まるで小説のような読み応え! 想像力が掻き立てられる絵本『Michi』


夢の中を歩いているような不思議な世界の中、ひたすら道が続いている。
『Michi』はとにかく幻想的だ。

カラフルな街並みを、魚と共に海の中を、巨大な本と本の隙間を、楽器の山を、闇に浮かぶ宇宙船の街を、誰もいない象牙のような城を、Michi、すなわち「道」はそれらの間を縫うように走っている。

表紙をめくると、背中を向け、足を踏ん張って立つ子ども。小さな一歩を踏み出そうと決心した、その行く手には、まっ白な道が、どこまでものび、その先には、ふしぎな町の数々が、待ち受けている。彼、彼女と一緒に道をたどるようにして、ページをめくってみてください。次々に現れる、ため息のでるような色彩と繊細なタッチで描かれた町のすみずみに目をこらせば、秘められたたくさんの、そして自分だけの物語が見つかるかもしれません。

セリフは一切ない。ただページをめくるごとに、ユニークな街並みの間を道が続いているだけだ。だが、それがかえって想像力をかき立てる。
ページを埋め尽くすほどに書き込まれた街や人々からは、静かだけどファンタジーに満ちた雰囲気が漂う。
この街はどんな街なんだろう、この人達は何をしているんだろう、この道はどこに続くのだろう…?いつまでも想像しつづけられるくらいに奥深い。

絵本と呼ぶには相応しくない分厚い本だ。一見ハードカバーの小説のように見える。しかし、どこか切なく不思議な気持ちになる挿絵は一度見たら忘れられない。

長女は、私が興奮気味にページをめくる間、隣でポカーンと眺めていた。3歳児の心に、この絵本はどんなふうに映ったのだろう。もしかしたら、絵本だと思わなかったかも知れない。もう少し大きくなってからの方が面白く感じるだろうか。

『Michi』には主人公のような男の子と猫が出てくる。彼らがそれぞれの街をタイムスリップするかのように歩き回る姿が描かれているのだが、中盤からそれが間違いだと分かった。彼らは間違いなく主要登場人物だが、旅しているのは彼らだけではなかった。まさに前後左右どこから読んでも隙のない絵本だと思った。

読み終わりは、まるで小説や美しい画集を読んだかのような読み応え。一生大切にできそうな重みのある絵本だ。

『Michi』

作/junaida
福音館書店
定価/本体2300円+税
ページ数/46ページ
2018年11月15日発行