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絵本作家として50年 かこさとしの人気絵本15選


かこさとしさんの絵本が子どもたちに長く愛されている理由

かこさとしさんは、1926年福井県生まれの92歳にして現役の絵本作家です。
名前は知らなくても、50年にわたって繰り返し読み継がれてきた『からすのパンやさん』や「だるまちゃん」シリーズの作品を通じて「知っている」人は、たくさんいると思います。

「里子(さとし)」という珍しい名前は、本名の「哲(さとし)」から取った俳号です。
小さかった頃は、この珍しい名前に惑わされたものですが、ある時かこさんの写真と、まるで絵本作家と結びつかない東京大学工学部卒業の工学博士のプロフィールをみて、さらに混乱した記憶がありますw

ところが、絵本づくりに関わるようになって、かこさんの工学博士らしい好奇心と調べる力こそ、作品が子どもたちに長く愛されている理由だとわかりました。

かこさんの描く絵は、決して飛びぬけてうまいわけではありません。すごいのは、画面にうそがないことです。
かこさんは多くのかがく絵本を描いていますが、おはなし絵本についても同じように、徹底的に調べて描いているので、うそがありません。

例えば1967年に描かれた『だるまちゃんとてんぐちゃん』では、見開きいっぱいにいろんな帽子が並んでいる場面があります。40種類ほどバリエーションのある帽子を描いていますが、そのどれもが本物の帽子であることに、今でも気分が高揚します。ひとつも「帽子風」なものはなく、全部きちんと丁寧に調べて描かれています。これを当たり前に出来る作家は多くありません。

一見するとシンプルな画面構成であっても、見れば見るほど、かこさんの絵本には他のそれとは明らかに違う多くの情報があることがわかります。だから、子どもたちは繰り返し見たくなる。めくるたびに、じっくり見てみると、また新たな発見があるのです。


◎かこさとしのかがく絵本

『かわ』

1966年発行

高い山の雪どけ水や、山に降った雨から生まれた小さな流れは、谷川となって山を下る。小さな流れは、ダムに貯められて発電所で電気を起こしたり、激しい水の勢いで岩をくだいて小さな石ころにしたりする。そして、やがて平野に出るとゆるやで大きな流れになる。田んぼを潤し、水遊びや魚釣りの場となり、いつしか大きな川になって、最後に海へとそそぐ。一つの川をめぐる自然と人間の営みを横長の画面いっぱいに細部まで描き込んだ絵本。

『海』

1969年発行

ページを追うごとに、少しずつ深い海、遠い海の様子が描かれている。遠い海というとイメージしにくいかもしれないが、子どもの身近な疑問に一つずつ丁寧に答えることの積み上げのため、読み終わると、きっと海の虜になる。

『はははのはなし』

1972年発行

歯が痛くなると、大人だって泣いてしまう。そんなに痛いなら、いっそ歯なんかければいい? いえいえ、歯がなければごちそうだって食べられない。歯がごちそうをかみきり、すりつぶして、体の中に送ることで、栄養がとれるから。じゃあどうして虫歯になるの。虫歯にならないためにはどうしたらいいの。歯の役割、虫歯になるメカニズムや歯みがきの大切さを、子どもたちにわかりやすく伝える。

『あなたのいえ わたしのいえ』

1972年発行

家がなくても平気? 雨の日は濡れてしまい、お天気の日は太陽に照りつけられて困る。そこで、屋根をつけた。でも、風の日は困る。それではと、今度は壁がついた……。必要に応じて、家の機能がひとつずつ増えていく。家は、どうすればより快適になるかを人が考え、工夫して作った大きな暮らしの道具であり、便利な道具の集まり。毎日、あたりまえに暮らしている家という道具の面白さやありがたさを子どもたちに考えさせてくれる。

『地球』

1975年発行

地球の中のようすを地表から中心部にわたって描いた、「海」の姉妹作。地球内部の巨大なエネルギーが地球を変えていく過程は実に見事で、その雄大さは目を見はるものがある。

『たべもののたび』

1976年発行

黄色い栄養のカバンを持って旅に出た食べ物たちが、ももいろのトンネルをとおって、いぶくろこうえんを通り、しょうちょうのジェットコースターに乗って進む。食べ物が口から入って身体の中で消化され、栄養となって、排泄されるまでのプロセスを、わかりやすく楽しく描いたロングセラー絵本。

『ほねはおれますくだけます』

1977年発行

骨と食物との関係。人間の骨の形やしくみを描き、正しい姿勢がいかに大事かを説く。

『ダムをつくったお父さんたち』

1988年発行

インドネシアのチラタに5か国の国際協力で、巨大なダムと発電所をつくりあげるまでを現地取材して描いた科学ドキュメント絵本。

『だいこんだんめん れんこんざんねん』

2010年発行

「中がどうなっているか知りたい!」と思う気持ちは、おとなにも子どもにもあること。果物から、建築物、海の底まで、切ることによって現れる新鮮な視点の広がりを、作者一流のユーモアとともに楽しむ絵本。


◎かこさとしのおはなし絵本

『ゆきのひ』

1967年発行

りっちゃんがすむ雪国の村に、空からふわりと白いものがふってきた。初雪だ。お母さんは、野菜を室(むろ)にしまい、とよちゃんのおじいちゃんは、ゆきがこいをした。雪合戦にスキーにかまくらあそび……。雪は楽しいひとときを運んできてもくれるが、吹雪で電線をきったり、線路をうめてしまったりも。それでも雪国の人々はへこたれない。

『だるまちゃんとてんぐちゃん』

1967年発行

だるまちゃんは友だちのてんぐちゃんの持っているものを何でも欲しがる。てんぐのうちわや素敵な履物、しまいには鼻まで。お父さんのだるまどんは思いつく限りの物を集めてくるが、だるまちゃんのお気に入りはいつも意外なところに……。ユーモアあふれる物語と楽しいものづくしの絵本。

『とこちゃんはどこ』

文/松岡享子
1970年発行

赤い帽子と青い半ズボンの元気な男の子、とこちゃん。市場でお母さんがおしゃべりしているまに、とことこかけだして、どこかへいってしまった。人ごみの中をさがしていくと、ああ、いたいた。動物園、浜辺にお祭り、デパート……人ごみにまぎれたとこちゃんを探そう。絵さがしの絵本の元祖ともいえる絵本。

『どろぼう がっこう』

1973年発行

まぬけな校長先生と生徒たちの世にもおかしなどろぼう学校の話。ある真夜中、みんなは町で一番大きな建物にしのびこんだ。

『おたまじゃくしの 101ちゃん』

1973年発行

まいごのおたまじゃくし101ちゃんを、やっと見つけたお母さんがえる。でもざりがにとみずかまきりに襲われ、お母さんは気絶。

『からすのパンやさん』

1973年発行

カラスの町「いずみがもり」にある、1軒の売れないパン屋さん。お父さんお母さん、4羽の子ガラス、家族みんなで、楽しい形のパンをどっさり焼いた。パンを買いにやってきたカラスの子ども、おじいさん、おばあさん、そしてなぜか消防自動車、救急車、テレビのカメラマンまでやってきて森は大騒ぎに……。