なぜこの絵本がモノトーンなのかがよく分かる 次女と待つ春『はなを くんくん』


今回の主役は生後5ヵ月になった次女だ。

いつも泣きっぱなしだった長女と反対に、次女はあまり泣かない。誰にでもニコニコ笑いかけるし、上手くいけばお昼寝だって1人でできるので、母は本当に助かっている。
この落ち着きと、同月齢の赤ちゃんよりちょっと太めの体型のせいで、家族から「大将」なんてあだ名を付けられている次女。だから、赤ちゃんから卒業しつつある長女とは違う愛らしさを振りまいてくれる。

最近目がよく見えるようになってきたのか、絵本を読んであげると、フンフンと鼻息荒く興奮し、手を一生懸命伸ばしてくる。その様子がたまらなく可愛い。

『はなを くんくん』という絵本がある。
表紙カバーは明るい黄色だが、挿絵はほぼモノトーン。春を待つ動物たちが雪の中で眠っている。皆次々に目を覚まして、鼻をくんくん。最後に動物たちが見つけたのは、まさに小さな春の足音だ。なぜこの絵本がモノトーンなのかがよく分かるラストだった。

冬の森の中、雪の下で動物たちは冬眠をしています。野ねずみも、くまも、小さなかたつむりも……。でも、とつぜんみんなは目をさましました。はなをくんくんさせています。みんなはなをくんくんさせながら、雪の中をかけていきます。みんなとまって、笑って、踊りだしました。「ゆきのなかにおはながひとつさいてるぞ!」やわらかいタッチの美しい絵と、詩のような文で、自然の摂理と喜びをやさしく子どもに語りかけます。

この絵本を読みながら、「はなをくんくん」のところで次女のフンフン鳴る鼻をくすぐる。
キャッ! と声を上げて喜ぶ次女。
1月なのに春が来たように暖かく、良く晴れた午後だった。
次女との2人だけの時間がゆったりと過ぎる。

兄弟が生まれるまで両親を独り占めできる1人目の子どもとは違い、2人目以降の子どもには最初からそんな時間はない。
我が家もばっちりワンオペ育児の家庭だ。すぐに要求に応えてあげられないことも多い。イヤイヤ真っ盛りの長女に合わせたペースで生活していると、どうしても次女に構ってあげられなくなる。
だから、次女と絵本を読む時間は、私にとっても大切な時間なのだ。

ああ、もうすぐ長女のお迎えの時間だ。
まだ洗濯物も畳んでいないし、夕食の支度もしなければ……。
そんなささやかな段取りもむなしく、目の前の次女の笑顔に誘われるまま、私は今日も絵本を読み続けてしまうのだった。

『はなを くんくん』

文/ルース・クラウス
絵/マーク・シーモント
訳/木島 始
福音館書店
定価/本体1100円+税
ページ数/32ページ
1967年3月20日発行