大人になってからこそ読むべき 四季の移ろいの描写が美しい絵本『ちいさいおうち』


長女はインドア派なので、公園はあまり好きではない。

でも先日「パパと一緒なら楽しい。ママは一緒に遊んでくれないからつまらない」と言われてしまった。私と公園に行く時は、もれなく生後6ヵ月の次女も一緒だ。次女を抱っこしたままずっとベンチにいたのがダメだったようだ。なかなか手厳しい。

ただ、長女が落ち葉や木の枝などで遊んでいるのを見るのはとても楽しい。子どもにかかればその辺に落ちているものだって、たちまちおもちゃになる。
それに、子どもが生まれてから「四季」を意識するようになった。旬の食べ物、節句、季節感のあるイベントを大切にした生活は、精神的な落ち着きをもたらしてくれると知った。

先日『ちいさいおうち』を久しぶりに読んだ。

お日様が沈み、また昇る。夜は月が満ち欠けし、星がダンスする。
花が咲き、子どもが川で遊び、畑が実り、雪が降る……。そんな四季の移ろいが、“ちいさいおうち”は大好きだった。
しかし、次第に道路ができ、電灯が灯り、電車が走り……。“ちいさいおうち”の周りに街ができていく。日も月も星も何も見えなくなった。“ちいさいおうち”はだんだん暗くなり、元の場所に帰りたいと願う。
時の流れとともに変わっていく街並みと、変わらない“ちいさいおうち”との比較が、美しい自然の描写とともに表現されている。

しずかないなかに、ちいさいおうちがたっていました。やがてどうろができ、高いビルがたち、まわりがにぎやかな町になるにつれて、ちいさいおうちは、ひなぎくの花がさく丘をなつかしく思うのでした――。時の流れとともに移りゆく風景を、詩情ゆたかな文章と美しい絵でみごとに描きだしたバートンの傑作絵本。

生きていく上で本当に大切にすべきもの、忘れてはいけないもの。
子どもの頃読んだときよりも、ずっと深く心に響いたように思った。

子どもがいるおかげで、自然と触れ合う機会は格段に増えた。しかし、意識しなければすぐ見えなくなってしまう。
最近公園では桜が満開だ。長女が私の手に桜の花びらをたくさん置いていく。
この絵本を改めて読んだことで、身の回りにある自然こそ、どんなに小さいものでも大切にしなければならないと気づかされたように思う。

『ちいさいおうち』

作/バージニア・リー・バートン
訳/石井 桃子
岩波書店
定価/本体1700円+税
ページ数/44ページ
1965年12月16日発行