわを寄せていては、⾚ちゃんも同じ気持ちになってしまいますよ。どうか、離乳⾷はママも楽しんで欲しい。⾚ちゃんとママ、両⽅の笑顔で溢れた時間であって欲しいと願っています。

だから、ママが⾚ちゃんに「あーん」としているシーンは特にこだわりました。「ママの満⾯の笑顔を表現したい!」という想いを作画の川崎由紀さんが叶えてくれました。

表紙を初めて⾒た時はとても感動しました。
『おかゆ』というタイトルだから、もちろん「おかゆの絵が表紙になるのだろう」とは思っていましたが、そこにはママの⼿が添えられていたのです!

⾚ちゃんに「あーん」をする瞬間の⼀コマです。私が⼀番⼤切にしているシーンです。
川崎さんはこの作品に取り組む前に、実際に離乳⾷をあげている友⼈親⼦を取材され、ご⾃⾝でも何度もおかゆを作り、熱い想いを持ってこの絵を描いてくれました。川崎さんの気持ちと、私の気持ちが繋がった! と思った瞬間で本当に嬉しかったです。

 


離乳⾷はじめの気持ちを忘れずに

離乳⾷では、たくさんの⾷材を経験することとか、⾷べるための練習とか、ミッションが多いイメージがあると思います(もちろんとても⼤切なことです)。
ただ、離乳⾷をはじめた頃はミッションの前に、⾚ちゃんの⼀⼝パクッに感動し、楽しめていたはず。それが、だんだんステップアップしていくにつれて、他の何かと⽐べたり、教科書通りにいかないことを不安がったり、焦ったり……誰でもそうなってしまうから不思議です。⼤丈夫。あなただけじゃない。みんな⼀緒です。

私にとっておかゆは、「はじめのおだやかな気持ち」を思い出させてくれたもの。
絵本『おかゆ』が、これから離乳食をはじめる親子の不安を楽しみに変えてくれると信じているのはもちろん、私と同じ様に立ち行かなくなってしまったママの「はじめのおだやかな気持ち」を思い出すきっかけを与えるような作品になったら嬉しいなと思います。

 


あとがき

絵本専⾨⼠の野⽥英里さんから「⾚ちゃんに関わる味覚や、出汁等の絵本制作を考えている編集⻑さんがいらっしゃる」とご紹介いただいたのが、出版社であるエンブックスの代表 ⻄川さんとの出会いのきっかけです。

⻄川さんは、0歳児を対象とした「⾷の絵本」を制作しようとされていました。「0歳児、特に⼩さい⾚ちゃん向けの絵本」は世の中にたくさん存在しますが、その中でも、「味覚や出汁」「離乳⾷」に着⽬した絵本はあるのかな? と考えてみましたが、私は思いあたらずにいました。
絵本編集のプロ⻄川さん、絵本読み聞かせのプロ野⽥さん、そして私。光栄なことに私は、そのお⼆⼈とお話する機会をいただきました。
⾚ちゃんの⾷というと「離乳⾷」です。離乳⾷の領域には様々なキーワードがあり、味覚や出汁も確かになくてはならないテーマ。ですが、離乳⾷のはじめの⼀⼝が「おかゆ」である事、そして、そのおかゆに対する私の強い想いを真摯に受け⽌めてくれました。

「この絵本を通じて何を実現したいのか」という相談の中で、「私の様に離乳⾷で悩むことが多いママが⾚ちゃんと⼀緒に楽しめる」「⾚ちゃんに⾷べる事への楽しみを与えられる」というコンセプトが決まっていきました。この絵本はその対談がなければ⽣まれていなかったものです。

私を対談に参加させてくれた野⽥さん、そして、この絵本づくりに携わるチャンスをくださった⻄川さんに⼼から感謝申し上げます。

 


おかゆのつくりかた動画

 


note連動企画

離乳食にまつわるあれこれを「#離乳食わたしの工夫」もしくは「#離乳食わたしの気持ち」をつけて投稿してください。
募集期間:2021年10月14日から11月20日まで
https://note.com/mediapal/n/n210b304e59e1

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