わたしが正義について語るなら


正義の味方というけれど、本当の正義とはいったい何だろう?
我々が本当にスーパーマンに助けてもらいたいのは、たとえば、失恋して死にそうな時、おなかがすいてたおれそうな時、あるいは旅先でお金がなくなった時、その他いろいろあるわけで、そういう細かいところに気がつく優しいスーパーマンがいてほしいのです。

アンパンマンを人気者にしたのは園児たちです。
1975年に出版された絵本『それいけ! アンパンマン』は最初、おなかをすかせた人を助ける設定が子どもには難しいとか、顔を食べさせるなんて残酷とか、大人には全然受け入れられなかったそうです。

でも、子どもはこの絵本のおもしろさに気づいたんですね。
ある幼稚園の棚で、ボロボロになるまで読まれた「アンパンマン」をみて、ようやく大人はそのおもしろさを知ったといいます。

自分の哲学を語れる作家は強いと思います。その信念を信じてこれを絵本にしたフレーベル館の編集者もすごい。この本を読んだ後、改めて「アンパンマン」を読んでみると、もっと心が豊かになると思います。

『わたしが正義について語るなら』
著/やなせたかし

『それいけ! アンパンマン』
文・絵/やなせたかし