乗り物と動物と男の子


男の子の成長の過程で、必ずといっていいほど関心を示すのが「乗り物」です。例にもれず、甥っ子も2歳になるころには、「プラレール」で遊びはじめ、パズルをするにも選ぶ図柄はやはり電車でした。友人の子どもも同じく2歳で、電車の絵本に夢中になっているという話。

確かに、そういう僕自身もちいさい頃は電車も車も大好きでした。最初におぼえた言葉は「ミラージュ」だった、と母親が冗談で言うくらいですから、なかなかの本格派だったようです。


全く記憶にないよ!

一方で「動物」には「乗り物」ほど関心を示さないと友だちは言います。もちろん、絵本の世界ではありとあらゆる「動物」が描かれ、男の子にだって指示をされてきた実績もありますから、これはあくまでも関心の順番の話です。これまた僕自身も、奈良公園の鹿を前に大泣きしている写真がアルバムにありました。

とすれば、一体「乗り物」と「動物」の何が違うのでしょう。どうやら単純に、動くものに関心を示すということではないらしい。しばらく考えた末に僕の導いた答えのひとつはこうです。

それが身近にあるかどうか。

車や電車は生まれた時から走っていてよく知っています。鹿やライオンやゾウは身近にいませんが、同じ動物でも犬や猫なら、仲良しの男の子はたくさんいます。
あふれる好奇心にだって、まず最初に共感ありきです。まだ知識や経験が極端に少ない子どもにとっては、知っているということはうれしいと直結するのでしょう。

とはいえ、女の子は男の子に比べて、例え身近にあってもそれほど車や電車に夢中にならないのも否めません。もっと違う理由があるのでしょうか、それとも、実は女の子も好きなのでしょうか。大人になっていくにつれ関心が薄れるのはどうしてでしょう。その過程に、子どもの世界とのトビラが必ずあるはずです。どうすればもう一度、そのトビラの向こうの世界を覗けるのか、絵本づくりのための探求は尽きません。