【ブログ】読むだけで子どもがすぐに眠る魔法をかけるのはもったいない


子どもの眠りと絵本の関係

一日の終わりに、ベッドの脇で子どもに絵本を読んであげる。
親としては、楽しいお話をしてあげたいという気持ちが半分、一刻も早く子どもを眠りの世界に誘って、子育てから開放されるほんのひとときを静かに楽しみたい本音が半分だと思います。

絵本にかかわりはじめて間もない頃、このことは「矛盾」だと感じていました。
子どもを楽しい気分にさせておいて、「さあ、早くねんねなさい」というのは、でたらめなお願いじゃないか、と。
実際、多くの子どもは気に入った絵本を見つけると「もっかい!」と、繰り返しせがみます。(また同じのを読むの……)と退屈になって、読んでいる途中で子どもを置いたまんま、先に夢の中へ行ってしまったことがあるパパママも少なくないでしょう。

そうなんです。学生時代、教科書を開けばもれなく催眠術にかかった僕の読書体験にあてはめてみれば、退屈な本、難しい本、義務感で開いた本のほうが眠りに近く、楽しい本はその反対ということになります。

最近は、読むだけで子どもがすぐに眠るという魔法のような絵本(?)が話題になっていたりもしますが、子どもを眠らせたいなら退屈な絵本を開くのが「正解」のはず。にもかかわらず、子どものリクエストに応えてわざわざ楽しい絵本を選んで読んであげる親心は、ずっと不思議でした。

そして、もっと不思議なのは絵本を楽しんでいた子どもがいつのまにか親の願い通りにスヤスヤと眠りにつくことです。楽しい絵本を読んでもらった子どもが眠る。「矛盾」するはずの結果は、僕にとっての大きな問いかけでした。

子どもは絵本の世界を体感する

「子どもは絵本の世界を体感する」。あるとき、すっとハラオチした考えです。
子どもは、目で絵を読み、耳でお話を聞いているうちに、すっとお話の世界へ入り込んでいきます。あるときは主人公になりきって森に出かけるし、あるときは主人公と一緒に船に乗ったり、動物とおしゃべりをしたり、遊んだりします。

僕の友人の子どもは、本をパタンと閉じると同時に「ふう」と、ひと息つくそうです。思いっきり遊んで、疲れて眠る。これが子どもにとって最高の絵本体験です。だから、子どもにとって楽しい絵本というのは、お話の世界に引き込んでくれる絵本。

残念ながら、大人になるとお話の世界へ入れてもらえる切符は消えてなくなるようで、親にとっては一度読んだ絵本は単なる「繰り返し」にしか過ぎません。だけど、全ての大人に等しく子ども時代があり、やっぱり僕も遠い記憶の彼方で、確かに焼きたての大きな黄色いカステラを食べ、その甘い味を知っているのだと思います。

だから、子どもをすっと眠らせるには、より楽しい絵本を読んであげることが正解。大人はそのことを「知っている」ことが大切です。読むだけですぐに眠る絵本に、子どもだけが切符を持って入ることのできるお話の世界の楽しい体験はありませんからね。