お話の人なんです、本当は。
私はお話をつくりたくて、それに絵がくっついてきたんですけど、そしたら絵がおもしろくなった。
情報源:「ミロコマチコ」は、いつ出てくる?|ほぼ日刊イトイ新聞
絵本作家に向いているのはお話をつくる人
意外、と感じた次の瞬間に、なるほどな、とすごく納得しました。
絵本を描くために大切なのはお話だと思います。
もちろん絵がなければそもそも絵本ではないし、表現としての絵はものすごく重要です。子どもは絵を読むわけだし、完成した絵本でみると、絵と文のパワーバランスは絵のほうが大きいこともあるでしょう。
でも、「はじめに言葉ありき」というように、世界の根源には言葉があります。真っ白な紙に、何かを描こうと思っても、その前には必ず言葉があるはずです。
例えばゾウを描くとして、右を向いたり、鼻がくるんと丸くなっているのには、描き手の中に言葉があるからで、それと同じように、絵本のどんな場面を描こうにも、そこにお話がなければ何もはじまりません。
だから、どんな人が絵本作家に向いているのかというと、お話を語れる人だと思います。お話は後から付いてこないけれど、ミロコさんのように、絵にはその可能性があります。
描き手が楽しくなければ、楽しい作品にはならない
――自分が動物たちをただ見ているだけじゃわからなくて、描いたらはじめて「わー、足がヘンなほうに曲がってる」とかわかっていくのがすごく楽しくて。図鑑を見ては、やたら模写をしてたんですよ。
そう、はじめは子どもだったんです。なんか、勉強してたー! みたいな感覚です。楽しかった、それが。体に入っていく感じがして。
絵本は子どものよろこびのためにある、というのは、エンブックスの軸にある考えですが、子どものよろこびを実現するには、自分がまず幸せでないといけないと思っています。
自分の幸せの土台があって、はじめて他所の人へ幸せのおすそわけができる。だから、絵本作家(目指す人も含めて)は、みんな幸せでいて欲しい。ゴッホのような芸術家と同じように、苦労はつきもの、と思わざるを得ない環境は、早急に変えなければいけない課題だと認識しています。
それでも、「描いてるときが一番楽しい」といえるミロコさんは、やっぱり絵本作家になるべくしてなったのでしょう。鶏が先か、卵が先か、になってしまいますが、描き手が楽しいから子どもだって楽しめる絵本が描けることには違いありません。
絵本作家になりたいなら、毎日を楽しく暮らすこと、そのことをお話として語れること。案外、絵を上手に描くことは、その次くらいにあれば充分だと思います。本当におもしろいインタビュー記事なので、全文一気読みをおすすめします!